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普通の事務所でピクルスの製造許可をとったお話し

こんにちは。
阿蘇小国郷ピクルス本店です。熊本県阿蘇郡小国町で加工食品の製造販売をしています。
見出し画像は、普通の事務所でピクルスの製造許可をとった時に保健所に提出した概要図です。

これから加工食品の製造許可を取りたいと思っている方、調べていると専用の製造場所を確保する必要があることが分かってくると思います。
「専用の製造場所ってお金かかりそう」「どうやって作るんだろう」と疑問ばかりでてくると思います。実際私もそうでした。

2021年6月に食品衛生法が改正されて各許可業種に変更が出ていますが、今回の内容はそれ以前のものです。ただ、大体の考え方は同じでしょうから参考として書きます。最終的な確認は管轄の保健所さんにして下さい。

施設の基準を知ることから始めます。

厚生労働省から資料が出されています。
参考資料:営業許可業種及び施設基準の解説 - 厚生労働省
(PDFの資料です。)
基本的にこれが全てだと思ってもらって大丈夫です。詳細は各管轄の保健所によって異なってきます。
前半部分は各営業許可の定義や改正後の変更点、主な留意点について書かれています。
23ページあたりから「施設基準の解説」が出てきます。
施設基準は「共通する事項」と「営業ごとの事項」に分かれています。
ピクルスは「漬物製造業」に該当するので、その基準に合致するように施設の準備をする必要があります。

実際の施設の準備風景

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上の写真は実際に保健所に相談してピクルスの製造許可をとった部屋の写真です。借りてすぐの写真なので散らかっています。
ちょっと驚きかもしれませんがこの部屋に必要な設備を置いて準備しました。

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施設の準備をしている途中でしたが、この2枚は流しと作業台です。
野菜をカットしたり瓶に充填するステンレスの作業台が別に設置されています。
こんな感じの施設でもピクルスの製造許可が取れます。

製造場所を安く無理なく作るコツ

皆さんが想像する製造場所とはかなりイメージが違うかもしれません。
ではなぜこの部屋で上手くいったのか。
それは厚生労働省の資料をよく理解して、管轄の保健所によく確認を取って施設の準備をしたからです。
本当はしっかりとした施設を作りたいのが本音です。でもスタートアップ時にそこまでの費用をかけることができませんでした。
裏話ですが、保健所の方に相談したときにスタートアップで本当にこの事業で上手くいくかわからないので極力お金をかけたくないんですと本音で相談しました。
すると保健所の方も理解してくれてお金がかからないように様々なアドバイスをしてくれました。

これまで保健所に行って相談をして、他の相談者の様子や実体験を聞いてみて保健所対応で最も大切なことが分かってきました。
事前にしっかり相談すると保健所はとっても親切
相談は1回よりも気になることがあれば何度もした方が保健所は親切
一発勝負でいきなり行くと嫌われる
面倒だからさっさと終わらせてスタンスで行くと嫌われる

保健所は公的機関なので国や都道府県、市町村が取り決める基準によってのみ判断を下す立場にありと思います。
その判断基準が複雑で一般人にはなかなか理解ができない部分があります。
専門家である保健所に相談もなく(悪いいい方ですが)自分勝手に判断して施設の準備をされることを保健所はとても嫌がるようです。
幸い私はこの時、はじめて食品業界にチャレンジしていたので藁にもすがる思いで保健所に何度も電話で相談して面談も何度かしてもらって念入りに確認をしました。
今考えるとこの確認が良かったのでしょうね。保健所はお役所です。でも働いている方は一般人です。こちらの熱意が伝われば何とかしてあげようと色々と助けてくれます保健所の方の知恵と力を借りた方が断然有利だと思いますよ。

保健所に面談をしに行くと他の相談者さんが隣のブースで相談をしていることがよくありました。相談者さんも色々で最も印象に残った方は残念な結果でした。
その相談者さんは、「面倒だから早く許可を出してくれ」と仰っていました。
保健所の方は基準を満たしてないので難しいでしょうねといった感じで返していました。
結局その男性は「だったらやれないじゃないか」と怒った様子で帰って行かれました・・・

☆製造場所を安く無理なく作るコツは
・厚生労働省の資料をよく読んで自分でできる範囲でしっかりと知識と理解を深める。
・そのうえで管轄の保健所に相談して力を貸してもらう
・どうしても苦手なら専門知識のある人に手伝ってもらう

まとめ

本来ならしっかりとした施設を作るべきですがスタートアップ時など様々な理由がある時は無理せずできる範囲の投資で製造場所を作るべきです。
その為に管轄の保健所とよく相談して知恵と力を借りましょう。
食品の製造を始めたいけどどうしてもこの辺の手続きが苦手なら専門知識のある人に手伝ってもらいましょう。
「小規模食品メーカーの作り方、企画から販売開始までの実践講座」では製造場所の構築についても詳しく触れて解説しています。保健所とお話をするときには実際にオーナーさんに同行して話がうまくいくように一緒にお話しをします。
加工食品を作ってみたいと思っている方にとって製造許可を取ることは大きなハードルになります。でもそのハードルを乗り越えて自分らしい生き方ができるように夢をかなえてみませんか?

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