おいもり
イーロン・マスクに対する評価は世間は二つに分かれている。と言ってもそもそも評価が二つに分かれるというのは、おおよそ全ての有名人について言えることであるが、総人口のおよそ半々できれいに分かれ、賛否が拮抗するであろうという意味では、イーロン・マスクと、そしてドナルド・トランプの二人は特異な位置にいるだろう。 ポジティブな評価は、例えば彼をイノベーターとして賞賛する。スペースXによる宇宙開発、テスラによる電気自動車の普及、そしてニューラリンクやハイパーループといった先端技術の
零、 我らが偉大なる係長閣下より下賜されたクソタスクにより唐突に到来した三時間半の残業のおかげさまで、コロナが明け久しぶりに開かれている若手交流会には大遅刻した。会社を出てすぐタクシーを拾い一〇分ほどで、二次会会場である東銀座の中華料理屋に到着する。昔のセブンイレブンみたいな重い押し戸を、体重をかけて押し込んだ途端、隙間から喧騒と油と酒の匂いがバックドラフトし身を灼いた。 「お、一ノ瀬来た！ おい！」 ガハガハゲラゲラと無秩序な音が広がる中、同期入社の松橋がこちらに
今回は、以前某新人賞に出した作品を改稿したものについて、冒頭50,000字を公開します。 （露骨な表現が含まれているため、苦手な方はご注意ください） ――――――――――――――――――― 睾丸が痛い。去年の暮れから。 あれほど待ち望んでいた年末休みも三日もすればやりたいことが尽き気力も失せ、退屈な時間を潰すため、中田圭佑は七畳１Ｋの自室で昼間からオナニーをしていた。ベッドの上で仰向けになり、左手に二次元ポルノを表示したスマートフォンを持ち、右手でちんこを夢中で摩る
世の中には自殺、つまり自分の意志によって自分を殺すこと、なんて有り得なくて、そう思われているのは「社会による殺人」つまり他殺なんじゃないだろうか。 自殺するような状態に追い込まれている人なんて、精神的にしろ肉体的にしろ健康的な環境に居るわけないんだから、少なくとも意志って意味では通常の状態ではないし、尊重っていうか、そのままにしておいていいもんじゃないと思う。尊重されるべき意志って、完全にそれが独立していて、十分な情報とか栄養素が与えられている環境にあって初めて成立を認めて
野暮用のおかげというべきか、平日の午後、俺は秋葉原の昭和通り口の前に居た。用事も片付け、さてこの急に得られた半日休暇をどのように使おうかと熱風に茹でられながら考える。午後休みが決定した昨日の段階からそれを考えていたのなら、人生の宿題を切り崩すためのもう少し生産的なアクションを取れたのかもしれないが、そのような計画的な行動にこれまで成功した試しはなかった。 サラリーマンの群れが観光客を圧倒している改札口の前で、取りあえずは労働からイチ抜けした優越感に浸っていたところ、
千葉県は四十七都道府県の中で唯一、標高五〇〇メートル以上の地点を持たない。小学生の頃に社会科の先生が話してくれたその統計情報が、以来ずっと胸の奥につっかえて残っていた。それは本来、千葉という土地がいかに平地の広く発展に適した土地か、ということを讃える文脈で語られていたものだった。しかしその日を境に電車の車窓から覗く高い山のない見晴らしの良い風景に、俺はどこかコンプレックスを抱くようになった。 その気持ちは事あるごとに形を確かにしていった。高校生の頃、岐阜の高山を舞台にし
一部のandroidユーザーの間で悪名高いタイトルの問題、具体的には「androidのWordでGboardをIMEにして日本語入力を行っていると、突然文字や文章、あるいは段落が消えることがある」というもの。 入力している最中の文字が消えるとかの可愛いものではなく、入力している箇所の前後の段落、何行分という単位で平気で消える。一応戻るボタンで消える前に戻せるものの、そうなると今しがた打っていた文字の方が今度は残らず、また打ち直しとなる。 この例はMicrosoftや
すべてはタイトルの通り。 つい先日に、新型AirBoxの発表があり、 華々しくpopin Aladdin への対応が謳われていた。 ここからわずか3000円しか安くないにも関わらず ・対応は地デジのみ(新型はBS・CS含めた3波対応） ・裏録不可（新型は裏録可能） と廉価版具合が著しいXit AirBox lite (XIT-AIR50)がつい一か月前に発売されたばかりなのに、だ。 こっちを先走って買った筆者にとっては落胆の限りではあったが、し
しばらく前にソニーのマルチファンクションライトを買った。かねてから「お店っぽい雰囲気」にあこがれていて、「天井から音が降り注ぐ」内蔵スピーカーなる概念に惹かれた。結果はおおむね満足で、ジャズやヒップホップを流してカフェっぽい雰囲気にしたり、ヨドバシカメラのテーマソングを流したりしている。 さて。 代わりに取り外された、入居以来使っていたシーリングライトである。捨てるも売るもなんとなく憚られ、「余ったシーリングライト」という謎の概念物体が誕生していた。普通は捨てる
