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まえがき|なぜ東京医科歯科大学中退の私が落合陽一を論破しなければならないのか【落合陽一を批判的に読む】

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今年の6月1日に出版された『落合陽一を批判的に読む』の反響がそれなりにありまして、YouTube,noteのアカウントBAN記念に全文を無料で公開します。21世紀中盤の未来を予測したい方におすすめな、最新の評論が詰まった一冊です。



昨今CHAT GPTという邪教を広めている現代の魔法使い、落合陽一。彼の著作やパフォーマンスがメディアで注目されている。本書はそんな落合陽一を知らない方には彼の考え方を理解できるように、また既に知っている方には彼の思想の危険性を啓発するために書かれた。

はっきりと申し上げると彼は天才である。現代の思想家、評論家の中で彼ほど世界を鋭く見抜いている人間は世界でも数えるほどだろう。私は彼の著書を全ては読んでいないが、SNSなど各種メディアを見事に使いこなし、独自の主張を訴え続けている。

もちろん既存の評論家に彼を批判する人は少なくない。しかし、私はどれも的外れなものに感じる。これからの世界を変えていくのは人間ではなく、間違いなくテクノロジーだからだ。科学の驚異的な発展は特に昨今、加速度的に進んでいる。

落合陽一は現代思想を語る上で避けることができない。そんな状況に冷や水をかけようとして本書は書かれたわけではないことに留意して読み進めていただければ幸いである。

第一章では落合陽一の専門分野である科学についての議論を展開する。落合の評論を純粋に科学の観点からなぞることが目的である。よってこの章が結論と考えていただいてよく、落合がしばしば話題にするテクノロジーについて、私見も交え存分に語られる。

第二章では落合陽一を論破する。彼の著書『日本進化論』を読みながら、その場で主張の問題点を考察する。落合陽一の倒し方を知りたい方はこの章を何度も読むことで、彼の主張に対する免疫を獲得することができる。

第三章では落合陽一を実践的に批判する。彼のアーティストとしての側面やSNS上での振る舞いを含めて取り上げ、主張の背後にあるメッセージを解釈し解き明かしていく。

第四章では再びテクノロジー評論に戻り、落合陽一の評論の先を見つめる。落合の評論を歴史の中に位置づけ、今後の科学が人類にもたらす影響や展開を予測する。ややハイコンテクストな内容になっている。

四つの章のタイトルは落合の持つさまざまな「顔」を表現しており、トータルで落合陽一そのものを俯瞰できるように構成されている。本書を最後まで読むことができれば、落合陽一という人間を通して大学、アカデミズムの全体を深く理解することができるだろう。

最後に、本書を書き上げるまでに私は大変な労力を要した。本文は1年半にわたって私がYouTubeにアップロードした動画の文字起こしを約2ヶ月の期間をかけて編集したものである。とうの昔に私にとって落合の評論は過去の興味にすぎず、現在進行形で世界を書き換え続けているAIの速度は本書の内容すら書き換えてしまう。1年半のプロジェクトの間に元となる動画は大半が消えてしまった。そんな環境ではっきり言ってこのような内容を出版するのは大変遺憾の一言だ。

 

 

 

 

2023年6月2日 初田龍胡





















目次


まえがき


第一章 科学者

【加速主義批判】身体と接触するデバイスのみを取り上げたがる似非シンギュラリティ論者たちの問題点。文系が誤解しがちな人体機能の拡張を解説 キュアロランバルト 宮台真司 成田悠輔 木澤佐登志 落合陽一 


東洋思想が今後流行ると考える理由


第二章 理想論

落合陽一を論破する。インフラ撤退と野生動物について「日本進化論」より


落合陽一を論破する。スマートシティに高齢者は住まない理由を「日本進化論」より


落合陽一を論破する。家族は日本国に支配されない10年後の未来を「日本進化論」より


第三章 職業病

落合陽一を論破します


【追及】大学教授がコロナウイルス問題と真剣に向き合わない件。アカデミックな研究論文の価値が近年極端に低下してる理由。【上級国民】


YouTubeチャンネル「落合陽一録」が怖い理由(メディアアーティストなのに動画メディアで滑ってる)


機械がもたらす現代思想。天才落合陽一が日本とともに堕ちていく理由(日本語でAIを使っている)


第四章 転換点

「超科学/ピュアランダムネス」発売されました


落合陽一へ。「超科学/ピュアランダムネス」筑波大学にプレゼントしてきました


AIは科学の一部です!「超科学」と落合陽一を混同しないでください。変な陰謀論にハマる人へ(笑)


古田更一「カオスフォレスト」とは何か。本?動画?YouTuber?いいえ。ニヒリズムとプラグマティズムの先にある新たな人間像



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