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わたしの『劇場』 読書感想文

わたしは運がいい

運がいいというか、全部後付けなのかもしれない

でも運命ってのはあると思う

運命の人、運命の出会い、それによって出来たほとんど奇跡みたいな自分とほかの人間

わたしにとって運命の人っていうのは 1人だけじゃなくて、今こうあるわたしを創ったすべての人が運命の人であって、だから恋人だけじゃなくて、親も、友だちも、るいちゃんも、なっちゃんも、はるみも、けんやくんもしょーりも、けんちゃんもまひろもみーちゃんも矢島も仲田先生もれーきくんもあの人も、

わたしが好きだと思ったり、嫌いだと思ったり、憧れたり見下したり、すべてなにかしらの感情を持たせた人とかモノは、全部運命だったことにしてる


運命の人は複数いて、どう足掻いてどう転んでもぜんぶ運命で、誰といても運命だって思ってるんだ、だからずっと前に運命の人だと思ってるよって言った言葉は嘘じゃないけど、1人にだけ運命を感じられなくてごめんなさいって言わなきゃいけない、



今日は又吉直樹の『劇場』を読み終えた

数日前、待ち合わせ場所で先に本を読んで待ってて、わたしに気付かず本を読んでた男の子に、何読んでるのって聞いたら見せてくれた本がこの『劇場』だった時にはもう運命の人だなって思ってた

帰りに劇場を貸してくれて、宝物みたいにずっと目に見えるところにおいて読んでたんだ

恋愛どうこうの気持ちはなかったけど、考えてる事が自分より深い気がして、たどり着けなかった先にいる気がして尊敬してた、悔しさすらもう抱けないような人で、でも話していて楽しかったし、楽しそうに話してくれるのが嬉しかったし、わたしの話も否定せず、違うところも喜んで聞いてくれてるようで好きだった


そんな人から借りた劇場は出だしからもう面白いのがわかる作品で、読んでる途中もいちいち面白くて、だからクスクス笑ってしまって、その面白さをいちいち共有できるのが嬉しかった、内容は読んで欲しいから言わないけど、後半はずっと泣いてた、涙が出るか出ないかじゃなくて、なんか涙が出てる時よりも、ちゃんと自分が泣いてる気がした


似てると思った、どうしようもなくなってるところが

でも似てなかった、執着が明確だったから、わたしは何かにどうしようもないほどは執着できてない、これは今までだってそんなにないのかも、わたしにとっての執着は逃げ道みたいなもので、でもこの主人公の“永田”にとっての執着は生き方みたいだなと思った


その男の子とたくさん話してたくさん感情を共有して、その日の夜に好きだと言われた。正直好いてくれてるのには気付いてて、でもわたしには彼氏がいて、だからいつも通り牽制しようとして、でもほんとはこの人に好きだと言ってほしかった


彼氏とは2年以上付き合ってて、その間別れたり付き合ったり繰り返してでもやっぱりどうしようもなく一緒に居たいと思ってて。こんなに逃げられないのかってくらい、頭のなかの少なくとも3割はどんな状況でもその人のことを考えてて。でも最近は、ふたりの形がはっきりと歪んじゃったなって感じてて、それは確かにふたりで歪めちゃったもので、どっちかが悪いとかじゃなくて、ゆっくり時間をかけて潰しあったり膨らませたりしたもので。 愛おしいものでもあったけど、すごく憎たらしくて、どちらにせよ強い感情をもって接してた彼氏だったの。

