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ハゲ散らかした時の話

ストレスと言うのは怖いものだ。

誰しもストレスを感じる事はあるだろうが、圧力を感じてる時間や空間を脱したらホッとするだろう。

仕事と向き合ってる時や、対人関係やお金の問題などで理想と現実が乖離するとストレスを感じやすい。

その乖離をなるべく無くすように努力するか、受け入れるかしない限りストレスは日銀の金利より高い利率で蓄積される。

2015年の私はまさにストレス資金運用のプロだった。

とにかく貯める。どんどん貯める。そこらのファンドマネージャーより遥かに優秀だった。

そしてある日。

風呂で洗髪している時に、多めに髪が抜けてる事に気がついた。洗髪してれば抜けるのが当たり前だが「ん?」と思う程度に多いのだ。

年齢も年齢だから、いよいよ私もそう言う運命なのかもなとその時は安易に考えていた。

風呂上がりに鏡で見てみると頭頂部に直径1cmに満たない円形のハゲが出来ていた。

「おお、これが円形脱毛症というやつか…」

神経質とはほど遠い性格なのだが、当時は仕事について不満や悩みを抱えており且つ、それらがそうそう解決出来るものではないという状態だった。

負けん気が強いというか、やるからには一位じゃないと嫌だと言う性分が余計にストレスを増大させていたのだと思う。

すぐ皮膚科に行って、色んな治療を試みた。

しかし日に日に抜ける髪の量は増えていった。

朝起きた時、枕元に数百に及ぶ髪の毛が落ちていて激しく動揺した。

抜け始めて約1か月でこれ。

カッパ
ダルメシアンかよ

診断名は多発型円形脱毛症。円形と円形がどんどん繋がっていくのだ。ぷよぷよと同じだ。

これが汎発型なら眉毛とか足とか全身まで及ぶ。

当時「俺はハゲたら潔く剃るわ」と嘯いていた私。

口だけかよ?と言われたくないので全部剃る事にした。

そもそも毎朝髪が抜ける事自体が凄まじいストレスになり、どう考えても剃るのがベストだったのだ。

卍解

髪を剃り終えた時、人生で五指に入るほどの爽快感を感じた。「抜けられるものなら抜けてみろや!」の気分。

妙にハイになり、今しか出来ない事もあるな!と思い挑戦したのがコレ。

復活のF

当時のパートナーに「何してるの?」と聞かれた。

それは聞かないでほしかった。

スキンヘッドのメリットとデメリット

⚪︎とりあえずシャンプーが要らなくなる。

しかし、楽チンかと聞かれたら答えは絶対にNOだ。
毎朝五枚刃の剃刀で剃らないと、どこがハゲてるのかすぐ分かるのだ。

「ハゲ場所クイズ」をしたら全員正解するくらい分かる。

なので毎朝結構な時間をかけて剃る必要があり、これはとても面倒だった。

⚪︎とにかく暑いし寒い

そもそも頭部を寒さや暑さから守るために髪が生えてるのだから、無くした時のダメージはすごい。

夏は頭皮にすぐプツプツと汗が吹き出してきて、フレッシュフルーツみたいになる。ハンカチじゃ足りないからタオルを持ち歩いた。

冬は頭皮が気温で痛くなる。キンキンだ。かと言ってワッチとか被るとガチの病人みたいになり周りからめちゃくちゃ気を遣われる事になる。

⚪︎仕事は捗る

客先に行くと先方の人は「あ!剃ったの!」と聞いてくる。特に面白かったのは、薄毛のスタッフさん達がキラキラした目で話しかけてくる事だ。

こちとらハゲカーストの一軍になったもんだから、相手の薄毛に配慮する必要もない。

「⚪︎⚪︎さんも相当キテますね!ザビってますよ!剃りましょうよ!」

こんな事を平気で言えるようになる。担当の顧客の中で数人が私に続いてハゲカーストの一軍デビューした。

この頃、私の売上げは激増した。

その後、私は辞令で単身赴任する事になり、赴任先で半年経過後に離婚を迎える。

独りぼっちで、ハゲで、バツイチだ。その頃は愛媛にも友達がおらずガチでどん底だった。

そこから登山に出会い、愛媛で多くの友達ができて、己を運命を受け入れた頃に髪が復活した。

既に諦めてたから、どうでも良かったがシャンプーを選ぶ楽しさが出来たのは良かった。

生えた

どの道、いずれ年齢に寄る薄毛はあるだろうが既にどうでも良い気持ちだから何とも思わない。

気づいた事

ストレスがピークを迎えて3か月後くらいから身体に異変は起こる。時差があるから気をつけて欲しい。

そして1番大事なのは受け入れたり開き直る事だ。

起こった事実は変わらない。変えられない。しかし向き合い方は変えられる。与えられた時間を苦しみに捧げるか、笑い飛ばすかは自分次第だ。

自分に起こった苦しみや悲しみが「人類初」の事例じゃないのなら、同じ道を過去に辿った先人達が幾らでもいると知る事だ。

この苦しみを超えたパイセン達がいると思えば気持ちは軽くなる。その人達に超えられて自分に超えられない訳がない!と信じる事。

まぁ脱毛とか離婚とかそんな事は世の中幾らでもあるのだが、渦中に居ると苦しいものだ。後ろばかり振り返り「何であの時…」と考えても仕方のない事ばかり考えるものだ。

周りは気を遣って励ましてくれるが、耳には入らないし、下手したら「適当な事いうんじゃねぇよ!」と言いたくなったりする。

だがしかし、時間が必ず洗い流してくれる。コレは間違いない。カップ麺と同じだ。何するにしても相応の時間が必要なのだ。

時間は残念ながら前にしか進まない。そしてどんな人にもどんな境遇にも等しく平等に与えられる。

それをどう使うか。そこだけだ。立ち止まって置いてけぼりにされるくらいなら、泣きながらでも歩け。

私からは以上です。

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