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「副業出版」の手引き書 個人事業主の売上を増やすKindle出版術を公開 - 読書感想文
概要:
物書きにとって、本を出版しベストセラーの称号を手に入れるのは、1つのステータスであり、目標でもあります。そんな中、これまでまったく予想もしなかった分野から彗星の如く現れた新進気鋭のWebライターが放ったせん光が光り輝いています。
本書は、副業と出版というコロナ禍で加速する世の中の変革の中で、最もホットなトピックを扱った新刊です。2021年9月9日の出版というにもかかわず、すでにKindleストアで複数のカテゴリーでベストセラー街道をばく進中です。
出版という古い業態にWebライティングとWebマーケティングの技術を取り入れ、「副業」 「出版」 「個人事業主」 「売り上げを増やす」「Kindle」この5つのキーワードを鋭く突いた、ベストセラーとなるべくしてなったと言えます。
この本は、これまでAmazonが日本でKindleストアを開始して、個人に出版という自由な選択肢を提供してから十年が経過しようとしている今、現役または近い将来著者または作家をめざすものが一度は必ず手にしておくべき一冊でしょう。まさに、「セルフパブリッシング2.0」と呼ぶにふさわしいと言えるものです。
この本のメッセージ:
「副業出版」の手引き書は、意外なカテゴリーから生まれ出たWebライティングのプロが新しい出版というビジネスのありかたを実証しています。
本書が訴えるメッセージは、「売る経路」つまり「書籍の存在を潜在意識(見込み客)へ知らせる経路」が必要であり、それを前提として文章は書かれるべきというものです。
つまり、執筆とはアウトプットであり、アウトプットの価値を高めるのは、より多くの読者がお金を払ってそれを求めるか否かできまるという前提で、全てのプロセスがすすむべきと言うことです。
筆者について
『副業出版』の手引き書の筆者は藤原将さんです。現在、Webライティングの第一線で奮闘するフリーランスで、合同会社ユートミーという会社の代表です。
藤原さんは、Webメディアの記事作成や編集業務、電子書籍の企画・執筆代行しています。もともと美容師として働いていたのですが、生活苦や言語疾患に悩まされフリーランスライターとして独立し、わずか1年で法人設立後に電子書籍を2冊、単行本を1冊出版しました。
このきっかけとなったのは、SNSで知り合ったデザイナーに勧められた。Kindle出版をするとブランディングになるとアドバイスを受けたことです。ここから一念発起し、Kindle本を出版します。そして、2冊目の商業出版を経て、今回の出版まで至ります。
誰がこの本を読むべきか
セルフパブリッシングでKindle本を出版し、自分の考えや作品を世に問いたいと考えている現役または将来の著者、作家。自分の作品を意味あるものにしたい、ベストセラーにしたい、また自分のビジネスを成長させたいと思う著者、作家には必読アイテムです。
なぜ、この本を読むべきか、そのメリット、その理由は?
