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エッセイのご紹介409 78回転の童謡レコード盤(小黒恵子著)
こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
今までは、神奈川新聞のリレーエッセイをご紹介してきましたが、今回からは、神奈川新聞のサンデーブレイクに掲載されたエッセイをご紹介いたします。
記念館には、自筆の原稿が残っており、ここでは、原稿の方をご紹介します。実際の記事は、校正を重ね、少し異なっています。
詩人の書いたエッセイ、独特の言葉選び等を感じていただけると幸いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1654392649755-8a7ZLWnPLU.jpg?width=800)
「78回転の童謡レコード盤」
詩人・童謡作家 小黒恵子
最近ある週刊誌の掲示板に、78回転の童謡レコードを探していますと言う記事をのせた。
ところが週刊誌が発売された翌日から電話を戴き、一ヶ月近く経った今でも、連絡して下さる方が後をたたない。
手元に届けられたレコード盤は、既に三百枚に達しようとしている。
大正末期から昭和初期のもの終戦後のもの等、私の知っている童謡、知らない童謡等、貴重な盤を戴いた。
なかでも静岡県の焼津の方と茨城県の方が、78回転の重い盤を私の童謡記念館まで遠路、ご夫妻で届けて下さった時の、感謝と感動を忘れる事はできない。
当館では約百年前のアメリカビクターの、木製のラッパ付の手巻蓄音器がある。
レコード盤を送って下さった方に、そのうたを電話でお聞かせしている。
一つのうたには、まして童謡には幼い日の、なつかしい思い出が沢山ある。
その大切なレコード盤を惜し気もなく、贈って下さった方々の温かいお心に、胸が熱くなる嬉しさ有難さをかみしめている。
政治不信、或は凶悪な犯罪や、人の心のやさしさが遠のいて了った現今、こんなにも美しく温かい心を持った人達が、この日本の空の下には、まだまだいるのだと言う安堵感と共に嬉しさを実感している。
その方々に報いるためにも、この貴重な78回転盤を大切に保護保存し、一人でも多くの方々に、聞いて戴きたいと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回も、小黒恵子の神奈川新聞のサンデーブレイク原稿をご紹介します。(S)
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