見出し画像

水深800メートルのシューベルト|第226話

「僕は軍の依託学生として奨学金を受けている」
 ゲイルさんはきっぱりと言った。

「もし、本当に七年も勤務するつもりなら、別れるわ」
 ママはため息をついた。

「それは君の選択によるものだ。それについて、僕は干渉しない。自由にしたらいい」
「どうして、いつもそんな冷たいことが言えるの?」
 彼はママの言葉にも動じていなかった。

「僕は、海兵隊だった親父から『人の役に立て。崇高な目的を持って行動しろ』と言われて育った。腕っぷしは決して強くないが、軍医としてなら使命を全うできそうな気がする。それは誰にも邪魔はさせない」

     第225話へ戻る 第227話へつづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?