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安倍元首相逝去 一つの時代の終わりと新しい時代の幕開け

安倍元首相逝去 一つの時代が終わりました。この場を借りて、追悼の意と自分の意見を述べさせてください。

とにかく明るいやまけんがお届けする人生後半戦のハーフタイムにようこそ。

一つの時代の終わり: 安倍元首相逝去

今日のお話は、「安倍元首相逝去 一つの時代の終わりと、新しい時代の幕開け」というものです。

一つの時代が終わりました。この場を借りて、追悼の意と自分の意見を述べさせてください。

日本経済はリープフロッグで世界史に歴史を刻む

野口悠紀雄氏の、2020年の著作に「リープフロック逆転勝ちの経済学」というものがあります。この本は、日本経済が、リープフロッグされた30年や世界的なリープフロッグの歴史について述べています。

リープフロッグというのは「カエル跳び」のことで、後進国が新興国を一気に抜き去って、立場が逆転するような現象を指します。

このリープフロッグですが、歴史的に、後進国である国が新興国を次々とリープフロッグしてきたというものがあります。

面白いのは、中国は世界で一番大きな文化経済圏を中世以前には持っていました。しかしその後、ヨーロッパの産業革命や大航海時代、植民地化などの流れの中で、中国がリープフロッグされました

それをリープフロッグしたのが、ヨーロッパの中でもいろんな国が後から来た国が、例えば最初はイタリアやスペイン、それがポルトガルやイギリス、そしてフランスやドイツへと進みます。そしてヨーロッパの次に来たのがアメリカです。

そして、日本はそこに必死にキャッチアップしようとしてきたわけです。それをリープフロッグしたのが、中国ということです。

中国以外にも、数知れず抜き去られた歴史というものがあるわけです。それをこの本の中で述べています。日本は歴史に残るリープフロッグされた国として、記録に残ることになるのでしょう。

この理論の中核は、成功モデルが足かせになるというものです。

これは、野中郁次郎他が「失敗の本質」で、日本の敗戦の本質を述べていた方いらっしゃいました。それと同じ結論でもあります。

いずれにしても、成功モデルが足かせになって、例えばいろんなインフラがあって、新しい最新のシステムをすぐに取り入れることができないわけです。

典型的な例としては、内燃機関、ガソリンエンジンの車をEVに置き換えると言ってもそんな簡単に置き換えられないわけです。

充電インフラもないし、エンジンを作っている労働者が100万人が失業してしまう。簡単には置き換えられない。

ただ、もともと自動車産業のなかった中国にしてみれば、EVを一気に作ってその先頭に立つことは、比較的簡単にできるわけです。

それ以外にも、いろんな分野でITなどなどの分野で日本はどんどん追い抜かれていった、というところがあります。

そういった何か日本は周回遅れと言われ続けてきました。野口氏はアベノミクスの時代に、日本の凋落が加速したと言っています。

「リープフロック逆転勝ちの経済学」 文芸春秋社 197ページ

そしてその安倍晋三氏が、奇しくも亡くなられた。銃弾に倒れました。

古い世代の記憶に残る日本の姿

私達、年配の者にとっては、冷戦とバブル期は鮮明に記憶に残っています。バブル期の終焉も、その後の経済危機もつぶさに見てきました

その後、失われたX10年と言われ続けてきました。最初は失われた10年、それが20年になり、そしてついに30年にまでなってしまいました。

そこでは、ITやオープン化といったような全く新しい技術に日本の製造業が追いついていけなかった。アジャイルなシステム開発、次々と生まれる破壊的なビジネスモデルに太刀打ちできなかった。

バブルの終焉、冷戦の終わり、インターネットの登場など、日本はリープフロッグされ続けてきました

そして平成という時代がバブルと冷戦の終焉とともに始まり、平成から令和に移り、そしてすぐにコロナ禍がやってきたというわけです。

これ、30年ぐらいのサイクルで考えれば、1960年初頭から80年代は日本がキャッチアップしていく時代、ものすごく高度成長していく時代で経済が発展していました。

その後、これが90年代から2010年代2020年までは中国の躍進し、EUとともにリープフロッグします。

ITとインターネットのビジネスモデルやGAFAMが現れて、日本が完全に追い抜かれリープフロッグされた時代だったのかもしれません。

あの年代を生き抜いたものからしてみれば、一体何が起こっているんだと、右往左往するしかなかった。何が原因なのか全くわからずに、いろんなことをマスコミで言われるままに聞いているだけだった。

一つの時代の終わりと新しい時代の幕開け

しかし今、時代はまさしく変わろうとしていないでしょうか?

