見出し画像

「まっ、いっか」

一時期、私は終活を考えました。

94歳のお友達に相談したんです。

「終活は、何から始めるんですか?」

彼女は言いました。

「まず、執着を手放すこと。具体的には物を捨てることね。物には、想いがへばり付いているから。」

そして、こう続けました。

「私があなたの年齢だった頃、やりたいことが山ほどあったわよ。あなたは、まさにこれからでしょう?」

そう言われて、全然相手にされませんでした。

突き放されてしまったのなら、考え直すしかありません。

それからでしょうか、何かが変わった気がします。

気づけば、「まっ、いっか」と、1日に何度も口にしています。

私の持ち味の気性である、

「どうでもいいや」「別に……」「なんでもいいかげん」「たまに本領発揮」

といった傾向が、一層顕著になったのです。

持ち物も、ものぐさな性格も、部屋の様子も、だいたい同じなのに、気持ちのトーンが違うんです。

これも、ある意味、執着を手放したような感覚です。

私自身、鮮やかになった気がします。

(あんなに嫌いだった)オレンジ色も、抵抗なく受け入れられるようになったし。

むしろ、好きになったくらいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?