見出し画像

「もっと私に期待して!」 他者の期待であなたは成長する"ゴーレム効果"とは

マネジャーがマネジメントでしばしば見落とすのが、メンバーに「期待」するという行為。

「期待」は人のパフォーマンスにどう影響するのか、心理現象の「ゴーレム効果」から紐解いてみましょう。




人のパフォーマンスは、周囲からの期待によって変化する!?


「ゴーレム効果」とは、他者からの期待や評価が低いことによって、実際のパフォーマンスが低下する現象のことを言います*1。

この心理現象は、米国の心理学者であるロバート・ローゼンタール氏によって提唱されました*2,3。

例えば、新入社員が配属後に失敗を繰り返し、「(〇〇さんは、思ったより動けないなぁ…)」と周囲から評価をされたとしましょう。

その新入社員は次第に自信も無くし、パフォーマンスが低下してしまいかねません。こうした現象を特に「絶対的ゴーレム効果」と言いますが、まさに上司や同僚からの期待や関心が低いと感じたメンバーは、パフォーマンスが低下してしまうのです。

さて、こうしたゴーレム効果は、もともと優秀なメンバーであっても影響を受けます。

例えば、優秀な営業職の方が、成果を上げていないチームに配属されたとしましょう。その方は「よし、私が手本を示そう!」と思って一生懸命頑張って仕事に取り組もうと奮闘します。しかし、その方が努力しても、チームとして、周囲からはあまり期待されていません。

こうした状態が続くと、次第にそのメンバーもやる気を無くし、パフォーマンスが下がってしまいます。これを「相対的ゴーレム効果」と言います。

このように、他者からの期待や評価によって、人はパフォーマンスが左右されてしまうのです。

メンバーの成長を促すためにマネジャーができることは?


では、マネジャーとしてメンバーの成長を促すには、どうすればよいのでしょうか?

ゴーレム効果は、期待をかけられないことによってパフォーマンスが下がる現象です。従って、答えはシンプルで、期待感を寄せることが大切です。これは、ピグマリオン効果(人は、他者から期待されると、期待に沿った成果を出す傾向にあるという現象)という心理現象によっても裏付けられています。

ただし、過度な期待は逆効果になることもあります。例えば、期待を寄せすぎると、メンバーがプレッシャーを感じ、従来のパフォーマンスが出せなくなるケースもあるでしょう。適度なバランスを保つことが重要です。

また、「そうか、期待すればいいんだ!」と、突然あからさまに期待をかける態度で接すると、メンバーには見透かされてしまいます。小さな発言や態度はすぐに伝わってしまうため、根底には真にメンバーの成長を願う気持ちが必要です。

メンバーの成長を促すためには、適度な期待感を寄せることが重要です。その際、期待のかけ方には注意を払い、自然な態度で接することを心がけることが成功の鍵となるでしょう。


(参考情報)

*1 日本の人事部「ゴーレム効果」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1710/(2024年6月16日アクセス)

*2 Rosenthal, R., & Jacobson, L. (1968). Pygmalion in the classroom: Teacher expectation and pupils' intellectual development. Holt, Rinehart & Winston.

*3 Babad, E. Y., Inbar, J., & Rosenthal, R. (1982). "Pygmalion, Galatea, and the Golem: Investigations of biased and unbiased teachers."

★関連投稿はこちら


この記事が参加している募集

#人事の仕事

4,011件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?