大冨利恩

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最近の記事

小林秀雄は人工知能をどう見たか—人間の常識と機械の論理—

小林秀雄のエッセイの中に「常識」というものがある。機械化される社会の中で人間の常識がどう働くかを書いたものであり、昭和34年発表の文章ではあるが、早くも人工知能についての記述も出てくる。彼は人工知能(本文中では人工頭脳と表される)について、

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    • 僕らがセーブせずに電源を切ってしまったことを嘆く最後の人類になるだろう

      お盆の帰省ラッシュを避けて少し早めに故郷へ帰った。帰ったと言っても、何か特別な用事があるわけでもなく友人もまだ帰ってきていない。久しぶりにゲームでもするかと思いしばらく電源をつけていないNintendo Swichを引っ張り出してきた。案の定、充電が切れていて電源がつかない。充電器を差し込んで復活するまで手持ち無沙汰に過ごす。ふっかつのじゅもんは必要ではなく、そこには電気のやり取りだけがあった。 ようやく生き返ったので電源をつけて「ポケットモンスターブリリアントダイヤモンド

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      • やり始めても手が止まってしまう時は本当に不調な時だ

        やる気が出ないと感じるのは人間の常である。人間というのは極力楽しようとする生き物だから、どんなに楽しいことでも、そこそこの労力のかかるものは始めるのが億劫だ。しかし、一度始めてしまったら作業興奮という状態に入り、長時間取り組むことができるというのが人間の性質である。だからこそ、やる気が出なくてもとりあえず手をつける。これがやる気が出ないと悩む人への一般的な処方箋である。 しかしながら、僕にはやり始めたはいいものの一向に作業に没頭できずに手が止まってしまう時期がある。これがく

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        • 「本を読んでいない人とは話ができない」は本当か

          先日、Xで「本を読んでいない人とは話ができない」という内容のポストがバズっていた。そして、それに対する反応は軒並み肯定的なものであったことが深く印象に残っている。 このような、本を読んでいない≒勉強をしていない人々のことを軽蔑するような意見はあまり気持ちのいいものではないが、事実としてこういう主張をする人々には、勉強している人とは円滑なコミュニケーションが取れるが、勉強しない人とは取れないという実感があるのだろう。 これは、本当なのであろうか?また、本当だとしたらなぜなのだ

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        小林秀雄は人工知能をどう見たか—人間の常識と機械の論理—

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          旅立ちの新幹線において

          旅立ちというのはこうも浮き足だったものだろうか、元々いたA地点から、これから行くB地点に行くまでの間に、僕はどこにも所属していない存在になる。完全な浮浪者になる。しかし、ここは日本だ。外を見ると、どこにもあるような畑や家がある。はっきりは記憶していないが、いつもみた景色。自分が属しているようで、何の関係もない。そんな無限に広がる小さな隙間の中で、線の上で、僕の心臓だけは絶えず一定のリズムを刻んでいる。

          旅立ちの新幹線において

          岡本太郎の情熱に涙した日「自分の中に孤独を抱け」岡本太郎

          大学受験と人間関係に行き詰まりを感じたことから精神を病み、鬱病になった。現役では大学に入ることができず、病気が完全に良くならないまま浪人に突入した。 僕はもともと勉強自体はそんなに苦にならない。むしろその中に喜びさえ見出すことができたが、浪人時代に精神に応えたのは「孤独」だった。大手予備校のカリキュラムが自分の今の身体と精神の状態ではとてもこなせないと感じたため、宅浪を選ばざるを得なかった。 浪人すると、社会から外れてしまった感覚に陥り、疎外感を感じるということがよくある

          岡本太郎の情熱に涙した日「自分の中に孤独を抱け」岡本太郎