ただ、もう純粋に好きだとは言えなくて、もはや好きだとも言えなくて、その人を見てると好きって感情が分からなくなって


いや多分その人に対してだけじゃなくて、私は恋愛的に好きな気持ちが正直もう分からなくて


高校生の時に片思いしてたあれは、ほんとうに純粋な、純度100%の“好き”だったと胸を張って言える気持ちで

でも1回好きってなんだ?って考えてしまった瞬間からその濁りのない好きはきっと消滅してしまって、

いや分かんない、まだこれからもしかしたら出会えるのかもしれないけど、すごく努力すればね、でもあの瞬間から今この瞬間までその気持ちに出会えたことはなくて

たぶんそれは“永田”も同じだと思う

たぶん永田も好きってなんだって考えたんだろうな

だから窓と“沙希ちゃん”の隙間に入り込んだし、返事がなくても話し続けたし、雑誌を買ってくれてイラついたし、意味もなくゲームに時間を溶かして表情を伺って笑って欲しくてなんとなく先に部屋を出て自転車のベルを鳴らして、あとメールも返さなかった


一緒だ

自信がなかったよね

私たちには自信がなかった

でもね永田、わたしその諸悪の根源には気付いてるんだ

私たちにはね、お金がなかった

わたしの場合はただバイトもしてないからで、配信でも女を売れないからで。女を売らないことは私は納得しているけどね。女を消費させればいいんだけど、今1番もったいないことしてんのかな、もっと消費させればいいんだけど、あ〜だってわたしのかわいいところは、もっと特別な人にしか見せたくないんだもん、誰にでも見せるやつは気が狂ってるように感じる、偏見だけどね、わたしの心を通すとそれは哀しいように見えてしまうから


でもとりあえずお金がないとダメだ人間は

今まで出来てたことが出来なくなってしまった、大抵のことはお金があれば今でも元に戻れるような気がしてる


お金がないとね、今まで以上に自立から遠のいてしまって、服も買わないし、モノでかわいくなれないし、外に出ないし人に会わないし、あっても頼るようになってしまって、結果申し訳なくなって辛くなるし情けなくなってぜんぶから怯えるし逃げたくなる

これが結構精神にきて、だって今まで普通に出来てたことができなくなる。コロナが追い討ちをかけたのは絶対に少なからずあるけれど、わたしはバイトが出来なくなった、いや甘えてるだけだとか、面倒臭いからだろとか、たぶん傍目にはそう見えるんだろうけど、わかってもらえないならもうしょうがない。わたしも数ヶ月間ずっとそう思って自分を責めてたんだけど、もうここまでくると、もうほんとにどうしようもなく1歩も踏み出せない。田舎の実家にいても、周りに友だちも残ってなくて、家族が頑張って働いたお金をだらだら搾取しているのが辛くて目の当たりにしたくなくて、なにも返せないのが申し訳なくなってしまって、それで都会の、友達もたくさんいるしまだ何かしら返せる気がする彼氏の家に転がりこんで、ぬくぬく、言葉でこそ言われてないものの、たぶんここが世界で1番安全な場所だよって抱きしめてもらえて、とっても安心したんだよ、そのうちそんな腕の中も、何も返せないし、ひしひし感じる好きなひとの期待に応えられない後ろめたさで辛くなるんだけどね


彼氏には、なにかしら、人から、自分からじゃない誰かからのきっかけが欲しいんでしょ、って言われて、まあそうだな、きっとその通りで、でもこーゆー時はいつも運命的に、ほらやっぱり都合よく後付けの運命に、なにかきっかけになるものがやってくるんです。


それが今回の劇場であったり、劇場に出会わせて1日で感情持ってった男の子だと思った


劇場の男は、正直どこまで本気か分からないし、でもわたし人を見る目だけはまだ自分のことを信じてて、だからこの人はたぶんちゃんと自分のことを見てくれている気がして。目に浮かぶ楽しい未来を一緒に考えてくれて違いをたくさん笑って受け止めてくれて、一緒に住もうって、出来ないところはそれでいいよって、

ねえ、これってちゃんと考えてくれてないから笑ってくれたのかなあ、親は怒るし、彼氏も怒る。あーでも彼氏は今はもう怒ってくれないかもな、


それはちゃんとわたしの事を想って、ちゃんと考えてくれて心配してくれたから怒ってくれたの、ありがとうって思ってるしそれが多分正しい、というか あるべきとされてる生き方なんだと思うの、愛が分かんないけど、たぶん愛に近くない?ほんとはいいたくないんだろうけどね、わたしのためをおもって辛くなりながらも言ってくれるの


