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私の中の本屋大賞ランキング【大賞も勝手に予想】

今年の本屋大賞ノミネート作を制覇(一冊を除いて)したので、自分の好みで作品に順位をつけてみました。どれも良いお話ばかりで、順位付けに悩みました。

4月7日に控える本屋大賞発表の当てにもならないけれど、実は前からやってみたかったマイ本屋大賞ランキング!

※Kindleに無くて読めなかった、『店長がバカすぎて』を除いたランキングです。

1.『流浪の月』凪良ゆう

◆あらすじ◆
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。(Amazon.co.jpより)

読了してから1ヶ月くらい経つけど、まだ印象が強いため1位に決定。

流浪(るろう)…さまようこと。

2人の男女が他人からの”善意”や”評判”でさまよいます。恋愛でもなく、友情でもなく、家族でもない。位置づけできない関係のお話が良かったです。あまり読んだことのない設定が自分好み。どんな関係にも「名前」をつけなかったら、人は苦しんだりしないのかもしれないな。

これを読んだ時、自分の「善意」は誰かにとっての「悪意」になっていないかを考えさせられました。「善意」と「正義」が、実は誰かを傷つける可能性があるんだと、この本から痛感。人との関係に、何も知らない第三者が口出ししたらアカンね。自分の意見を言うのはいいけど、自分の価値観を相手に押し付けないように気をつけよう。

流浪をずっと「りゅうろう」って読んでたけど、「るろう」でした!そりゃ、変換した時に漢字が出てこない訳や。


2.『熱源』川越宗一

◆あらすじ◆
樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。
開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。

一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。

文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。

金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。(Amazon.co.jpより)

熱源には「熱」がありました。歴史物だから読むのを敬遠してたことを後悔するほど、読んで良かったと思える作品。まさか、この作品が2位にくるなんて…。やっぱり何でも、読んでみないと分からないものですね。諦めなくてよかったです。

私が住むカナダは雪がまだどっさり積もっているけど、それをも溶かすほどの「熱量」がありました。『熱源』を読んで、自分が経験した差別や暴力への考え、充分に受けなかった教育の大事さを言葉にしたくなりました。以下のnoteでは、私の「熱」が溢れてしまいました。


3.『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼

◆あらすじ◆
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎【こうげつしろう】は、心に傷を負った女性、城塚翡翠【じょうづかひすい】と出逢う。
彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。
一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。(Amazon.co.jpより)

三冠獲得!
「このミステリーがすごい!」2020年版国内篇 第一位
「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング 第一位
「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー

「ドンデン返し」と「トリック」と翡翠ちゃんに魅了されちゃいました。意外な方法で事件解決ってのが、新鮮で面白かったです。3番目に印象に残っている作品なので、3位。

この作品は何度も構成とトリックを練り直して、長い時間かけて完成したそう。お話だけでなく、見えない努力も讃えたいです。トリックと抜け目なく伏線回収したところが見事!翡翠ちゃんとお友達になりたい。

実は相沢さんの作品は初めて読みました。作家生活10年らしいけど、失礼な話…存在すら知らなかったのです(ごめんなさい)。アニメっぽい表紙は手に取るまで抵抗があったのだけど、表紙で決めずに読んで良かった作品。


4.『ライオンのおやつ』小川糸

◆あらすじ◆
人生の最後に食べたいおやつは何ですか――若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた――食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。(Amazon.co.jpより)

「死ぬのが怖くなくなる」のがテーマ。この作品を書いた小川さんは、「死」が怖くないそう。私は怖くて仕方ないです。体の一部が少し痛いと感じるだけで、「死ぬ?!」ってビビってるくらい。風邪でも弱気になります。

読んでみると温かみのある優しい話ではあったけど、個人的な感想は「やっぱり死は怖い!あがきたくなる」でした。きっと自分の母親が亡くなった時の姿、それまでの自分の後悔が重なって、心穏やかに読むのは難しかったんだと思います。ただ、この物語のように色んな「死」を目の当たりにしたら、静かにその時を待つかもしれない。

どこにランクインするか迷ったのだけど、新たな「死」の捉え方は学びになったし、自分の経験は脇に置くと、ランクの真ん中くらいだなと思ったので4位にしました。


5.『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人

◆あらすじ◆
鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!(Amazon.co.jpより)

怖いグリム童話の日本版みたい。表紙のコミカルさと内容のギャップね。誰でも知っている、桃太郎や鶴の恩返しや花咲か爺さんなどの日本昔話がミステリーになっています。ミステリー好きさんは必見。

