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小林秀雄は人工知能をどう見たか—人間の常識と機械の論理—

小林秀雄のエッセイの中に「常識」というものがある。機械化される社会の中で人間の常識がどう働くかを書いたものであり、昭和34年発表の文章ではあるが、早くも人工知能についての記述も出てくる。彼は人工知能(本文中では人工頭脳と表される)について、

機械は、人間が何億年もかかる計算を1日でやるだろうが、その計算とは反覆運動に相違ないから、計算のうちに、ほんの少しでも、あれかこれかを判断し選択しなければならぬ要素が介入してくれば、機械は為すところを知るまい。これは常識である。常識は、計算することと考えることとを混同してはいない。
21世紀、AIブームの現代から見るとこの小林の主張はある点では間違っていたがある点では的を得ていると言える。

小林秀雄『考えるヒント』p18

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