宇宙SF:ぼくの友だち、ピヨピー
ぼくの友だち、ピヨピー
「そんなこといったって……」
ぼくの友だち、ピヨピー(宇宙人)はまた無理を言う。
『チョット、ボクノ星ヘ寄ッテッテクレロ?』
いやいや、ピヨピー。ぼくにもできることとできないことがある。
確かに、ぼくは君にチョコチップクッキーをあげた。ピヨピーは驚いて
『不思議デ最高! 神様ノヨウニ美味シイ!』
と喜んでくれた。
また、確かに、ピヨピーが雨に濡れてダンボール箱の中で震えてた時、傘をさしかけてあげたら、
『オ主ハ、神様ノヨウニ優シイ!』
と感激してくれた。
だからといって、ぼくのことを神様と思ってくれても、困るんだ。ぼくは宇宙にいくなんて、神様のようなことはできたためしがない。
『神様、宇宙ニ行クコトヲ試シタンカ?』
「いや、試してないけど……」
『試シテミンシャイ!』
「え……」
そこで、ぼくは試すことにした。
「君の星はどこに有るんだい?」
『ナアニ。簡単ダヨン』
あっという間にピヨピーの星へ着いてしまった。
『君ハムズカシク考エスギダノ!』
「……」
ピヨピーの星は、美しかった。まるで、地球の美しい部分のよう。緑や草花。笑顔の町や、美しい海。さわやかな空気に可愛い動物たち。
「ピヨピー、綺麗な所だね。良い所だね」
『地球モイケテルヨ』
「そうかなぁ。地球はまだまださ。もっと良い星にしたいけどね」
『神様ガ、モット良イ星ニスルトヨイノ』
「……」
『ノ!』
「……そうだね!」
ぼくは。ピヨピーに、ひとつ学んだことがある。試してみてないのに、できないよなんて、言わないことだ。
ありがとう。ピヨピー。
帰りの宇宙道、ピヨピーが手をふって、地球へみおくってくれた。星は美しくッテ、何だろう。光の揺らめくのは、ボヤアとにじむのは、宇宙の揺らぎか時空の歪みナノかナ。
ただいま。大好きな地球。もっと良い星にしたいな。小さなぼくらの大きな意志で。
ね。ピヨピー?
めでたしメデタシ。
終わり
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