小さなSFっぽい

小さなSFっぽいものを書きたい

という、こちらで書いているものを載せます。



第1話 砂糖の粒と大宇宙の粒

昔々、砂糖の粒が駄々をこね、大宇宙の粒と入れ代わったらしい。
お陰で、シュガー入りの珈琲は皆を宇宙の深淵へと連れてゆくようになったらしい。
そして、大宇宙はちっぽけになったらしい。
あと、甘いらしい。



第2話 借り物の脳

私の脳は借り物の脳だ。

私は活字中毒である。その活字達から思考を日々摂取しなければいけない。活字を読む以外の時間は、読んだ活字について考えている。何かあれば活字に問い、全てを活字にゆだねていた。片時も活字を手放さなかった。

ある日、私の脳には自我が芽生えた。自分の脳が、活字を読まずに自分自身で考えると決めたのだった!
ヨチヨチ歩きをはじめた脳は、もう借り物の脳ではなかった。爽やかな自分を、軽やかに動かしはじめたのだ。そう、自分自身で!!

春の緑たちはキラキラと私の脳を称えているかのように、煌めきはじめた。

……。

そこまで読んで、私は『借り物の脳』というページを閉じた。



第3話 という名の、時空

夕方という名の、時空。
赤くて大きく曲がる時空に、さざ波のような切なさの煌めく。夕方という名の、時空。


喫茶店という名の、時空。
珈琲の香りのゆらめくかたち、ステンドグラスの美、ひとりひとりの時の流れ、ひとりひとりの空間の歪み、ピアノとスプーンの音楽の流れ。喫茶店という名の、時空。


君のとなりという名の、時空。
わかるかな? 永久でもあり刹那でもある、愛しい時空。君のとなりという名の、時空。


夕方。喫茶店。君のとなり。
不思議な時空があるという。



第4話 次の夢の

「もしもし。次の場所を知りたいのですけれども」
と、聞こえたような気がした。

夢、やぶれて、へそ曲げて。カフェで一服していた時のことだった。誰か電話でもしているのだろう。と思ったが、どうしても引っかかった。

次の場所。

いったいどこなのだろうか。次の現場。次の家。次の町。次の国。次の星。次の宇宙。次の……。次から次に、次の場所という世界が私の中で広がった。
そう。私も次の場所へ行きたい。次の夢へ行きたいんだと思った。それで私は次の夢へ向かうことを決めた。

カフェを出ると、次の夢たちがキラキラと木漏れ日のように煌めいているようだった。

カフェの片隅。そこでは次の夢の神様が今日もほほ笑んでいるらしい。



第5話 宇宙の謎

ある日の話。

「宇宙の年齢がのびたそうだよ」

「そらそうだ。おいらも一つ歳をとった」

「それは比べ物にならんさ」

「そらそうだ。人生は比べるもんじゃねえ」


また、ある日の話。

「宇宙で銀河が見つかったそうだよ」

「そうかそうか。おいらは毎日、家で眼鏡を見つけているよ」

「その銀河には宇宙の謎が隠されているらしいぞ」

「謎だなあ、おいらの眼鏡はひとりでに隠れるらしいぞ」



はい。ということで、ですね。

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