NETFLIX『サンクチュアリ-聖域-』のラインプロデューサーの【現場からは以上です】

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NETFLIX『サンクチュアリ-聖域-』のラインプロデューサーの【現場からは以上です】

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最近の記事

『スオミの話をしよう』笑えない?おもしろくない?その理由

三谷幸喜監督の最新作として、 多くの観客を劇場に呼び寄せている。 しかし、 この作品に対する評価は、 観る人によって大きく分かれるのではないだろうか。 ひとつの理由は、 三谷作品に対する観客のスタンスの多様さと仮定すると、 サンシャインボーイズからのファン、 古畑ファン、大河ドラマファン等々、 細分化は可能だろうが、 大きく分けると、 〇どっぷり三谷作品ファン 〇あっさり三谷作品ファン 〇「ラジオの時間」は好きだけどそれ以外はちょっと・・・の映画ファン 〇映画は好きだ

    • 『百年の孤独』日本で舞台化、映画化されていた。凄すぎる寺山ワールド。

      青森県三沢市の寺山修司記念館に行ってきた。 JR三沢駅からタクシーで向かう。 途中で空からの轟音に驚く。 米軍三沢基地の戦闘機の演習だろう。 到着してまた驚く。 記念館というよりも美術館を超えたアートハウス、 という言い方の方がいいだろう。 川島雄三は図書館の一角のコーナーだったので、 よけいに驚いた。 展示のスタイルも寺山本人の監修なんだろうか、 と思うくらい、ユニークで耽美的だ。 「百年の孤独」のポスター、 「さらば箱舟」のオブジェもすばらしい。 観覧

      • 『Bokser/ボクサー』ハルフォンの「ポーランドのボクサー」の映画化でもなく、「アウシュビッツのチャンピオン」のリメイクでもなかった。

        ハルフォンの「ポーランドのボクサー」の映画化でもなく、 「アウシュビッツのチャンピオン」のリメイクでもなかった。 とはいえ、 本作は旧共産圏の文化の蓄積が生み出したリアリズムの秀作の一つと言えるだろう。 本作は、単なるボクシング映画にとどまらず、 ポーランドという国の歴史、社会、 そして人々の心の奥底をも掘り下げている。 強調したいのは、旧共産圏の作品が持つリアリズムの深さだ。 それは、単に生活の描写を写実的に描くだけでなく、 その社会が抱える矛盾や、人々の心の闇を、

        • 『トランスフォーマー/ONE』シェイクスピア悲劇やー

          トランスフォーマーの枠を超え、 シェイクスピア悲劇や、 古代神話の神々しい輝きを融合させた、 壮大な叙事詩と言っても過言ではないほど、 完成度の高い作品に仕上がっている。 プライマスは、まさに全知全能の主(神)としての威厳を放ち、 その創造物であるオプティマスプライムと、 メガトロンの宿命的な対立は、 その物理的ロジックと感情的ロジックをうまくみせつつ、 まるでギリシャ神話や古事記における神々の戦いをも射程に入れている。 更にコグ(魂)という抽象的な概念を、ビジュアル化

        『スオミの話をしよう』笑えない?おもしろくない?その理由

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        • プロデューサーOの独り言 映画製作の現場日記と映画レビュー
          49本

        記事

          『トリガー・ウォーニング』懐かしいジェシカ・アルバのアクション

          ジェシカ・アルバのアクションを期待している観客も、 アクション少なめで新境地を期待している観客も多いだろう。 アクション映画としての完成度と、 社会派ドラマとしての深みが、 いずれも中途半端な印象が残った。 地方都市の閉鎖性を背景にした、 「スリー・ビルボード」や「オザークへようこそ」のような、 社会派ドラマの要素を取り入れつつ、 ジェシカ・アルバのアクションも見せたいという構造が、 作品のバランスを崩している。 アクションシーン自体はまずまずの出来だが、 物語全