中国は停滞を始めています。数々の経済指標が日本のバブルとそっくりの状況だと指摘しています。例えば、民間の貸付の状況の統計などを見るとそれがわかります。「中国経済は不振長期化か、非鉄相場が暗示する世界共倒れリスク」JBPress

中国経済は不振長期化か、非鉄相場が暗示する世界共倒れリスク」
JBPress 民間債務比率は日本のバブルと酷似

ウクライナの侵攻、ロシアのウクライナの侵攻でEUの経済も混乱しています。

マスコミは、これまで日本が周回遅れとなっていることに警鐘を鳴らし綴れててきました。

一方で、政治家や経営者は責任逃ればかりで、誰もそこから抜け出す方法を示してリードしてくれなかった。少なくとも安倍元首相は、一度失敗した政権を取り戻し、それを示そうとした

しかし、野口氏が言うように、ちょうどその同じ時代、日本はさらに凋落していきました。どんどんと下降線、下り坂を転げ落ちていったということです。

スイスの国際経営開発研究所(IMD) の世界競争力ランキングで日本の順位をみると、ランキングの公表が開始された1989年から1992年まで、日本は1位だったもののが、2020年には34位まで低下した。

「リープフロック逆転勝ちの経済学」 198ページ 国際ランキングで、トップから 34 位に

そして、令和になり、コロナ禍となり、さらに事態は悪化しているようにも思えます。

平井元科学技術大臣は2020年8月、「今までの国のデジタル政策は役に立たなかった。私自身は『デジタル敗戦』だと思っている」と述べました。

今、日本はデジタル敗戦のどん底にいると言えるのでしょう。これは多くの人たち、自分も含めて、重なる部分が少なくないのかもしれません。

であれば、今度は逆に、全く逆に考えることもできます

今まさに、日本はリープフロッグする絶好のタイミングにいるということです。

日本はオワコンか

私は、これまで失われたX十年や日本企業の凋落を批判する記事にはもう飽き飽きとしています

そうではなく、何かブレークスルーする、リープフロッグするそのきっかけとなるような新しい発見、発明、ビジネスの記事を常に探しています

暇があれば、そういう記事がどこかに出てこないかと探しています。

そんな中、安倍元首相の逝去に関して、アメリカのノーベル賞経済学者のクルーグマン氏のツイートが拡散しているのが目に入りました。

クルーグマン氏は安倍氏との会談のときの記憶を想起し、現在の日本に対するコメントをしています。それを邦訳した記事のタイトルは、「日本はまだ、オワコンではない」というものです。

日本が「オワコン」であるはずがありません

最近、2020年10月。菅元首相は2050年までに温室効果ガスゼロ宣言と、デジタル庁の創設を発表しました。そして、大胆な投資予算を立て、これをバックアップすると宣言しました。

一昔前では考えられないような何兆円、何十兆円という金額が飛び出してきました。日本の国の予算が100兆円少々ですから、その5%から10%を使うわけです。

どこからそんな金が降って湧いてくるのか不思議になりますけれども、それを今やろうとしている。

そしてそれを、岸田現総理が引き継いだ。

この国の多くの人が未来を向き始めている

AIで日本をリードする東大の松尾豊教授は、日本と海外の企業マインドを比較して、「日本は世界ナンバーワンを取ろうという強い意志とそのための戦略が欠けている」と「人工知能は人間を超えるか」という著作の中で述べています。

日本は世界ナンバーワンを取ろうという強い意志とそのための戦略が欠けている

人工知能は人間を超えるか 松尾 豊 Location 1094


その後、2019年5月、NTTは、IOWNという構想をぶち上げました。Beyond5Gとか6Gとか呼ばれるものです。「NTT Technology Report  for Smart World 2O2O IOWN: Change the World」 