それで言ったら、劇場の男は私のことをそこまではおもってくれて無いのかなぁ、ダメなところそのまんま受け止めてくれるほうが愛? 愛じゃなかったとして、あるべき生き方ってしなきゃダメかなぁ、これもまた逃げかなぁ、まだ彼氏ほど時間を共有してないから、わたしはまだいっぱい残ってる可能性を好きになってるのかな、劇場の男は時間じゃないって思ってるって言ってたし私もそう思うけど、やっぱり潰せてない可能性はすごく大きい


なんかこの文章を多分、彼氏も劇場の男の子も、2人とも読むと思ったら地獄だな、でもどちらにも全部隠していないし、いまのわたしには選べる気力もないし、てかそもそも自分に人様にあげれるほどの確かな軸も好きの余裕もない訳だし、どうせどうしようもなくなったら死んじゃうつもりだったし、わたしの現状のが紛れもなく詰んでて地獄なわけだし、開き直って、それも大好きな本の読書感想文として公開するわけです。ほとんど召喚していない永田と沙希の話。でもこれはそーゆー本だと思った。

わたしのこんな話をしていい本だと思った。

これも1つの劇場だと言ってくれるような、認めてくれるような本だと思ったんです。



こんな好感度あげれないような、色恋の話を延々と人様に見せびらかして、恥ずかしくないか、と言われたら、前のわたしだったら絶対にしなかったなと思う。

でもやっぱり人って変わりゆくし、たぶん復讐なんだよ

彼氏に対しての復讐で、わたしを、自分の好きだった自分を変えてしまった男に対して、逆効果な抵抗をしてるんだよね。たぶんその人が 好いててくれたであろうところを変えてやろうとしてるんだと思う。子供だね


彼氏はね

俺たちはまだ子供だから、誰か叱ってくれる人、親とか大人が必要なんだけど、いまそれがここに居ないから、2人で頑張っていくしかないんだよ、教えあっていこうよって言ってくれてさ、それでわたしは昔占い師に言われた「今の人と一緒に成長していけるようにしなね」って言葉を思い出して、

こんなに嬉しく悔しかったのに、この状況ってありきたりなんだなって、当たり障りない言葉で内包できちゃう状況に、すごい悲しくなったりもしたんだよ


でもやっぱここまで書いてて好きなんだよな

やっぱこんだけ好きが分かんないだなんだ言ってだらだら書いてきたくせに、やっぱり彼氏のことが好きなんだと思う。離れたくないし、この人を1番幸せにしてあげられるのはわたしだと自分に自信のなくなった今でもまだ変わらず思う。

わたしは2年間、1度も彼氏に料理を作ったことがなかった。ずっと作ってもらって、それを美味しく食べるのが適材適所ってやつだって言い訳してて、それは別にいいと思ってたけど、この間初めてご飯を作ってあげたんだ。ほんと簡単なキーマカレー、キッチンで火事起こしながらも、ほんとに火が上がってて怖かったな、1人で作って一緒に食べたの、美味しいって言ってくれて思わず泣いてしまって、ほんとにいろんな感情が混ざってて、多分わたしが知ってる感情の何から何まで、全部そこに入ってたと思うの、やっぱりこの人を幸せにしたいなって思ってる、置き手紙も全部取っておいてくれてるところも好きだし、わたしも全部大切に持ってるよ、わたしの写ってるプリ欲しがるのも怖いけどすき、観光地とかにデートにいったらあのダサい写真購入してくれちゃうところも好き、視野見めっちゃするよねお互い、そーゆーのも好きだし、匂いが今でもわたしをこれまたどうしようもなくドキドキさせるし、わたしの顔面を愛してるところなんか最高でしかないし、手が優しいし、いろいろ考えすぎるところも、ちゃんと感動して泣けるところも重いところも好き、ほんとうにもう向き合いたくないし逃げたいんだけど、大好き、どうにかこうにか一生ケンカして離れつつも私たちの幸せを見付けていきたい



でもほんとに劇場の男の子のことが諦めきれないところはある、だって!良さが違うんだもの!!自分サイテー!浮つくな!!あーあ、いい文が台無し!