          『トリガー・ウォーニング』懐かしいジェシカ・アルバのアクション

          『武道実務官』見てないふり、知らんぷりができない主人公

          主人公のイ・ジョンドは、武道の達人でありながら、 どこか人間味あふれる、 見てないふりをできない、 知らんぷりをできない、 魅力的なキャラクターだ。 ミランダ警告を言いよどんだり、 手錠をさかさまに使ったり、 彼の正義感と優しさ、 そしてどこか抜けているところも魅力の一つと言える。 そんなイ・ジョンドが、 武道実務官として成長していく姿を描く。 最初はただ単純に悪を倒したいと思っていた彼が、 様々な経験を通して、 社会の闇や人々の苦しみを知り、成長していく。 その

          『武道実務官』見てないふり、知らんぷりができない主人公

          『喪う』エンターテインメントを超えた芝居とは・・・

          アザゼル・ジェイコブス監督による、 シンプルに言うと素晴らしいマジックショーだ。 種も仕掛けもない、 ただ役者たちが自分たちの身体一つで紡ぎ出す物語。 目鼻口、頬、額と眉骨、眉、手足、肩、全身で身体表現。 口頭、のど、腹で分けて発する言葉。 これらの要素を駆使し、 役者たちは観客を物語の世界へと鮮やかに誘い込む。 パトス(感情)を揺さぶり→レイチェル、 ロゴス(論理)で説得し→ケイティ、 クリスティーンは、エトス(品格、倫理、勇気)を巧みに操りながら、 キャッチ

          『アグリーズ』「ザ・クリエイター/創造者」のように圧倒してほしかった。

          近未来SFは、 その特異な世界観を視覚的に表現することで、 観客を物語の世界へ没入させ、 深い共感を呼び起こすことができるジャンルである。 宇宙ステーションや都市といった舞台設定は、 単なる背景ではなく、 物語のテーマやキャラクター性を映し出す重要な要素となる。 しかし、いくつかのSF作品は、 斬新なアイデアや哲学的なテーマに重きを置き、 舞台設定のデザインとストーリーが乖離しているケースも少なくない。 本作は、16歳になると整形手術を受け、 美しさに統一される近未来を

          『アグリーズ』「ザ・クリエイター/創造者」のように圧倒してほしかった。

          『チャイコフスキーの妻』ビクトル・ユーゴーの娘の実話「アデルの恋の物語」を思い出した。

          匂い立つようなリアリズム、 咽せかえるような描写、 技術的にはロシア作品ならではの, 非常に高いレベルのキャスト、スタッフによる作品である。 しかし、 物語の構造が複雑であり、 全ての要素をバランスよく描くことが難しかったように思われる。 そのため、観客によっては、 登場人物の行動動機が理解しづらいと感じてしまうかもしれない。 これらの要素を全て描き出すためには、 より長い尺が必要だったかもしれない。 勝手に整理してみると メインプロット〈アントニーナの一途な

          『チャイコフスキーの妻』ビクトル・ユーゴーの娘の実話「アデルの恋の物語」を思い出した。

          ダリ美術館 文字通りの奇想天外の館

          バルセロナからフランスとの国境へ向かう高速鉄道で、 約1時間でたどり着いたのは、 のどかな田園風景が広がる小さな町、フィゲラス。 この街での目的は、サルバドール・ダリが生み出した異次元空間、 ダリ美術館を体験することだ。 美術館の入口には、世界中から集まった人々が長い列を作っていた。 耳に入ってくるのは、フランス語、ドイツ語、イタリア語、 聞いたことのない言葉など、、、、大人数に驚く。 入場予約の確認や荷物預けの手続きもスムーズに行われ、 多言語に対応できる

          『ヒットマン』リンクレイターが出し続けるメッセージとは?

          〈変装はできないが、 変奏し続けるリンクレイター〉 ゲイリーは様々な人物になりきることで、 複雑なミッションを遂行していく。 この多面的で変幻自在なキャラクターは、 一見するとタランティーノ作品のような、 ユーモアや、ブラックなテイストを期待させる。 しかし、リンクレイターは、その期待を裏切るような、 コメディの成分は多少はあるが、 どこか真面目なトーンで物語を進めていく。 どういう事か。 本作のおもしろさは、 ◯主人公の多人数の変装。 ◯殺人の依頼を受ける

          『ヒットマン』リンクレイターが出し続けるメッセージとは?

