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『酒場冥利』の話

神保町裏路地日記(47)
2024/12/19㈭

 宮城県は仙台市、昭和の雰囲気を残す文化横丁の路地奥に源氏という居酒屋があります。

うちのお店の常連さん達の間でも地方居酒屋の話になると度々名前が挙がる名居酒屋。「仙台に行くなら源氏だろ。」と何度聞いたことか。僕達も妻の父母に連れて行って貰って一度だけお邪魔したことがありますが、格好良かった。「こういう風にやれたら良いな。」と憧れて目標にしている酒場が僕にもいくつかあるのですが、源氏はその中の一つです。

 歴史を感じる店内の雰囲気に、源氏ならではの決まり事があって、それをお客さん達が守って店のピリッとした空気感を創り出している。ピリッとした少しの緊張感はあるのだけど、そこにいるお客さん達の表情は柔らかく、その緊張感さえ楽しんで適度にくつろいでいる。静かすぎず、うるさすぎることもない。そう言う『丁度いい』場所です。

 お客さんの層も様々のようで、地元の人もいらっしゃいますが出張で来たというサラリーマンも結構な数いるようでした。出張、あるいは単身赴任で、というキーワードをちらほら聞いたような気がします。これも凄く素敵です。仕事で仙台を訪れた日の夜に羽を休める場所と言うのも格好良い。

 神保町もそういう雰囲気を持つ街だと思います。地元の人もいればサラリーマンもいて、学校の先生もいる。東京に出張に来る方も多い。
 何でこんな話をしているかと言うと、うちにも出張で東京に来られたタイミングで来てくれる方がちょっとずつ増えてきたからです。昨日も富山から定期的にいらっしゃる方が来てくれたのですが、個人的にはこれがとても嬉しくて、そう言えばそんなお店に憧れてたなと思い出したのでした。

 『神保町で山と旅が好きな夫婦が千葉の酒を出しています。』と言うのが誰かに説明する時の定型文になっていますが、それを楽しみに来て下さるというのは本当に有り難いことです。期待には応えられるだけ応えていきたいなと思う今日この頃で、ちょっとずつアップデートしていけたら良いなぁと思います。楽しいもんです。この街の方と、外からいらした方と、色んな人が入り交じって話をされている様子を見ていられるのは酒場冥利に尽きると、若輩者ながらにそう思います。更に精進しなければ。

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