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少量多品目。

ここの産直の魅力は、販売用の野菜をそもそも作っていなかった販売素人のばあちゃんたちが生み出している。
自家消費用の小さな畑で、自分や家族で食べる分だけの野菜を細々と作っていた地域だ。

ある日、おばあちゃんたちが作る野菜のバリエーションが実に豊かなことに気づいた人がいた。
その人はばあちゃんたちを一軒一軒尋ねてお願いした。
「一袋だけでもいいから、綺麗に袋に入れて産直に出して欲しい」と。
その数300軒。
少ない大規模農家だけに頼るのではなく、
たった一袋でも、小さな農家が多様な品目を提供する場を作った。

たちまち産直のラインナップは豊かになった。一年中、さまざまな野菜が並ぶ。
いまじゃ当たり前になったズッキーニだってここでは20年も前に売り場に並んでいた。
枝豆だってそう。商品タグには「枝豆」として書かれているのではなく、
「湯上り娘」とかちゃんと品種が書いてある。
味を知っている消費者は、わざわざそれを選びに来る。
当然売り上げも年中通じて安定する。

でもこの地域、高齢化が進み、産直まで持っていけないおばあちゃんたちもたくさんいる。そんなおばあちゃんたちのために、集落の決められたところに伝票をつけて商品を出しておくだけというシステムを作った。
手間はかかるが、
それを産直スタッフが回収にまわる。

もちろんそこでひと声かけるから、
また新しい品集をばあちゃんたちが作った際、お願いもできる。
言い換えればコミュニケーションを積極的にとることによって、
あらたな商品の開拓や提供を進めることが続けられるのだ。

売り上げはスマホで管理。ばあちゃんたちも仕方ないからスマホを持つ。
だけどそれがきっかけで家族とlineができるようになったと。

売り上げは小さい。一ヶ月たった五千円にしかならない人もいる。
だけどばあちゃん曰く「孫に小遣いをあげれるようになった」と嬉しそう。

大きい産直作ってたくさん売り上げる。
小さな産直にして地域みんなでやる。
どっちが豊かなのだろうか。

中山間地で過疎や高齢化が進んでも、
生きがい、安否確認、生産、交流・・・。
地域は工夫次第でなんでもできる。

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