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マルチ人。
2022年7月21日 19:37
1992年夏。東京都、練馬区。山川(やまかわ)家(仮名)では、母と兄のりょう(仮名)と、私(マルチ人。)と妹のいつき(仮名)との母子生活は続いている。「じゃあ、仕事に行ってくるね。戸締まりと学校のプールに行くこと、家の家事、宜しくね。」と、一通りの家事を終えた母は、妹のいつきを連れて、いつものように保育園と職場に向かう。当時、兄のりょうは小学5年生、私は小学3年生、妹のいつきは、保
2022年6月15日 12:51
1991年10月、東京都、練馬区。「いつき!いつきぃ、早く来いよ。」「待ってよぉ。」「遅せぇよ、置いて行くよ。」「待ってよぉ(泣)」私(マルチ人。)の3つ下の妹のいつき(仮名)は立ち止まり、今にも大声を上げて泣きそうな表情だ。私と2つ上の兄のりょう(仮名)は、振り返りいつきが歩き出すのを、やきもきしながら待つ。「早く来いよぉ!」と兄のりょうが声を張る。「すぐ泣く
2022年6月9日 17:59
1991年夏。東京、練馬区。梅雨も明け、蒸し暑さを感じる頃には、山川(やまかわ)家(仮名)と金田(かなだ)家(仮名)との、いびつな同居生活にも少し慣れてきた。遠くから見ると、手長猿を思わせる金田側の小学5年生のひろや(仮名)は、周りの人とは壁を作らず、人を笑わせる人懐っこさと愛嬌を兼ね備えていた。山川側の2つ上の兄のりょう(仮名)や私(マルチ人。)と、金田側のひろやとの間でちょっとした
2022年5月31日 09:41
「★〇×△●~(泣き声)」(・・・りょうくん?)「お父さん、帰ってきてよぉ(泣き声)」半分寝ぼけていた、私(マルチ人。)はその電話での話し声に気が付く。電話で話して泣いているのは、2つ上の兄のりょう(仮名)。「お父さん、早く帰ってきてよ、嫌だよ(泣き声)」どうやら、電話の相手は父のたかし(仮名)のようだ。父たかしは、間もなく私が小学1年生が終わろうとしている2月には全く家
2022年5月24日 12:34
1991年3月。東京都、練馬区。それは突然、おとずれた。小学校1年生が終わる頃に起こった出来事。いまだに、その時のことは鮮明に覚えている。衝撃的過ぎて。瓦礫が崩れる音が響きすぎて。………突然の両親の離婚。私(マルチ人)は山川(やまかわ)家(仮名)の次男として生まれて、両親、2つ上の兄、3つ下の妹の5人家族で小さな2DKの狭いアパートで生活していた。ほとんど、両親は朝から晩まで働