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マネーフォワードの決算内容を3分で解説!

今回はマネーフォワードの決算内容について見ていきましょう。
個人のお金の管理から始まり今では法人のクラウド会計までビジネスの幅を広げているこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+37.4%の214億円となりました。営業利益は引き続き赤字となっており、前年から赤字幅が74億円増加して△84億円の営業損失となりました。
当期純利益に関しても赤字が続いており、前年から80億円損失が増加して△94億円の純損失という結果となりました。

出所:決算短信

まだ黒字化に向けて舵を切るというフェーズではなくとにかく売上高増加による事業規模の拡大に注力するフェーズと考えられるため、赤字幅の拡大は想定内のことだと思います。

では内容を見ていきましょう。
まだ成長過程ということもあり売上高はここ数年で急激に伸びています。
連結決算を組むようになったのが2017年決算からなので、ここ6年間で売上高は7.4倍に膨れ上がりました。
もちろん連結決算なので、連結対象の子会社が増えればその分売上高も増加していきます。ちなみに現在の連結対象子会社数は19社、持分方適用会社は2社となります。

出所:決算説明資料

またドメイン別に内容を見ていきましょう。
ドメインとしては4つ「Business」「Home」「X」「Finance」があります。各ドメインと大まかな内容は次の通りです。

出所:決算説明資料

◇Business
法人向けクラウドサービスで、経理や人事などのバックオフィス向けのSaasとSaasマーケティング支援が主なサービス内容です。
課金顧客数はこの4年間で倍増して、法人顧客数は10万社を超えました。

出所:有価証券報告書

法人向けBusinessとしては、電子帳簿保存法やインボイス制度の開始など今後事業拡大につながる環境変化の追い風もあります。
この法改正に沿って更なる法人顧客の取り込みが進めば売上高の増加が期待できます。

出所:決算説明資料

実際に2021年から2022年にかけてマネーフォワードクラウド会計を導入する会計事務所が増加しています。
この1年間で会計事務所での導入シェアが13%から21%へ+8%拡大しました。

出所:決算説明資料

また会計事務所でのクラウド会計の導入が増加しており今後も顧客数を増やしていくチャンスは広がりそうです。

出所:決算説明資料

◇Home
このドメインに関してはみなさんCMなどで馴染みがあると思いますが、個人の家計管理・資産管理をサポートするサービスです。
サービス提供開始以来着実に利用者数を伸ばしており、現在は1,400万人を突破しました。
そのうち課金利用者数も順調に伸びていて、40万人を突破しマネタイズに関しても順調に進んでいます。

出所:決算説明資料

このサービスの特徴の一つして金融関連サービスとの連携がありますが、この連携できる件数の変更がありました。
課金利用者のプレミアム会員は連携の件数は無制限で利用できますが、無料会員に関しては連携できる件数が従来の10件から4件へ減少しました。
この変更によって無料会員からプレミアム会員へ人が流れていき、課金利用者の増加へ繋がりました。
やはりサービス利用者にとって金融関連サービスとの連携は外せない内容であることが証明された結果となりました。

出所:決算説明資料

また新たなサービス機能の開発にも余念がありません。
最近様々なサブスクリプションサービスがありますが、そのほとんどが自動更新契約になっています。
利用頻度の低いサービスでも気づかないうちに契約を更新してしまっているケースも多々あるかと思います。
そこに着目したサービスとして、サブスクに関する支払い状況を一目で把握することが可能なサービスを始めました。
この様な時代の流れに沿ってサービス内容を追加している点も魅力の一つかもしれません。

出所:決算説明資料

◇今後の成長の見通し
FY21-24にかけて売上高の成長率は+30-40%を掲げています。
実際にこのFY22は+37.4%の成長と目標を達成しています。
次のFY23の売上高の見通しとしては+28-38%の274-296億円を見込んでいます。
また営業利益ではなくEBITDAベースではありますが、FY24には黒字化を達成する目標を掲げています。
そのためにもまずは目標通りの売上高の増加が必須となってきます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体としては前年末から+90億円増加しています。

出所:決算短信

内訳としては流動資産では△52億円減少しており、そのうち現預金は△95億円減少しています。この点に関しては後のCFの状況で触れていきます。

また固定資産全体で+142億円増加しており、のれんやソフトウェア、投資有価証券で大きな増加が見られました。
のれんに関しては+14億円増加していますが、これは新たに連結子会社に1社加わりましたので、株式取得をした際に発生したのれん+19億円が影響しています。

出所:有価証券報告書

ソフトウェアに関しては、この会社の核となる資産なので資金を注ぎ込んで投資した結果です。
ソフトウェア仮勘定も合わせると+34億円増加しています。

投資有価証券に関しては非上場銘柄も含めて+82億円増加しています。
非上場銘柄に関して見てみると、14から22銘柄と銘柄自体増加しています。
詳細は分かりませんが、かなり積極的な投資金額かと考えられます。

出所:有価証券報告書

負債の部に関しては+162億円増加しています。
このうち短期・長期合わせた借入金全体で+83億円と大幅に増加しています。これは赤字が続いているため運転資金不足に対する資金調達と、長期的な投資に対する長期目線での資金調達の2つの目的があります。

純資産の部に関してはやはり当基純損失△97億円が大きく響いています。
一方で投資有価証券への投資が進んだことでこの評価差額金が+8億円程度増加しています。

出所:決算短信

安全性の指標について見てみると、流動比率(流動資産÷流動負債)は161%と目安の200%は下回っているものの100%は切っていないので、とりあえずの支払い能力は大丈夫そうです。
運転資金の不足分は短期借入金でしのいでいるので当然と言えば当然の結果ですが。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△97億円減少しました。内訳としては営業CFで△41億円、投資CFで△147億円、財務CFで+90億円という内容です。

出所:有価証券報告書

営業CFは赤字が続いているので現状ではプラスに転じることは厳しそうです。ただ経営目標の中でFY24にはEBITDAベースでの黒字化を目指しているので、その時は営業CFもプラスに転じるかもしれません。

投資CFに関しては投資有価証券の取得で△79億円、連結子会社株式の取得で△18億円の支出と大きな案件がありました。

財務CFに関しては営業CFと投資CFのマイナスを補填すべく資金調達をしていますので、その借入金の増加分プラスになっています。

まだ成長フェーズであるためどうしても投資が先行してCF的には厳しい状況が続いています。
こうなってくると運転資金の不足分は直ぐに資金調達できる環境を整えておくことが重要となってきます。
そこで現在取引銀行4行と総額133億円の当座貸越契約を結んでいます。
ただ既に82億円は借入済みのため、実質借入可能額は51億円となります。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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