「自著は名刺であり、収益を生む商品であり、集客経路の1つ」
筆者は、個人事業主にとって自著は名刺であり、収益を生む商品であり、集客経路の1つと言います。したがって、貴重な価値を持つ自著が「自分自身でコントールできない」のは高リスクであり、一人奮闘する事業主を間接的に応援できればと考えています。
このアプローチを前提として、藤原さんは副業出版を成功させるために重要となる「どう企画し、読者へ届けるのか」が抜け落ちていると指摘します。
つまり、副業出版を成功させるためには、次の2つの要素があると言います。
1. 企画立案、読者設定、目次作成と、原稿制作のための準備
2. 書籍の存在を潜在読者(見込み客)へ知らせる「経路」
よく考えてみれば、これは大手出版社では次の3つの領域に分業されていた業務です。
・企画立案
・営業
・書籍制作
藤原さんは、これを一人奮闘するWebライターの事業を成功させてきた中で、孤軍奮闘、全ての領域を全部1つの個人事業主の事業のプロセスとして実現したわけです。
これは、これまでの個人の電子書籍で出版するという常識を、ビジネスとして儲かる、「セルフパブリッシング2.0」へバージョンアップしたと言えるのではないでしょうか。
本書の重要な構成
本書は、大きく分けて2つのプロセスに分けて説明しています。つまり、
1. どう企画するか = インプット
2. どう読者へ届けるのか = アウトプット
という仕事の流れです。
ここで、特筆するべきなのは、本書の後半の部分です。
これまでも個人出版のノウハウ所でも扱われてきた、どう企画するかは本書の詳細に譲りましょう。
なぜならば、このあとは、後半部分の「どう読者へ届けるか」について、つまり、「経路」を作っていくプロセスが、今、特に多くの著者やライターに必要とされている部分だからです。
セルフパブリッシングの経路確保(Twitter運用編)
多くの著者にとって、どのように自分が長時間をかけ苦労して書き上げた書籍を売るのか、まったく見当が付かないというのが現状です。
自分の知り合いやSNSのアカウントで、迷惑なくらいに本の発売をアピールしたり、「広告やPRなど、費用をかけても良いから宣伝したい」と考えてはみても、その方法は見当も付きません。
藤原さんが、実際に自分自身のWebライターの事業を成長させ、その中で自著をベストセラーにしてきた秘密は、多くの部分で、Twitterであると告白しています。
実際に、「協業したり情報を交換したりする仲間や、仕事の受発注を行う取引関係者の半数ほどはTwitterをきっかけに知り合った人」であると言います。
さらには、自分のTwitterのアカウントを育てていくうちに、自分をフォローしてくれるフォロワーは、自分の将来の読者となってくれるといいます。つまり、自分の本を購入してくれる読者を、あらかじめTwitterの登録者4500万人の中から集めてくることができるわけです。
これを本の出版時の初動やキャンペーン時などでうまく連動させることができれば、あとはAmazonの強力な販売用のアルゴリズムが本を売るプッシュをかけてくれるのです。
であれば、この方法をつぶさに検討する必要があります。藤原さんは、これを次の4つのプロセスで実現していると言います。
1. 自分のポジションを明確にする
2. 未来の読者が欲する情報を発信する
3. 自分から行動してつながりをつくる
4. 反響が得られたら「反省と再行動」を実践する
では、一つずつ、藤原さんが説明するノウハウの概要を見ていきましょう。
1. 自分のポジションを明確にする
まず最初に、Webライターをはじめ、ものを書く仕事を飯の種にしている者であれば、Twitterのプロフィールで『自分のポジションを明確にする』必要があります。これは、「情報の消費者」ではなく「情報の生産者」としての自分です。
これは、次の4つの項目で表現します。Twitterのプロフィールには、わずか160文字しか詰めこむことができませんので、熟考して簡潔にまとめる必要があります。
1. 自分は何ものなのか
2. 誰に対して価値を提供できるのか
3. 実績と経験
4. 他とどのような違いがあるのか
さらに、自分自身がまだ実績がない場相手も、実際の自分の状況を正直に反映する必要があると言います。これは「わたしが提供できる価値はあるはずだ」とアイデアを捻り出す必要があるのです。
藤原さんは、「相手の心情を理解できる層〟に向けて発信することで、その層は、あなたの書籍を手にとる(将来の)読者と一致する」と言います。つまり、Twitterでアピールする自分とフォロワーとなって自分をフォローする人たちが、将来の自分の本の読者となってくれるのです。
こういったフォロワーたちに、
「この人の情報は役に立つ」
「この人を毎日チェックしたい」
「この人の情報を知人にも教えたい」
「この人が本を出したら買いたい」
こう思われるためには、どうしたらよいか、と考えていきます。
それは、何について発信しているのか、毎日同じクオリティの発信をしているのか、発信内容は信用に足るのか……などを十分に検討して発信する必要があります。
発信を見た人が抱く「この人はフォローに値するのか」のハードルを越えられるプロフィール でなければならないのです。
2. 未来の読者が欲する情報を発信する
次に、どのような発信をしていけば良いのでしょう?
