ドリー・ベルを覚えているかい?

閉館したシネマライズで観たクストリッツア、
の初期作品を、復活したガーデンシネマで観た。

95年渋谷、
後に3館体制になるシネマライズの2館目の
オープニング作品(自分記憶)。

その年のカンヌでケン・ローチの大力作『大地と自由』
(youtubeで話してます。)
を抑えてのパルムドール『アンダーグラウンド』

クストリッツア作品は、
素晴らしさを言葉にするのが難しい。

サーカスの出し物を一斉にカメラの前に置く・・・
ひと、動物、炎、爆弾・・・

寺山修司が陰のカオスなら、
クストリッツアは陽のカオス。

正確に言うと陽ではなく陰。

陰の状況が気分が、
ブレゴヴィッチの音楽と、
演出のカオスで、
膨張、爆発して結果的に陽になってしまう。

観客は無理やり頭を上げさせられる。

無理やりだけど、
これが気持ちいい人は、
いつのまにか、
クストリッツアという名前に反応してしまうようになる。

この催眠術のようなカオスな手法が、
観客の心を捉え、
何かしらの感情を芽生えさせたり、
熟成させたりしているなら、
りっぱな表現主義といえるだろう。

本作は、そんな表現主義との出会い、
成長を感じさせるような、
起爆剤のような作品だった。

そして、
この表現主義の背景にある7つの背景。

1つの国家、
2つの文字、
3つの宗教、
4つの言語、
5つの民族、
6つの共和国、
7つの国境。

崩壊前の、

貧しかったけど、
幸せといえば、
幸せだった日々。

チトーが亡くなり、
これから内戦が始まるのを、
感じていたのか、
知らなかったのか、、、。

【蛇足】

なにより恵比寿ガーデンシネマの復活が嬉しい。
シネマライズも復活しないだろうか。

この際、違う場所でも、
Bunkamuraル・シネマのように、
期間限定でもいい、
名称を引き継いでいく事はできないだろうか。

プラザ、ミラノ、ロキシー、
パンテオン、シネパトス・・・

ルパン三世、
十三代目石川五右衛門、
十四代目市川団十郎、
スラヴォイ・ジジェクと、
クストリッツァ同一人物説、
のように・・・。

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