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飲み会における自滅的な選択【過去作】

(ホームページに掲載している記事の移植です。)

2019/01/20(Fri)
福島大学 経済経営学類 合同ゼミ報告会にて発表

はじめに

大学生といえば飲み会!友達やサークル、ゼミなどさまざまな人たちと飲みに行く機会が増えると思います。楽しい楽しい飲み会ですが、人によっては予算をオーバーしてしまって楽しい飲み会に心残りができてしまう人もいるのではないでしょうか…?

今回はそんな人たちのために、飲み会のちょうどいい費用や回数などについてアンケートを取りました。
(アンケートの詳しい内容を知りたい方はこちらのリンクからどうぞ。)

実験の方法

福島大学の学生計70名を対象に飲み会に関するアンケート調査を行いました。
アンケートの質問内容は以下の3つです。

・回答者の所属・性格・行動選択について
・1次会の支払い許容額・実費・頻度等について
・2次会の支払い許容額・実費・頻度等について

アンケートの結果から分かったこと

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小島ゼミでのアンケート調査の結果、70人中10人が予算オーバーしていました。
具体的にどんな人が予算オーバーしているかは図の通りです。赤い矢印は予算オーバーしやすくなる要因を、青い矢印は予算オーバーしにくくなる要因を表しています。

協調性が高い人は予算オーバーしやすい傾向にありました。これは、周りの雰囲気に合わせて許容額以上の額を支払ってしまうからと考えられます。

先送り行動をする人(夏休みの宿題を後回しにしてた人)は予算オーバーをする傾向がありました。これは、先送り傾向のある人は将来より現在の利益を重視する為、後のことを考えずに許容額以上支払ってしまうからと考えられます。

同様に、外向性が高い人も予算オーバーする傾向にありました。これは、飲み会に対して人との出会いや関係の強化という価値を見出しているために、重要な出会いがあったときに当初の予定より多く支払うからと考えられます。

反対に、女性と勤勉性が高い人は予算オーバーしない傾向にありました。女性は飲み会の頻度が少ないうえに、余裕を持った支払い許容額を設定しているからと考えられます。
勤勉性が高い人は性格が真面目なので、自分で設定した支払い許容額内で出費を抑えようとするからと考えられます。

そうだ、0次会に行こう!

では、どうしたら予算オーバーしなくなるのでしょうか?

何事にもウォーミングアップは必要ですよね。
予算オーバーを抑えるための提案として飲み会のウォーミングアップ「0次会」を提案したいと思います。

0次会を行うことで、予算オーバーを抑えるための2つの効果が得られると思います。
(ここでは、1次会のスタート時刻、開催時間、会費が決まっている前提です)


① 0次会は酔っていない状態なので、冷静な判断をすることができ、自分の支払い許容額に収まる範囲に調節しながら飲むことができる。

② 1次会の時間と会費が決まっているので、0次会の時間と予算が設定しやすい

2次会の場合は、既に酔っている状態なので判断力を失い、許容額以上を支払ってしまったり、ついつい長引いて終電を逃してしまったり・・・という状況になってしまう事がありますが、0次会はそれらの心配がありません。

0次会スケジュール

0次会の開催スケジュール例(福島大学の学生の場合)がこちらです。
まず、1次会を19時45分ごろ開始に設定します。5限の授業が終了(17時50分)してから福島駅へ行き、18時45分~19時45分の1時間で0次会を開催します。

そうすると、1次会が2時間強とした場合、22時ごろに店を出ることになり、終電(22時30分、23時30分)を意識して2次会が開催しづらくなり、帰路につきやすくなります。

また、0次会はあくまで本番の1次会に向けた「ウォーミングアップ」というような意味合いなので、かるーく飲めるお店がおすすめです。

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私たちは実際に0次会として、福島市の「tachinomi kakato」さんに行きました。

この後に1次会が控えているので、席移動の煩わしさがなく飲み過ぎ防止にもなる、こういった立ち飲みタイプのお店は0次会に最適だと思います。
料理の量もちょうど良く、満腹になってしまわないように調節がしやすいです。
チーズ盛りと厚切りベーコンステーキが絶品でした!


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立って飲む店「kakato」

そのほかに...

さらにデータの分析を行うと、新たな発見がぞくぞくとありました。
以下より紹介させていただきます。

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○飲み会の頻度
・1次会は外向性が高い人やアルバイトで稼ぐ金額が多い人ほど参加頻度が高くなります。
・2次会は時間選好率が高い人(我慢できない人)や外向性が高い人、アルバイトで稼いでいる人、仕送りが多い人、お酒が好きな人ほど参加頻度が高くなります。

○1杯目にビールを頼む傾向

・アルバイトで稼いでいる人、開放性が低い人、男性ほど1杯目にビールを頼む傾向にあります。

○支払い許容額
1次会の少人数 → 4,652円
  〃    大人数 → 4,015円
2次会の少人数 → 3,241円
  〃    大人数 → 3,000円

○実費
1次会の少人数 →3,700円
  〃    大人数 →3,633円
2次会の少人数 →3,013円
  〃    大人数 →2,949円

○どのような人が支払い許容額が高いのか?
(1) 大人数の1次会の支払い許容額が高い人
女性、現在バイアスがある人、娯楽資金が高い人

(2) 少人数の1次会の支払い許容額が高い人
開放性が高い人、勤勉性が低い人、飲み物を飲み放題で注文するより単品で注文のを好む人、娯楽資金が高い人

(3) 月当たりの1次会の支払い許容額が多い人外向性が高い人、向社会的な人、仕送りやお小遣いが多い人、アルバイトで稼ぐ金額が多い人、単品注文が好きな人

○どのような人が支払い実費が高いのか?
(1) 大人数の1次会の実費が高い人
嫉妬する人、女性、現在バイアスがある人

(2) 少人数の1次会の実費が高い人
(一人暮らしの人に比べて)実家暮らしの人、協調性がある人、食べ物を単品で注文するよりコース料理を好む人

(3) 月当たりの1次会実費が多い人
外向性が高い人、向社会的な人、仕送りやお小遣いが多い人、アルバイトで稼ぐ金額が多い人

○予算オーバーの人数
1次会→5人 2次会→5人

※性格の質問内容について
BIG5
「外向性、神経症傾向、開放性、勤勉性、協調性」 をTIPI-Jを用いて計測 (値域 2~14)

引用元
小塩真司,阿部晋吾,カトローニピノ
「日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み」
パーソナリティ研究 21(1), 40-52, 2012-07

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