水深800メートルのシューベルト|第876話
形式上はゲイルさんを敬っているような言葉遣いだが、ロバートの声には嘲りが含まれていた。ゲイルさんの階級は士官のそれだったが、それは軍医という特殊任務からくるものであって、他の水兵のように叩き上げで昇進したわけでも、士官学校を出身だからというわけでもなかった。もっとも、彼は、自分が舐めている相手は上官であろうとも軽蔑したように受け答えする性質であったが。
彼は僕の肩をパンパンと叩くと、平然と言い放った。
「これは私が考え出した訓練です。このアシェル・スコットにはご覧の通りもやし野郎で体力強化が必要なものですから。見学なさりたければ、ご自由に。それとも、手伝って頂けますか、中尉殿?」
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