          『極悪女王』バカヤロー!格闘技を見に来てんじゃねーんだヨー!

          子どもの頃以来、 プロレスや格闘技とは縁遠いと思っていた私が、 10年以上前に両国国技館「ジ・アウトサイダー」で聞いた、 観客の叫び声。 「ばかやろー、格闘技を見に来てんじゃねーんだよー!」 その言葉は、私の心に深く刻み込まれた。 「極悪女王」を観ている間、 何度もあの叫び声が頭をよぎった。 ゆりやんか、ダンプか、香か、吉田のゆりちゃんか、 それとも全く別の何かを観ているのか。 それはもはやフィクションかドキュメンタリーかという枠組みを超え、 シナリオやドラマ、プロ

          『極悪女王』バカヤロー!格闘技を見に来てんじゃねーんだヨー!

          『リトル・ダンサー』デジタルリマスター版のプロモーションの物量に驚く

          新宿ピカデリーの、 「リトルダンサー」デジタルリマスター上映のプロモーションのポスターの巨大さ、デジタルサイネージの物量に驚く。 ケン・ローチ作品でおなじみの、 ゲイリー・ルイスが演じるガンコ親父と、 主人公の兄貴のストライキのシークエンスは、 単なる感情の揺れを追うだけではなく、 物語の必然的な流れとシンクロしながら描かれていく。 自分が参加した作品のシナリオ会議で、 このシークエンスの親子の関係、仕事仲間との連帯感と対立、個の葛藤、 価値観の衝突、国情の背景

          『リトル・ダンサー』デジタルリマスター版のプロモーションの物量に驚く

          『レベル・リッジ』知的に闘うBlack Lives Matter作品

          本作は、単なるアクション映画の枠を超え、 知略と戦略が織りなすスリリングなドラマだ。 パワーや火力を前面に出すのではなく、 Jiu-Jitsuなどの格闘技を巧みに取り入れ、 〈精神こそ最大の武器〉 と戦略的な側面を際立たせている。 これは、単なる武術の披露でもなく、 限られた状況下でいかに生き延びるか、 人間の知恵と工夫とサバイバルを描き出している。 パワーや火力に頼ったアクション映画とは対照的に、 静かな緊張感で観客を魅了する。 主人公のクレバーな戦術、 そし

          『対峙』高度な演技技術の追求は、表現の幅を広げる一方で、メンタルのリスクに要注意

          本作は、深刻な事象に光を当て、 登場人物たちの心の奥底を克明に描き出す、 心理劇の傑作である。 オープニングシーンから、 机の配置、イスの角度、ティッシュの置き場所、 といった細部の描写が観客の注意を一点に集める。 これは、単なる写実的な描写にとどまらず、 これから始まる緊迫した状況への予兆として機能している。 カメラは、登場人物たちの表情をクローズアップで捉え、 彼らの心の揺れ動きを正確に映し出す。 眼球の動きや目線の交差といった、 微細な表情の変化は、 言葉を

          『対峙』高度な演技技術の追求は、表現の幅を広げる一方で、メンタルのリスクに要注意

          『SHOGUN 将軍』実は日本国内もロケハンしてました。

          日本の太平洋側の津々浦々を、 ディズニーFXのプロデューサーチームとロケハンしました。 日本各地の城や合戦シーンの撮影可能な広大な場所もロケハンしました。 様々な湾、浜での網代の街のセット構築のシミュレーション、 日本での史実であるリーフデ号の遭難、 愛の不時着のようなお話しのリアリティに関して、 ロケーション撮影時の注意事項、 三浦按針の三浦半島も周りました。 和歌山に1980年版で実際に網代の街のオープンセットを建てて、 撮影した場所にも行きました。 長期間一緒にい