みんな!未読無視が多い人間は浮気しがちって説は本当だよ!!

だって漏れなくわたしもその1人です。


でも好きって気持ちは大切にしたい、たとえ2人とも失うことになるダメな思想であっても、好きになれるのは才能だし良い事のように感じるんだけどな。


だってわたしが1番辛いとき幸せな気持ちにしてくれたのはこの人なんだもん!わ〜〜!急に言い訳し出す自分に呆れているんです、わたしだって!!

あ〜、しょーもねー人間ってのは引き際で分かるんだぜ

わたしはしょーもない人間なのでもう少し惨めにタラタラ書かせてあげて


あのね、劇場の男の子はね、好きって言ってくれて、その時に


僕のために一緒にいて


って言われたことがなにより嬉しかった、わたしの幸せを誓ってほしいけど、でもなんかもっと正直ですごい嬉しかったんだよな、わたしもそうだよ、わたしの為に一緒にいたい人を選びたいしそれがそのままその人の幸せであって欲しい、みんなそうか、好きなことして楽しそうにしてるところを見てたいんだって、一生好きでいれるよって、あの人本気で言ってんのかな、ああでもそういえば好きって言われたのにその気持ちを本気だと信じなかったことがあって、それが1番良くないところ、そこだけは直して欲しいって言われた事あったな、あ〜でも裏切られたくない〜裏切られるくらいなら先に裏切りたい、夢でもそう、わたしはいつも先に逃げる、起きて1番最悪な気持ちになる瞬間。わたしは1番先に死にたいのに、誰よりも生き延びたい。ああ、あとこの人の文章も好きだった。世界に入れる。一緒に文章の中を探検できる。だから楽しい。



もうだめだ考えたって、

たぶんほんとに自分がしっかりしないとどちらにも依存して終わるだけ、1番なりたくない姿、1番嫌だった状況、全員に失礼、はやく働いてよばさし、でも働けないよね、血だらけなんだもん、あの人の顔見ながらは無理なのかも、寄りかかってしまうね



あと好きって気持ちを確かめるにはこれがいいって聞いたことがあります

それは 一緒に死ねるかどうか なんだって

ほんとかどうかは知らないけどね、


一緒に死ねるかなぁ


わたしは


でもやっぱ彼氏とは離れないと思うなわたし、また性懲りも無く別れるだろうけどね

別れても、頭の中の3割は絶対考えてる

それじゃだめですかね

痛々しい姿を一緒になって痛々しく考えてほしい


若いでしょ、ずっと、いつまでもまだ夢と現実の間から抜け出せてないの、まだ辛くても受け入れたくない、迷惑をかけてもここに居たいの、変わりたくないんだ、羨ましい目で見ててほしい、痛々しいほど若くいたい


いつも通り長々と書いてしまった、

読んでくれたひとありがとう、お礼に私には書けない、大好きな劇場を、感想文らしく引用して終わるね

まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて見えたことはまだない。もう少しで見えそうだと思ったりもするけど、目を閉じた状態で見えているのは、まぶたの裏側の皮膚にすぎない。あきらめて、まぶたをあげると、あたりまえのことだけれど風景が見える。


劇場の出だしです、誰かの劇場が始まる最初の声

読み終わってしまったけどまだ抜け出せない、いい小説はこの抜け出せなくて現実と小説を混合してしまうのがいいところなんだ

もう収集がつかないほど自分の嫌なところを見せ付けたからさ、もう何を言ってもかっこつかないし、だからとってつけたように終わります


まぶたの裏側しか見えてなくても、今は別にそれでかまわないから、いつか透けると思って生きていきます


影はちょっとだけ透けたような今日でした

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