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大学生活を彩ったたい焼き屋さんの思い出

原作のりようさんから「あんクリ製作委員会」にお招き頂き、小説を書いたり朗読に挑戦したりもしている「あんこちゃんとクリームくん」シリーズ。

たい焼き屋さんが舞台のこのお話に携わるに当たって、わたしは、通っていた大学の最寄り駅前にあったたい焼き屋さんについてググった。

———同じ学科の友達と何度も足を運んだ、学生生活の思い出の一つであるたい焼き屋さん。
2年前、卒業した時には確かにやっていたそのお店は、今はもう閉業していた。

***

朝から夕方まで講義を受けると、帰る頃にはお腹がペコペコになってしまう。
家で母が夜ご飯を作っていることを知りつつも、電車を乗り継いで帰るまでの腹抑えを口実に、わたしは時折友達とたい焼き屋さんで買い食いをした。

中にあんこがぎっしり詰まったベーシックなたい焼きや、パイ生地の中にあんこやクリームが入っているもの。
午前中だけで講義が終わって帰る時には、たこ焼きを食べたりもした。

小さなカウンター席に友達と座って食べると、ひとりで食べるよりも美味しさが倍増する気がして。
他愛もない話をしながらたい焼きやたこ焼きを食べる時間は、至福だった。

午後からの講義に出る前にたい焼き屋さんに寄って、大学に向かおうとしたら、細長い箱に入ったチーズケーキをお店の前で押し売りされて、友達と一緒に大学のラウンジで切り分けたこともあったっけ。
4年も同じ場所に通えば、頭を過ぎる思い出は積もるほどある。

———1つ150円でお腹を満たしてくれる、学生の財布に優しくて美味しいたい焼き。
あの小さなたい焼き屋さんの跡地はどうなるのだろうと思いを馳せながら、わたしは言葉を、物語を紡ぐ。

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