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「高輪うしまち」−牛が受け入れる虹とわんこ–『名所江戸百景』

今日は家族で一年ぶりくらいの家族で焼肉食べ放題でした!最近は食べる量も減ったから質の良いお肉や一品をじっくり食べるのが良いと思っていましたが、家族で食べるならガツガツいける食べ放題が一番かもしれません。気品とか気にしなくていいし笑。!

久々にお腹パンパンです!そんな今日も広重。今回は『名所江戸百景』「高輪うしまち」です。

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◼️ファーストインプレッション

癒されるの一言に尽きる、、?笑。多分人間が捨てていったスイカの皮に集ってきたわんこたちが草履の紐を咥えながら海岸を眺めています。体がまるまるしていて歩く姿を想像するだけでもめちゃくちゃ可愛いんだろうなと感じてしまいます。

人力車か何かの車輪がとても大きいのか、犬ちゃんがちっちゃいのかわからなくなりますね。

海には白い帆を立てた船がたくさん航海しています。商船や人を運ぶ船が多く行き交っていたところなのでしょう。高輪は。

空に目を向けると、薄白い弧が描かれています。きっとこれは虹でしょう。広重の描く虹は赤っぽい靄に黄色の靄、その下に青みがかった靄の3本立てが基準だったのでしょう。江戸時代に描かれた虹の描写について知り滝なってきました。

◼️高輪 牛町

題名にある通り、この絵を描いているのは高輪にある牛町という場所のことですが、現存していません。

東京メトロ泉岳寺駅の東側に牛町は存在していました。

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この地図でいうと、上の紫のPマークの辺りであるらしい!

今は埋め立てられていますが、当時は山手線や京浜東北線、上野東京ラインのある方向には海が広がっていたということです。


寛永11(1634)年の増上寺安国殿建立、13(1636)年の市ヶ谷見附石垣普請の際、当時江戸にはなかった重量運搬機である牛車が大量に必要となり、幕府が京都四条車町の牛屋木村清兵衛を中心とする牛持人足を呼び寄せて材木や石類の運搬に当たらせた。工事終了後、褒美として、この町での定住を認め、牛車を使っての荷物運搬の独占権も与えたため、「車町」(通称牛町)とよばれるようになった。『江戸名所記』によれば、牛の数は多い時で、およそ千頭に及んだという。西側は車置場や牛小屋が並んでいたが、東側は海で眺望にすぐれ、月見の名所として、7月26日の二十六夜待にじゅうろくやまち、8月15日の仲秋の名月には大勢の人が集まり、賑わいを見せた。

市ケ谷見附石垣普請の際に必要になった牛車を集めるために、江戸に京都の牛屋木村清兵衛などの牛持人足を呼んで材木や石類の運搬をしたことから、車町および牛町と呼ばれたそう。それ以降も牛持人足たちは江戸に定住していたらしい。

なのでこの車輪も牛の引いていたものなのかもしれません。

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広重『東都三十六景』「高輪海岸」です。

牛の町というくらいだから牛が前面に描かれていますね。こちらをジロリと、じっとり睨みつけている様子が、運搬用の牛の力強さを感じます。

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惺々周麿『東海道名所風景』「東海道 高縄牛ご屋」です。

大名行列がある大通りと壁一枚あるだけで、牛のいる場所との世界の違いが大きく見えますね。人々は頭を下げているのに、牛は人に引っ張られていたり。子供に乗られていたり、人間の生活に牛がどれだけ溶け込んでいたのかがよくわかりますね。

上の地図にある灰色ピンの願生寺には、周辺で働かされた牛たちの供養をする牛供養塔が建てられているそうです。

◼️虹の描き方

この絵で初めて虹を描いた浮世絵にであったかも?

他に虹を描いている絵を見て、江戸時代の虹の描き方を見ていきます。

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歌川国芳 『するがだひ東都名所』です。

やはり時代が経るにつれて主要な浮世絵師は陰影を描き出しているのが顕著な気もしますが、、!ここで描かれる虹は結構広重と似ている。白い靄の塊ではありますが、下にいくにつれて青味がかっているのは、ただの陰影でしょうか。

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歌川広重の 『六十余州名所図会 対馬 海岸夕晴』です。

対馬周辺の島の多さがよくわかる絵です。虹は結構現代に近い感覚で描かれているのかな?でも、『名所〜』の虹とあまり変わらないかもしれませんね。

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歌川国芳の 『春の虹蜺』です。

一枚めの絵と作者は同じですが、描きかたが全く違います。目に映るままのばやけたモノとしてではなく、確認できる色彩をはっきりと形取っています。しかも色の種類も増えている。ピンク、黄色、緑、青、紫、藍と深い色のレパートリーが多めですね。

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川瀬巴水 『旅みやげ第3集 より 加賀八田 秋の虹』です。

上の絵に比べて輪郭がはっきりしていないのにもかかわらず色の識別がはっきりしています。川瀬巴水というと昭和初期から中期にかけて興隆した画家ですので、虹の描き方が段々と写実的になっきましたね。

虹の違いを見るのもとても面白いものでした。牛町の成り立ちとそこの描かれ方と、江戸時代の浮世絵での虹の描き方を見ていきました!

今日はここまで!


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