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『ブラックベリー』意味の無いカメラ移動、根拠の無いヨリ

世界初のeメール携帯端末の誕生を描いた作品であり、

その完成度の高さに驚かされます。

ゲームボーイの筐体やCanonの電卓を使ってプロトタイプを作成していたり、

フォースが飛んでいたり!?と、

細部にわたって楽しめる要素が満載です。

映画や音楽、Tシャツ、

例えば「セルピコ」の顔上半分警官下半分ヒゲのポスター、

ニセ?ザンギエフなど、

観る者を引き込む小ネタが至る所に散りばめられています。

これらの要素が、作品全体の魅力を高めています。

あるあるですが、

細部に凝り過ぎるとシナリオや演出、芝居が疎かになる場合や

または、

そうする事によって演出その他の魅せ方から逃げている場合も見受けられる事もあります。


しかし本作はこれらすべてが見事に調和しています。


手持ちカメラのシーンも、ぐらつきが気にならないほど芝居が良く、

その芝居に合わせてカメラも適切なサイズで迫ってくるのです。

(監督やカメラマンの力量、センスが問われる、

移動のしかた、寄り方、レンズの使い方、サイズ。

例えば観客の観たい気持ちも絞り込むようにして、
クレッシェンドできているか、
芝居と同期させながら寄る・・ような根拠があるヨリと、

意味の無いカメラ移動、根拠の無いヨリ、ヒキ・・・)

このさりげないが確かな技術は、

劇中のエンジニアの技術とも呼応しているようです。


小さく便利な携帯電話のムーブメントは、

再び訪れることはないのでしょうか。


または、

手ぶらで通信する時代がすぐそこまで来ているのか、

それともまだ遠いのか、

観る者にその未来を考えさせる力があります。



2000年頃まで、アメリカではTOB(株式公開買い付け)が一般的に認知されていなかったという背景や、

クラッシュバンディクーがプレステをハックしたのかという疑問も、

おもしろかったです。


仕事よりもムービーナイトを優先する、

というのもよかったです。

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