賞与と手当、どう違う?
社会保険の領域では同じ「報酬」に該当しますが、どう違うのでしょうか?
両者を比較しながら違いを見ていきたいと思います。
賞与は「臨時に支払われる労働の対価」、手当は「労働や労災などに報いる対価」
厳密にはそう言い切れない箇所もありますが、賞与は「臨時に支払われる労働の対価」、手当は「労働や労災などに報いる対価」と言えるのではないでしょうか*1 2。
もう少し具体的なシーンをもとに、違いを見ていきましょう。例えば、こんな状況で支払われる報酬は、どちらに該当するでしょうか?
さて、この場合の報酬は「賞与」か「手当」か、どちらでしょうか?
お分かりの通り、これは「賞与」の一例です。
では、こんな状況はどうでしょうか。次のケースを見てみましょう。
さて、この場合の報酬は「賞与」か「手当」か、どちらでしょうか?
こちらもお分かりの通り、「手当」の一例です。特にこの場合、時間外に働いた従業員に対して支払われる「時間外労働手当」に該当します。
賞与と手当、法律ではどう定められている?
賞与と手当の違いを概観できたところで、今度は法的観点からも見ていきたいと思います。
まずは賞与からです。実のところ、賞与は法的に支給が義務付けられているわけではありません*3。そのため、賞与がある会社とない会社が存在するのです。例えば、例年、夏と冬とで「ボーナスが待ち遠しい!」という声が聞こえてきますが、これは全ての会社であるわけではありません。
一方、手当は法律で支払いが義務付けられているものが存在します*4。例えば、時間外労働手当、深夜労働手当、休日労働手当などです。これらは労働基準法に基づいて義務付けられており、必ず対応しなければならないのです。ただし、手当の中にも、通勤手当、扶養手当、住居手当、資格手当などは会社が任意で定めることができます。そのため、これらの手当のあり方を見れば、その会社が従業員に対してどう向き合っているかがわかってきます。
ここまで賞与と手当の違いを考察してきました。両者はそれぞれ異なる目的や支給対象、仕組みを持っており、一括りにして捉えるのは間違いでしょう。そしてこうした理解は、労務管理担当はもちろんのこと、人事担当者にとっても必要な知識です。なぜなら、従業員のモチベーションや生活の質に大きな影響を与える要素だからです。
賞与と手当への理解と適切な運用は、企業の成長と従業員の幸福に直結します。したがって、人事担当者もこれらの違いを押さえておくことが大切だと考えらます。
(参考情報)
*1 「賞与(ボーナス)の支給について」
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0809/rodo/912-2009-1204-156.html(2024年4月3日)
*2 「手当とは?主な種類・支払い方法・残業代との関係・課税対象・同一労働同一賃金などを分かりやすく解説!」https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/teate/ (2024年4月3日アクセス)
*3 賞与の支給義務はないhttps://www.mykomon.biz/chingin/shoyo/shoyo.html(2024年4月3日アクセス)
*4 「法律上定められている「手当」と会社で定められる「手当」の種類一覧」https://www.yayoi-kk.co.jp/kyuyo/oyakudachi/teate-shurui/(2024年4月3日アクセス)
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