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水深800メートルのシューベルト|第1024話

「おお! いよいよ敵さんに見つかったかな。まさか、浮上して降伏なんてしないだろうな? 俺の出番が近づいてきたかも」
 そう言うと、それまでのろのろとしていたフォークの運びは、急に早くなった。


 奇妙な現象だった。深度の調整にしては、つける角度が大きすぎる。やはり目的の港に近づいたから浮上するのか? それとも深度を大きく間違えたのか? 操艦ミスでトリムが狂ったのか? 


 ロバートは飢えたことを思い出したように、食べ物を詰めている。まるで、艦が傾いて食べ物がこぼれる前に胃に入れてしまおうというかのように。彼だけではなく、ボブ達も懸命に頬をリスのようして咀嚼運動を懸命にしている。それを見ると、三人共不吉な予感に捉われているらしい。当分食えなくなるから今のうちに胃に詰めておこうという算段のようだった。

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