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【開催レポート】『ぼくのがっかりした話』を読んで語る読書会 2024年4月20日(土)

水野ゼミの本屋の書店主、itatana(イタターナ)が主催するイタリア文学の課題本型読書会。

今回は、『ぼくのがっかりした話』(セルジョ・トーファノ作 橋本勝雄訳 英明企画編集)が課題本でした。

主人公ベンヴェヌートがひょんなことからおとぎ話の世界に入っていくと、そこにはおとぎ話の「その後」を生きる主人公たちが暮らしていたという筋立ての作品です。
軽快で読みやすかったけれども、道徳も救いもない作品だった、がっかりしっぱなしだったという感想が出ました。
権威を持っている人をからかっているとか、病気になったシンデレラが見世物にされているところは時代を感じるという意見も。オチらしいオチがないことやあまりにもがっかりな話に戸惑いを感じている人もいました。

シンデレラが結婚しても台所仕事が好きで続けているというところは、最近のなろう系、異世界転生ものと似ていて、時代によって家事好きの女性への評価が変わるという意見が呼び水になって、シンデレラに王妃の役割をして欲しいと願う王と、あくびのしずぎであごが外れても不眠に悩む眠りの森の美女に付き合ってくれている夫を比べたり、シンデレラを熱狂的にあがめていたくせに病気で見た目が変わってしまったのを目にした途端、逃げ出してしまうパルミーロを批判したりする声もありました。

どんなおとぎ話や昔話の主人公のがっかりなその後を想像するか? という問いに、かぐや姫のがっかりな「その後」が出てきましたが、あまりにも秀逸なストーリーにその場の全員が作品化を望む事態に! 
いつか作品化されることを期待してここではどんな「その後」が語られたかは書かないことにします。

この本を読んで、好きなおとぎ話の主人公の「その後」を考えてみるのも楽しいかもしれません。

【次回開催案内】

『パパの電話を待ちながら』を語る読書会
2024年6月15日(土) 14時~15時半
水野ゼミの本屋

【これまでの開催レポート】

2022年8月21日(日) 「ピノッキオ」を語る読書会
2022年10月8日(土) 『クオーレ』を語る読書会
2022年12月17日(土) 『ジャン・ブラスカの日記』を語る読書会
2023年2月18日(土) 『まっぷたつの子爵』を語る読書会
2023年4月15日(土) 『木のぼり男爵』を語る読書会
2023年6月17日(土) 『不在の騎士』を語る読書会
2023年8月19日(土) ダンテ『神曲』を語る読書会地獄篇
2023年10月21日(土) ダンテ『神曲』を語る読書会煉獄篇
2023年12月23日(土) ダンテ『神曲』を語る読書会天国篇
2024年1月27日(土) 『わたしは あなたは』を語る読書会
2024年2月17日(土) 『鏡の前のチェス盤』を語る読書会

文責:吉冨 文

以上


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