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水深800メートルのシューベルト|第229話

「アシェル、ママとあなたは今大切な話をしているの。あなたはママの子でしょう? それなのに、血も繋がっていないお婆ちゃんのことを気にかけるなんて……」(とママは言った)

「ごめんなさい……、でも今は……」(と僕は答えた)
「今すぐどうするか決めなさい。ママと一緒に暮らすか、それとも、もうママとさよならするか」

 ママはきっぱりと言った。灰色の瞳は、僕に迷いを許さないという意思表示が浮かんでいた。

「おい、久々に再開していきなり決めるのは無理なんじゃないのか?」
 ゲイルさんは、ビールを飲み干してから言った。

「この子は自分じゃ決められない子だから、これくらい言ってやらないと。さあ、どうするの?」

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