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《Step4》鹿沼アスレチックハイク(04/07)

 「岩場を歩く練習がしたい。」と言う友人に誘われて、栃木県まで行ってきた。鹿沼市に丁度いい山があるらしい。その名も岩山。いかにもな名前にどんな山なのか興味が湧いた。


鹿沼岩山(328m)

岩山山頂にて

栃木百名山

 栃木県鹿沼市にある岩山は、標高328mの低山だ。高さだけ見れば千葉の山々とそう変わらない里山だが、この山の良さは手軽に岩場歩きを楽しめることにある。三番岩、二番岩、一番岩(岩山山頂)と岩続きの尾根を歩き、最後には猿岩と呼ばれる70mに及ぶ長大な鎖場を下るルートもある。この猿岩は体力自慢がこぞって挑戦するらしい。
(※危険箇所ゆえ巻道で下山することも出来る。)
 

今回の登山口までのアクセス

 東武日光線新鹿沼駅から徒歩30分ほどで登山口の日吉神社に至る。バス停では鹿沼西中入口が最寄りだが、バスを使わなくても問題ない程度の時間と距離感ではある。鹿沼の街散歩も兼ねて歩いたが、それもなかなか良かった。

 地下鉄半蔵門線南栗橋行きに乗り、南栗橋駅から東武日光線に乗り換える。九段下から乗る地下鉄ユーザーの僕にはこれが最高に良かった。押上までの半蔵門線、押上から東武動物公園までの東武伊勢崎線、東武動物公園から南栗橋までの東武日光線が全て直通であるため、乗り換えが少なく大変便利だ。仕事がら今回も仮眠程度での出発だったが、九段下から南栗橋まで、乗り換えを気にすることなく惰眠を貪った。日光がこんなに行きやすいなんて!

鹿沼土と深岩石

 鹿沼市は昔から土と石の産地として有名だ。鹿沼土というそうで、園芸を趣味とする人ならかなり親しみのある土らしい。土というよりも軽石に分類される鹿沼土を調べてみると、通気性、保水性の高さでほぼ無菌の強い酸性土という特長があるようだ。だから園芸向きで好んで使われる。
 鹿沼土はどこから来たのか、ということを調べてみると、なんと赤城山から来たのだと言う。それも、今から約4.5万年も前に赤城山で噴出した軽石が鹿沼に届いて年月とともに風化したのだと。にわかには想像し難い。酸性の土だからサツキ、ブルーベリー、サボテンなど酸性を好む植物との相性が良いらしい。

 もう一つ鹿沼の特徴と言えば深岩石という石がある。栃木県と言えば大谷石の産地として有名だ。かつては千葉の鋸山で採れた房州石も、この大谷石の台頭によって衰退に追われた歴史がある。
 鹿沼市北西部の深岩地区で採れたものを深岩石と呼ぶが、見た目は大谷石とさほど変わらないらしい。違うのは強度で、深岩石の方が密度、強度共に高く丈夫なのだそうだ。なるほど、街を歩いていると石蔵が多く見られたのは深岩石だったのか。石造建築は重厚感があって良い。新鹿沼駅から登山口の日吉神社までの道すがら、深岩石を探してみるのも楽しい。

山行記録

岩場の歩き方

 日吉神社を正面にして左手にある登山口から登り始める。今回の目的は岩場の歩き方の確認なので、僕がまず先を歩いて、その後に同行者の歩き方を見ながら一つ一つ動作確認をする。登り下りを含めた岩場歩きの基本中の基本は三点確保であるため、最初にそれを意識する。

※三点支持を含めた岩場の歩行技術の参考資料は様々
◯山と渓谷オンライン

◯ヤマレコ

 僕自身は無雪期に岩場ではしっかり岩を掴みたいからグローブを使わないので、ヤマケイオンラインの記事の意見に概ね同意見だ。ただし、山に慣れていない初心者を連れて行く場合は「グローブを使わない」こともケースバイケースである事も頭に置いておく必要もあると感じる。
 例えば、山に来ておいてなんだが「過度に手肌が汚れるのを嫌う」人もいる。そういう人は汚れることを嫌って岩や木、地面に触れることに消極的になるので、それで安全に岩場歩きが出来なくなるならグローブはしていたほうが良いと思う。
 他にもグローブは岩を掴む感覚を鈍らせるというデメリットがある一方で、怪我を防止するというメリットもある。それに、仮に今後気温の低い高所の岩登りが必要な山や雪山に行くとしたらグローブは必要になってくる。その場合、「岩場でグローブは外す」という意識付けを初期段階でしてしまうのはリスクとも考えられる。個人的にはグローブをしていてもしっかり岩を感じられる訓練をすべきだとも考えるので、トレーニングと割り切った場合にはグローブを使う場合と使わない場合と、両方を行える事が望ましいと思うのだ。