しかも連作短編集で、それぞれに繋がりがあるのが面白いです。一番ゾッとしたのは、「鶴の倒叙がえし」。”倒叙がえし”の意味を調べてから読むと、最後は鳥肌が…。


6.『ムゲンのi(上・下)』知念実希人

◆あらすじ◆
展開も結末も予測不可能、文句なしの超大作!! 眠り続ける謎の病気「イレス」の患者を識名愛衣は同時に三人も担当していた。治療法に悩む愛衣が霊媒師のユタである祖母に相談すると、「患者の夢幻の世界で魂の救済<マブイグミ>をすれば目覚める」という。
愛衣は助言どおりに夢幻の世界に飛び込み、魂の分身<うさぎ猫のククル>と一緒に三人のマブイグミをすることに――。(Amazon.co.jpより)

ファンタジーと医療とミステリーの融合。知念さんの作品は、何だか不思議。ファンタジーが苦手なのだけど、この作品を読んでファンタジーにも興味を持ちました。

知念さんは、2年連続本屋大賞作にランクインしていますね。昨年の作品と今作しか読んだことがないのですが、好きな作家さんのひとりとなりました。これから、彼の作品をもっと読んでいこうと思っています。


7.『線は、僕を描く』砥上裕將

◆あらすじ◆
両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。
それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。描くのは「命」。はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。
(Amazon.co.jpより)

この作品は砥上裕將(とがみひろまさ)さんのデビュー作で、彼は現役の水墨画家!だから水墨画に詳しくて、臨場感のある描写ができたことに納得です。水墨画は学校で知識としてしか習ったことしかないけれど、揮毫会は実際に見てみたいし、体験があったとしたらやってみたい、と思わされました。

水墨画は奥深くて、美しいものですね。読書がおもしろいのは、自分の知らない世界を知れるところ。


8.『ノースライト』横山秀夫

◆あらすじ◆
一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。(Amazon.co.jpより)

家とイスの謎、コンペの成り行き、家族との関係が解決した時、部屋に差し込む陽の光みたいな心地良い読後でした。

家に残された一脚のイスのミステリーとコンペのお話が同時進行。最初から引き込まれて、一気読みでした。ただ、もうちょっと本に書いている内容を調べるべきだったと反省。イスを作った人は実在した人物らしいですし、その人をもっと調べて読み進めると、本の世界に深く浸れたような気がします。


9.『夏物語』川上未映子

◆あらすじ◆
大阪の下町に生まれ育ち、小説家を目指し上京した夏子。38歳になる彼女には、ひそやかな願いが芽生えつつあった。「自分の子どもに会いたい」――でも、相手もおらんのに、どうやって?
周囲のさまざまな人々が、夏子に心をうちあける。身体の変化へのとまどい、性別役割をめぐる違和感、世界への居場所のなさ、そして子どもをもつか、もたないか。悲喜こもごもの語りは、この世界へ生み、生まれることの意味を投げかける。
パートナーなしの出産を目指す夏子は、「精子提供」で生まれ、本当の父を探す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言う。
「どうしてこんな暴力的なことを、みんな笑顔でつづけることができるんだろう」苦痛に満ちた切実な問いかけに、夏子の心は揺らぐ。この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか――。(Amazon.co.jpより)

重苦しい内容と癖の強いキャラの性格が何だか読み辛くて、第二部に行くまで4日以上かかりました。物語の雰囲気に慣れたのか、第二部からは思った以上にスラスラ読めました。この本を読んで、女性として「子供を持つ、持たない」を考えたnoteを書きました。


【大賞を勝手に予想】

個人的な考えを除いて、本屋さんが売りたい、推したいのを最優先に考えるとしたら…

・『medium霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼(著)
・『ライオンのおやつ』小川糸(著)
・『流浪の月』凪良ゆう(著)

のどれか、かなと思っています。読みやすい、人の心を掴みやすいのがポイントな気がしました。

相沢さんは作家歴10年目にして、本屋大賞にノミネート。もともとファンも多そうだから、この機会にさらに応援する人も増えそう。『流浪の月』は、何だか不思議なお話。人をひきこんだ部分が評価されそう。『ライオンのおやつ』は、命がテーマ。人が生まれる時と死ぬ時は、人の心を大きく揺さぶります。そういう意味で、多くの人が涙を流して生きると死ぬを考える部分が評価されるのではないかと思いました。

内容が良くて、今の私たちに関わる出来事と重ねて読んでしまう『熱源』も考えましたが、読まず嫌いの人もいそうだし、歴史や文化の話でつまづきそうな気もしました。


大賞予想と私の本屋大賞ランクは以上です。明日の本屋大賞の大賞発表が楽しみ。

※コロナウイルス(Covid-19)の対策も忘れずにね\(^o^)/

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