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テスト:第十九話

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藤野前夜。彼は私の揺らめきに手を触れた男。

だからこそ、本日、彼を仕留めなければならなくなった。

さようなら、恋心・・・。

さようなら、藤野前夜・・・。

さようなら、言切結衣・・・。

二人の間を取り繕う恋は、本日をもって終わりだ。

そして二人とも、消滅する幻想の中、化けの皮が剥がれ落ち、何もかもが溶けてなくなるのだ。その光は虚無ともいう。私たちは人格を捨て、何もかも失う事で、やっとの思いで虚無を手に入れる。

この虚無こそ、人間の感触。

それを味わうためにセックスをする。

全てを洗い流す。その一つの本能を選び取った結果、私たちは消滅した。

人気のない第二理科室は、黒く冷たく静けさに包まれていた。

藤野前夜は消滅した。醜い白で床を汚し、実験台の上で力尽きていた。

私は丸椅子に小さく体育座りをしていた。股の間から赤い液が滴り、椅子の足を伝い床へ流れていった。細く赤黒く濁った赤、それを見つめていた。

赤い川は白い沼と混じり合う。そして濁ったところは恐らくあの桜色を連想させた。

望みはきっと、この消滅だったのだろう。私の存在を消滅させ、それで安堵したかった。君はいつだって私を恐れ、私を見ては私から視線を外し、私を避けた。

しかし・・・私が君を狩ることを伝えると、君は真剣な目で真っ直ぐと私を捉え、こちらの瞳孔の奥まで貫くように・・・まるでその瞳で私を吸い込むように、見つめてきた。

「何もかも・・・・嘘だったのね」

藤野前夜。あなたのことは、一切許さない。

私たちは互いを狩り、食らい、勝利を得た。

一方藤野前夜は、私を騙したことを自ら暴露した。

彼はセックス恐怖症などではなく、ただ私を食らうそのために近づいたのだ。

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