 いずれにしても基本は三点確保。右手、左手、右足、左足のうち三点をしっかり掴んで、残り一点を動かす。とにもかくにもこれが出来るようになること、手や足の置き場を自分で見つけられるようになることがまず大切。

自分にあったスポットを探す

 鹿沼岩山の岩場は沢山の人によく登られているだけあって歩きやすい。岩にステップが掘られているところも多く、そこに足をかければ事が済むということも多い。ただし予め刻まれたステップが自分の歩幅に合わないという場合は、無理をして手足を伸ばすのでは無く自分にあった手足の置所を見つけた方が良い時もある。
 自分のキャパシティ以上に手足を伸ばすと、無理な体勢になってしまってその次の行動が出来ない事がある。これは事故の元なので避けたい。その場合には、自分が手を置けそう、足を置けそうな場所を探す。掴めるか掴めないか、どの方向に力を入れたら掴めるか、掴めなくとも、腕を突っ張って支え棒のようにしたらバランスが取れるとか。足場は小さいけどつま先でなら立てるとか、フリクション(摩擦)を利用すれば少しの間保持できる。とか。そういう方法を考えながら歩くのも楽しい。
 今回の同行者は女性で、僕とも身長もリーチも違う。僕の手が届くところが彼女には届かないということもある。基本的に僕は山行時には後続の人でも使えるホールドやステップを探して進むようにしているが、今回も二人で試行錯誤しながら岩場歩きを楽しんだ。

とにもかくにも安全登山

 山頂からの日光方面の展望もよく、東京からアクセスしやすい良い遊び場を見つけたと思った。麓ではちょうど桜が満開で、尾根からでも桜の咲き誇っている様子が見て取れる。たまたま今日は祭りだったようで、どこからか太鼓の音と威勢の良い掛け声が聞こえるのも里山ならではの魅力だ。コースタイムもゆっくり進んで約4時間。朝登って昼下りられるから、地元で昼飯を食えるのも嬉しい。里山はやっぱりいいなぁ。

岩山名物“猿岩”下りの始点

猿岩に関する個人的な感想

 鹿沼岩山と言えば必ず話題になるのが“猿岩”の鎖場だ。斜度60度近い70mの長い鎖場を下りていくのが体力自慢たちの間で人気スポットになっているが、滑落事故も多い。実際に見てみて個人的な感想を言えば、「鎖場の練習をしたい。」と言うことであっても初心者の練習にはおすすめしない。と言うより、ここを鎖場で下る練習意義を見出だせない。
 理由は猿岩の岩質にある。表面がつるつるで手足の置き場が難しいのだ。特にここは濡れてしまっていたら手の施しようがなさそうだ。鎖場であっても三点支持は基本にしていたい。鎖だけを両手で掴んで、腕力のみを頼りにして下りていくと言うならもはや筋トレにしかならないじゃないか。と僕は思ってしまう。であれば、同じ急斜面を巻道で下りたほうが練習になる。
 一方で、「ここをロープで下る練習をしたら楽しいだろうな…」とも思った。急斜面を複数ピッチに分けて下りる練習。これならばこの大きな岩場を下る価値がぐんと上がる。次回はそういう準備ができたら良いなと思う。

猿岩の下、こっちはまだ色々やれそうではある

 ちなみに、猿岩を巻いて下りるルートも充分足場は悪かった。トラロープを活用しながら下りるいい練習になった。  

総括

 鹿沼岩山、歩きやすく楽しい山だった。今度は酒場の仲間たちと来て岩場トレーニングというのも良い。ゆっくり時間をかけて練習できる場は貴重だ。20℃を超える4月にしては暑い日だったが、もう夏山シーズンもすぐそこまで来ている。今シーズンは冬場にトレーニングが出来なかったから、またちょこちょこ登りに来たい。

大阪屋のカツ煮定食

 日吉神社近くの大阪屋でカツ煮定食を食べた。安くて美味くて多い。東京じゃ考えられない人情味あふれる昔ながらの定食に嬉しくなった。

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