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【日本の数字の歴史】明治初期、アラビア数字とともに日本の数学は変わった(その3)
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日本の数字の歴史のその3。
▼ざっくりここまでのおさらい
1-3世紀頃、中国から漢字が渡来。
「一二三四五六七八九十」「壱弐参肆伍陸漆捌玖拾」(大字)を使うようになった。
平安時代、九九や『口遊』といった教科書で学ばれていた。
江戸時代までは、漢数字の他にも、 暦・時間・方位・ことがらの順序などに「十干十二支」が用いられた。数の単位も今とは異なっていた。
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江戸時代の大ベストセラーの算数本!
江戸時代には、寺子屋の普及で読み書きそろばんを多くの子どもたちが学びました。寺子屋は民間の学習塾なので、教える側の大人たちもしっかりと算数を学ぶ必要がありました。そこで用いられた算数(算術)の鉄板書が『塵劫記(じんこうき)』です。
▼塵劫記
1627(寛永4)年初版刊行。
吉田光由(よしだ みつよし 1598-1673年)著。
中国・明の時代の数学書『算法統宗』を研究して書かれた。
吉田光由は、その生涯の間に何度も改訂版を出して、より良い算術本になるよう命を捧げた。
学者にとどまらず、多くの民衆に愛された。改定されるにつれ挿絵が増えて、一般の人にも浸透していった。
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『塵劫記』では、
一、十、百、千、万、億、兆・・・などの数の単位
掛け算の九九
面積・体積の計算
両替の計算
布や米の売買の計算
など、身近な暮らしに関わる計算方法が詳しく、分かりやすく書かれていたと言います。例えば、ねずみの夫婦の子どもがまた子どもを産むと何匹になるかなどのいわゆる「ねずみ算」も塵劫記が初出なのだとか。
現代でも『塵劫記』の現代語訳版や関連本が多く出版されています。
江戸末期。いよいよアラビア数字へ!
古代に中国から漢字が伝わって、長らく漢数字や十干十二支を用いてきたわけですが、鎖国を解いたと同時に「アラビア数字」が欧米から入ってきます。今の私たちからしたら、これぞ数字、なじみ深い「1234567890」です。
▼アラビア数字
「インド・アラビア数字」とも呼ばれ、インドが発祥。アラビアからヨーロッパへ伝わりそこで"Arabic numerals"と命名された。
漢字文化圏でヨーロッパのアラビア数字が定着するのは、欧米列強が本格的にアジア地域に進出しはじめた19世紀になってから。
日本では「算用数字」とも呼ぶ。
和算(わさん)から洋算(ようさん)へ
現在私たちが一般に学ぶ数学は、主に西洋式の「洋算(ようさん)」です。これに対して江戸末期頃から明治初期まで、日本で使われていたのがそろばんを用いた「和算(わさん)」。
目まぐるしいほどあらゆる方面の西洋化が起こった明治初期。しかし、日本数学会によれば、それまでの和算がいきなり取って代わられたわけではなく、和算の発達の素地の下に、洋算が入ってきて発展していったという感じのようです。
洋算とともに入ってきたアラビア数字は、全国に小学校ができたことも手伝い、忽ち広まっていきました。ちなみに私たちが知っている筆算は西洋のものです。
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花井静 (静菴)著、 福田理軒 編)
これは明治8年の『筆算通書』という、言わば洋算の基礎的な教科書。縦書きの漢数字交じりの本文からいきなりアラビア数字の筆算が現れます。なんだかアラビア数字は洗練されたもののように思えます。
そろばんの和算よりも洋算の筆算!!という政策の下、教育において一瞬そろばんが禁止されたことがありました(明治5年くらい)。しかし生活全般に広く深く根付いていたそろばん。そろばんを使わないくらいなら学校辞めさせる!というような事態に陥りました。
そろばんは、計算の道具として優れていることは確か。現在に至るまで洋算の教育方針は続いていますが、そろばんもずっと生き残っています。令和の現代ではそろばん塾もまた流行っているとか。
というわけで、日本の数字を追ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
もう少しだけ引っ張って、次回はアラビア数字と漢数字の使い分けについてまとめてみたいと思います。
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