見出し画像

ひとり、ロングトレイルを歩く

「何で1人で歩いたの?」「1ヶ月1人で歩いて不安はなかった?」「寂しくなかったの?」そのような質問をされたことがある。

1人で歩いた理由は沢山ある。誰かとずっと一緒に歩くと、無意識のうちに気を使ってしまったり、自分のペースが乱れて疲れてしまったりする。それなら1人が楽でいいからだ。もともと私はひとりっ子で、子供の頃から1人遊びに慣れていたというのもある。

そして、なんといっても、自分と向き合うことができるからだ。自分を見つめ、自分を知る。この作業をするのに、山を1人で歩くのが最適だった。電波があれば、ついインターネットの世界に浸ってしまう。なにもない状況で1人でいると、自分と対話せざるを得ない。自分を振り返るために、1人で歩くことが必要だった。


不安は沢山あった。もし緊急事態になったときに1人で対処できるのか、常に考えていた。だから、朝は出来る限り早く出て、もし自分に何かあっても、後続のハイカーに見つけてもらえるようにした。

渡渉(橋のない川を渡ること)の場面では、あえて他のハイカーが来るまで待った。先に安全を確かめてから、1人で出来ることはやっていた。常にリスクを考えて、危険箇所では気持ちを引き締めていたように思う。


寂しさもほとんどなかった。もし完全に1人だったら、寂しかったかもしれない。ただ、丸1日誰とも話をしないということは、まずない。

山の中といっても、人が作ったトレイルだ。歩いているハイカーに、少ないながらも途中で出会う。すれ違うハイカーと言葉を交わす。その何気ない言葉だけで、元気をもらえた。私にはそれだけで十分だった。

◇ ◇ ◇

こんな風に書いてしまったら、すっごく1人が好きな人と思われてしまうけど、誰かと過ごす時間も大好きだ。

誰かと話をして、新たな世界を知ることは、1人で自分と向き合う時間と同じくらいに必要なことで。

一見相反する2つのこと。自分にとって、どちらも必要なことだと気付いたのは、1人で遮断された世界を歩いたからだった。

◇ ◇ ◇

来週、ロングディスタンスハイカーの為のイベントがある。女ひとりでJMTを歩いたことを、お話する機会をいただいた。


そのために、1人で歩いた自分の気持ちをまとめてみる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 もし気に入っていただければ、スキボタンを押してくださると嬉しいです。スキのお気持ちが、毎日書く励みになります。 (アカウントなくてもスキは押せます) サポートは泣いて喜びます。