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絶叫伝記シリーズ

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マルチ人。の人生日記。幼い頃より、家庭の崩壊、両親の離婚、二家族との同居生活、再婚、繰り返す転校、宗教への入信、思春期の非行、まさにジェットコースターのような人生。我が絶叫伝記を…
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#小説

マルチ人。の絶叫伝記 〜小学生編 ⑤ 最後の別れ

マルチ人。の絶叫伝記 〜小学生編 ⑤ 最後の別れ

1992年夏。東京都、練馬区。

山川(やまかわ)家(仮名)では、母と兄のりょう(仮名)と、私(マルチ人。)と妹のいつき(仮名)との母子生活は続いている。

「じゃあ、仕事に行ってくるね。戸締まりと学校のプールに行くこと、家の家事、宜しくね。」

と、一通りの家事を終えた母は、妹のいつきを連れて、いつものように保育園と職場に向かう。

当時、兄のりょうは小学5年生、私は小学3年生、妹のいつきは、保

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マルチ人。の絶叫伝記 〜小学生編 ④ 母子家庭でもひとときの安息。

マルチ人。の絶叫伝記 〜小学生編 ④ 母子家庭でもひとときの安息。

1991年10月、東京都、練馬区。

「いつき!いつきぃ、早く来いよ。」

「待ってよぉ。」

「遅せぇよ、置いて行くよ。」

「待ってよぉ(泣)」

私(マルチ人。)の3つ下の妹のいつき(仮名)は立ち止まり、今にも大声を上げて泣きそうな表情だ。

私と2つ上の兄のりょう(仮名)は、振り返りいつきが歩き出すのを、やきもきしながら待つ。

「早く来いよぉ!」

と兄のりょうが声を張る。

「すぐ泣く

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マルチ人。の絶叫伝記 〜小学生編 ③ モンスターハウスからの脱出〜

マルチ人。の絶叫伝記 〜小学生編 ③ モンスターハウスからの脱出〜

1991年夏。東京、練馬区。

梅雨も明け、蒸し暑さを感じる頃には、山川(やまかわ)家(仮名)と金田(かなだ)家(仮名)との、いびつな同居生活にも少し慣れてきた。

遠くから見ると、手長猿を思わせる金田側の小学5年生のひろや(仮名)は、周りの人とは壁を作らず、人を笑わせる人懐っこさと愛嬌を兼ね備えていた。

山川側の2つ上の兄のりょう(仮名)や私(マルチ人。)と、金田側のひろやとの間でちょっとした

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マルチ人。の絶叫伝記 ~小学生編 ② 悲しみの先のいびつな関係~

マルチ人。の絶叫伝記 ~小学生編 ② 悲しみの先のいびつな関係~

「★〇×△●~(泣き声)」

(・・・りょうくん?)

「お父さん、帰ってきてよぉ(泣き声)」

半分寝ぼけていた、私(マルチ人。)はその電話での話し声に気が付く。

電話で話して泣いているのは、2つ上の兄のりょう(仮名)。

「お父さん、早く帰ってきてよ、嫌だよ(泣き声)」

どうやら、電話の相手は父のたかし(仮名)のようだ。
父たかしは、間もなく私が小学1年生が終わろうとしている2月には全く家

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マルチ人。の絶叫伝記 ~小学生編 ①突然訪れた家庭の崩壊~

マルチ人。の絶叫伝記 ~小学生編 ①突然訪れた家庭の崩壊~

1991年3月。東京都、練馬区。

それは突然、おとずれた。
小学校1年生が終わる頃に起こった出来事。
いまだに、その時のことは鮮明に覚えている。
衝撃的過ぎて。
瓦礫が崩れる音が響きすぎて。

………突然の両親の離婚。

私(マルチ人)は山川(やまかわ)家(仮名)の次男として生まれて、両親、2つ上の兄、3つ下の妹の5人家族で小さな2DKの狭いアパートで生活していた。ほとんど、両親は朝から晩まで働

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