NTT Technology Report  for Smart World 2O2O IOWN: Change the World

今、5Gとかいって騒いでいますが、その次を狙っていこうする2030年頃の巨大構想です。そこから始まるであろうものを、今から準備していくというものです。

ここで言ってることはムーアの法則、半導体回路の集積密度は1年半~2年で2倍となる」という法則が、これまでシリコンの半導体が、その処理能力がどんどんと増えていくことによって、ITの発展やインターネットに関連した経済が大爆発的に起こってきた。

これはもうそろそろ終焉に向かっている。ムーアの法則は起こらない、どんどんと半導体の能力を上げることが難しくなってきている。

そこをブレークスルーするのは光半導体、光を使った半導体となる。それを使った通信システムのインフラを作り上げる。そして、欧米企業とコンソーシアムを作って、NTTはグローバルなスタンダードになろうとしています

そして、これが今のGAFAMに立ち向かう戦略であると宣言しました。

NTTの独裁者・澤田社長を直撃!「GAFAに対抗」をしつこく唱える理由

そこには、今騒がれているWeb3とか、ブロックチェーンであるとかメタバースであるとか、NFTであるとかといった、全く聞いたこともないものが始まろうとしています。

インターネットが出てきたときに何が起こるのか予想できた人は少なかったけれども、今、Web3というインターネットの先を行くようなものが動き始めようとしている。そういったところのインフラを牛耳るんだという宣言をしたわけです。

私はものすごく心強く感じました。

日本は今GAFAM誕生期のアメリカに近い?

最近7月6日、ForbesJAPANは、こんな記事を掲載しています。

周回遅れの日本デジタル通貨、一気に世界トップにする良作とは」という記事で、ディーカレットDCPの時田さんとアクセンチュアの武藤さんの対談を載せています。

そこでは、日本はアメリカと比べて周回遅れと言える。しかし、諦めるにはまだ早く、一気に世界のトップに立てるチャンスがあるといいます。DCJPY (仮称)という、日本円と完全に連動する、銀行がバックアップするバーチャルカレンシーを作っていく

そうすれば、ビットコインのように不安定でハッキングされたり、詐欺に遭ったりというような、そういった不安定さは取り除かれる。そして、今あるインフラ、今ある資産をその裏付けとしていくことができる。

全くハイブリッド的な発想ですよね。アジャイルにしても実はそうで、ハイブリッド・アジャイルという言葉を出してきている人たちがいる。(ハイブリッド開発とは何か? “アジャイル型”との違いや推進体制を解説 |ビジネス+IT

アジャイルは、もともとトヨタや日本の生産方式をITに取り入れたものです。それをウォーターフォールと呼ばれる大企業でも使えるようなものと、アレンジをしていく。ハイブリッドにしていくという考え方が出てきた。

こういったものが今の日本の企業のインフラの中で動いていくようになっていけば、何か面白いことが起こりうるのかなという気がします。

一方で、若い世代からの躍動も見えてきました。

藤野英人さんはレオスキャピタルワークスの代表で投資家の方、ファンドマネージャーですが、東証マネー部、東京証券取引所のインタビューに、藤野英人が日本市場に期待する理由というインタビュー記事を載せられています。これは6月27日のお話です。

時価総額上位の顔ぶれは今後20年で大きく変わる」。藤野英人が日本市場に期待する理由

彼曰く、日本は今GAFAM誕生期のアメリカに近いといいます。そして、若い世代のレベルの高さに驚いている

彼らは今後20年で、日本経済を大きく変化させる。それだけのパワーを持ってる

世の中の課題と向き合い、レベルの高いアイディアを考える学生がとても多くいる。これはSDG対策の教育の影響があるかもしれないと言っています。

新しい時代の幕開け

菅本総理が掲げた脱酸素の目標の期限は2050年、今から30年後です。これからの30年を決める決断、英断だったと言えるかもしれません。

今、この国の多くの人が未来を向き始めています

後から振り返ったとき、この事件、このコロナ禍から、次に進んでいく。この時代をどう表現することになるのでしょう

そして、それは我々一人一人、自分自身にも当てはまることではないかと、考えています。

安倍元総理のご冥福をお祈りいたします。
合掌

画像出典: 首相官邸ホームページ


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