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小川志津子の文。

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20年来取り組んだライター職を離れた派遣社員が、日ごろ見聞きし感じたことを記す随筆マガジン。
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2020年2月の記事一覧

どうしても、紙で拭きたい日本人。

どうしても、紙で拭きたい日本人。

面白い。日本人は、非常時になると、まずトイレットペーパーを買い占めずにはいられないようだ。これは遺伝子に組み込まれた何かなのか、あるいはオイルショック以来、50年近くも晴れることのない怨念なのか。

思えばトイレまわりの歴史は、お尻をきれいにする技術革新の日々だったはずだ。子供の頃、「ウォシュレット」が開発されて、我が家にもそれがやってきて、初めてノズルからお尻めがけてお湯が吹き出てきたときには、

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「学ぶ」ってこういうことか!

「学ぶ」ってこういうことか!

前に書いた台湾の記事に、「新型コロナ関連記事かもよ」とのアラートメッセージがついた。

「いつか行きたいなと思い始めたのでYouTubeを観まくっています」っていうだけの記事だ。たぶん、今書いているこの記事にも、同じアラートがつくのだろう。つくづく、非常時なのだなと思う。台湾の旅動画を多く発信しておられるYouTuberの皆さんも、続々と「新型コロナウイルスについて」の検討動画をアップしている。「

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下がり眉の宿命

下がり眉の宿命

20代のころ、有名週刊情報誌の編集部に、半年だけ身を置いたことがある。

演劇専門誌の編集部からそちらへ移ったので、あまりにも勝手がわからなすぎて、朝から晩まで戸惑っていた。企画を出せば上司に「なんっか違うんだよなー!」と言われ、見出しをつければ「なんっっか違うんだよなー!!」と言われ、私が自分から発するもののすべてが逐一「なんっっっか違うんだよなー!!!」と言われ続ける日々は、それはそれは、悲し

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入れてあげればよかった。

入れてあげればよかった。

今も忘れられない、恋がある。

真夜中。帰宅して、アパートの外階段をあがろうとしたら、そのど真ん中にその子はいた。小さい小さい子猫だった。思わず、歩みが止まる。こっちを、じっと見ている。うひゃあああ、かわええーーーとつぶやきながら近づく。ゆっくり手を伸ばすと、すりすり、と自分の身体を押し付けてくる。ひえーーー、かわええーーー、とまた声が出る。すると、私の歩みに先んじるように、その子も階段をあがって

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