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働くことと、自由に旅すること

旅に出た当初は、正社員の仕事を退職してから、2年ほど旅して、そしてまた日本で正社員として働こうと思っていた。一度に長期で旅をした方が、様々な面で効率が良いからだ。

でもそれ以上に、長期のバックパッカー旅は、『すぐ日本に戻ったら、旅といえないんじゃないか』そう思い込んでいた。

そんな価値観が変わったキッカケは、日本への緊急帰国だった。

◇ ◇ ◇

2年前、私は南米ペルーのプーノという街で、盗難にあった。ローカルレストランでご飯を食べている途中に、隣に置いていたサブバックを盗まれたのだ。

ご飯を食べるのは20分くらい。チェーンで括るか悩んだが、そのまま置いたのが間違いだった。背もたれのある椅子、横は壁。さすがにこの状況なら、何かあっても気付くだろうと、タカを括っていた。

でも、想定外のことが起こる。一気に団体客がきて(もしかしたら最初から狙われていたかもしれない)、周りに気をとらわれていて、注意散漫になった。

目を離したのは5分くらい。帰る時、隣のバックパックはなくなっていた。

ありえない。膝から崩れ落ち、悔しくて泣いた。南米旅をはじめて1週間。閑散期のペルーは観光客が少なく、孤独を感じていたときに起こった盗難。わたしは完全に旅疲れをしていた。

大切なものがなくなり、精神的に疲れた状況で、旅を続けても楽しめるのだろうか。日本に帰ってリセットしよう。急遽帰国する決断をした。

当時の心境をFacebook に残している。長いけど興味ある人は読んでほしい。(ない人はスキップしてください。)

ペルーのプーノでやられました。自分の不注意の部分もあり、防ぐことができたと思うと本当に悔しいです。 一眼レフ・パソコン・iPad・HDD・USドル・クレカなどなど、結構な打撃です。 唯一の救いは肌身離さずもっていた小さな鞄は無事ということ。パスポート、1枚のクレジットカード、iPhoneが手元にあること。カメラのデータがクラウド上にキューバ分まで残っていることです。 ただ、半年分の毎日書いた日記帳、読むと元気になる沢山の友達からのメッセージを失ってしまったことが悲しい。 
始めはかなり凹んで放心状態でしたが、人間追い込まれると意外と冷静になるもので、1日何をすべきか淡々とやっていました。警察へ行き保険会社に連絡し、盗まれたカード類全てストップし、何とかひと段落です。 きちんと対応してくれた警察の方々。初対面なのに片言のスペイン語で状況話したら、すごく親身に助けてくれたペルーの人々。良い人も沢山います。
さてこれからですが、良い景色を見てもカメラがない、何だかテンションが上がってこないので、日本に一旦戻ろうかと思ってます。 旅人のみんなと南米の何処かで再会できるのが楽しみだったけど、少しお休みします。私のような馬鹿はいないと思いますが、これからも気をつけて楽しんでください!まさか自分が?でやられました。バックアップはこまめにするに越したことないですー。前日の写真ないの悔しい。 そして日本の皆さま、会ったら是非慰めてください。そして大笑いしてください\(^o^)/

旅友や日本にいる友人から、本当に沢山の励ましの言葉をもらって、私は元気になった。そのなかの友人の1人が、「せっかく日本に少し帰るなら、派遣でもしてみたら?」と派遣会社を紹介してくれた。

盗難にあわなければ、南米を旅したあと、そのままカナダへ行き、働く予定だった。ただ、「金銭的に苦しいな、不安だな」と思っていたのも事実。

カナダに行くまでは、3ヶ月ある。そんな短期の仕事、あるのかと思ったけど、探せば沢山あるものだ。もちろん働くので、少しだけど金銭的にも余裕ができる。

こんな生き方があるのか。今までは、旅をしたら、ずっと旅をしないといけないと思っていたけど、旅して働いてを繰り返してもいいのか。

私にとって、それは目から鱗だった。

◇ ◇ ◇

実際に正社員や学生、無職の人以外に、色んな生き方をしている旅人と出会った。

旅をして、日本で働いて、これを繰り返している人。農家やダイビングのインストラクターで、忙しい時期は働き、暇な時は旅をしている人もいた。

あとは、旅をしながら生きている人。ブロガーやエンジニアなどのノマドワーカーや、ネイリストや美容師など手に職があり、どの国でも働ける人。不動産系の会社をもっていて、人に任せながら、自由に旅をしている人。途中で旅を止めて、気に入った国に住み着いたり、その地で起業した人もいる。

色んな人がいて、それぞれの生き方があった。皆、働くことと自由について、自分なりに考え、自分にとって大切なものを優先させて生きていた。

考えも、大切なものも、誰もがその時々で変わる。軸をもちつつ、世の中の流れに乗ってもいい。確固としたものがなくても、ゆるりふわりと変えたらいい。

この先はどう考えるか分からない。だけど、少なくとも今は、半分日本で働いて、半分旅をする生き方が、わたしには合っていると思っている。

◇ ◇ ◇

生き方は十人十色。自分にとって大切なものを常に考え、生きていく。働くことと、自由と、その責任と。色んな生き方の選択肢があり、気軽に選べるような世界。そんな世の中になってほしいし、もっとなると思う。

そして、今の生き方に少しでも疑問がある人がいるなら、色んな人生があることを知ってほしい。意外となんとかなるものだ。やらない後悔より、やって後悔する方がいい。一度しかないこの人生、やりたいことをやったらいい。

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