その他に必要なのは、読者が欲する情報を発信できる感性です。このためには、自ら情報の消費者になりきってTwitterを使う必要があります。
まず、自分自身が欲しいと思うキーワードを特定します。そして、それをTwitterで検索します。検索した言葉を含む発信の内で注目度の高いものから選んでいきます。絞り込んだ中で、自分自身のモデルとなる発信者とそのツイートの内容を分析します。
ツイートを選ぶには、「リプライ(返信)数やツイート数、いいね数の多さ」から評価します。これらの数が多いほど、フォロワーとの関係が強いと言うことです。これが、「反響のあるツイート」の発信者がお手本となります。
さらに、なぜその投稿が支持されたのか要素を細かく分解することで、初めて自分に応用できます。そして、ある要素を発見したなら、それをさらに分解できないか考えて「だから? つまり?」と自問自答していくわけです。
このようにして、何をツイートすれば良いのか、どんな内容が反応が高いのかといった感覚を身につけていくことができます。
こうした地道な分解の反復は、Twitterにおけるバランス感覚を育み「こうすると反応をもらえそう」と勘が養われ、自分自身が影響力のある発信者として成長し、多くのフォロワーを集めることにつながっていきます。
3. 自分から行動してつながりをつくる
このように、毎日発信してフォロワーとつながっていくわけですが、フォロワーが一気に増えるわけではありません。
実は、ここからが重要なポイントです。なぜならば、多くの人が(レビュワーである私も含めて)この毎日の発信の段階で、遅かれ早かれあきらめてしまうからです。ここからの行動が、成功と失敗、事業として成長するか、停滞するかが決まります。
藤原さんがすすめるのは、「この人と交流してみたい」と感じた人にリプライすることです。リプライ(略してリプ)とは、ある人のツイートに対して返信をすることです。この発信活動とリプライを続けるほど友人は増える(=フォロワーが増える)と彼は断言します。
先ほども出てきたとおり、藤原さん自身、「協業したり情報を交換したりする仲間や、仕事の受発注を行う取引関係者の半数ほどはTwitterをきっかけに知り合った人」であると言うことは、この作業がいかに大事で価値あるものかが理解できます。
藤原さんは、こうしてつながったフォロワーのことを「エネルギーを分かち合う貴重な存在であると考えており、わたしの活動における大切な資産」と表現しています。これが、「事業活動の可能性を広げるため」にTwitterを実践してほしいと彼が強調している理由です。
4. 反響が得られたら「反省と再行動」を実践する
藤原さんは、Twitterを運用している多くのビジネスマンが「反省と再行動」を無視していると言います。これはカイゼンでいうところの「PDCA」の後半部分である「CA」に該当します。
Twitterの発信活動も「事業活動と同じように、発信活動も徐々に練度を高めなければ大きな成果にはつながらない」のです。これは、Twitterを活用する多くのビジネスライターにも共通する部分かもしれません。
多少の反響を獲得できるようになったなら、つぎは自分自身の発信活動を分析するフェーズです。藤原さんが特に指摘するTwitterの精度を高めていくための作業は次の3つです。
・ どのような発信内容が反響を呼んでいるのか
・ 発信時刻や曜日、文章量の違いが反響を左右したか
・ 自身の発信に好意を示している人は、どのような属性なのか
つまり「何を発信したとき市場はもっとも自分を評価してくれるのか」を探り当てる意識を持ち、自分なりに評価の最大化につながる行動を考えて実践することが重要なのです。
結論:
「副業出版」は、現在Kindleストアで非常に注目されている電子書籍です。少なからずのカテゴリーでベストセラーとなっています。ここまでの説明で、なぜ、この本が9月9日という出版された日からわずかの期間でここまでの注目を浴びているのかがお分かりいただけたと思います。
端的に言えば、「ベストセラー」になるべくしてなった、「ベストセラー」が発売前から予定されていた一冊だったのです。
その理由は、アウトプットを前提にして、『読者は誰か』『読者が求めるものは何か』がすでに特定されており、すでに確立された『読者とつながる経路』があり、それに対してフォーカスされた企画と制作が実行されたからです。
これは、ビジネスライター、Webライター、著者、作家、もの書きなど、執筆を生業として生きていく誰でもがしっかりと考えるべきことだと思うのです。
了
藤原氏のブログ: https://fujiharasho.com/
このレビューを書いた人:
大山賢太郎
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