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"いま流行りの"伏線回収

最近、頭を使わなくてもみれるエンタメが増えているのではないだろうか。
もしくは頭を使った気になることができるエンタメ。
張り巡らした伏線を最後にはすべてキレイに回収して視聴者がスッキリできるものがあまりに多い気がする。

でも私はそういう作品があまり好きではない。
「ドラマや映画のために作られた人間たちによる物語」感が強すぎるからだ。
ドラマの3ヶ月間だけのために作られた人間関係の中で起こりうる3ヶ月間だけの出来事。
現実にはそんなのあり得ない。

まず現実に起きた事象の中で完全にスッキリ片付くことなんてほぼない。
心には何らかのわだかまりが残るし、イヤな奴にバチが当たるところなんてまず見られない。
それでも譲り合い、認め合いながら騙し騙し過ごしていく。
他人の感情が完全に分からない限り、他人のウソを見破ることができない限り、伏線が完全に回収されることなどないだろう。

流行りの歌の歌詞にも同じことが言える。
この言葉はどういう表現なんだろう?と思考を巡らせながらそれぞれの解釈をもつものに比べ、情景描写から言われた言葉、その時の心情まで描くような、いわゆる「わかりやすい歌」の方が人気が出やすい傾向にある気がする。
そういうのばかりSNSで取り上げられ、「いい歌〜、共感できる〜」とペラペラの言葉で持て囃される。

反対にあまり多くを語らず解釈の余地を残しているものは「なんかよく分かんない。」とか言って突き放す。
ヒントまみれのものには我が物顔で寄ってたかって考察をする。

しかもSNSの発達によって同じものを見た人たちとリアルタイムで意見交換をすることができるようになった。
そのなかで、自分の持つ一つの意見以外を淘汰しようとするような人も多くいる気がする。

もっと考える余白がたくさんあっていいと思う。
それぞれの見解があっていいと思う。
答え合わせをする必要はない。ただ自分の頭で考えて導き出した答えをそれぞれが持ち寄って「ああ、確かにそういう考えもあるなあ。」って自分の思考を深めて見識を広げたらいいと思う。

多様性の時代とは言いつつもみんなが同じようなことを言っていて、そのくせ大した個性もないのに自己主張したがる。
そんな奴が多すぎる世界にざまあみろだ。
いつか気づいたときにはもうお前たちに感受性もクソもなくなってんだよバーーーカ!!!
と、謎の敵意だけムクムクと膨れ上がる。
まぎれもなく私もその"みんな"のうちの1人だ。

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