見出し画像

コンピテンシー評価が、昇格・降格の判断軸として推奨できるのはなぜ?

コンピテンシー評価とは

そもそもコンピテンシー(competency)という言葉には、英語では「能力」「技能」「適性」といった意味があります。
一方、組織マネジメントにおけるコンピテンシーとは、ハイパフォーマーの人財に共通してみられる行動特性のことを指します。

企業が人事評価の一つとして実践するコンピテンシー評価では、まず各職種でそれぞれ高い業績を出す人財をモデルとします。そして、その人の行動特性を基に評価項目を設定していき、各従業員を評価していくことが、コンピテンシー評価の一連の流れとなります。

コンピテンシー評価の特徴は、具体的に表現できる「知識量」「スキル」といった部分ではなく、行動につながるための「思考」や「価値観」といった、可視化しづらい項目を評価項目として設定することです。

要するにコンピテンシー評価をひとことでまとめると、「可視化しづらい行動特性を定義した行動評価」となります。

note図解 (1)

コンピテンシー評価のメリット・デメリット

昨今、コンピテンシー評価を導入する企業も増えています。
OGSのクライアント様からも「コンピテンシー評価を導入してみたいのだけれど…」というご相談を受けることがあります。
では、実際にコンピテンシー評価を導入することによるメリットとデメリットはどういったものがあるのでしょうか?

■導入のメリット
組織として、単に仕事に対する結果だけを評価するのではなく、従業員がもつ価値観や仕事に対する取り組みの部分に対して評価を行うことは大切です。
仕事に対する姿勢に対しての評価を「情意評価」といいますが、コンピテンシー評価ではこの情意評価を実現することができます。
職種や役職ごとにモデルを立て、コンピテンシー評価の軸をつくることで、情意評価を行うことができる点が、導入のメリットです。

■導入のデメリット
コンピテンシー評価の最大のデメリットは、「認識のギャップが生まれやすいこと」です。
あくまでコンピテンシー評価は、価値観や考え方といった定性的な部分に対する評価になります。そのため、評価項目を設計していても、評価者が変われば評価結果も変わってしまうといったケースは十分にあり得ます。
誰が評価しても評価結果にブレが出ないようにするということは、コンピテンシー評価では実現が難しい点であり、デメリットとして考えられます。

OGSとしてはコンピテンシー評価は推奨していない

コンピテンシー評価についてご説明しましたが、OGSではコンピテンシー評価による人事評価は推奨していません
理由は、評価に認識のギャップが生まれてしまう恐れがあるからです。これは、評価者と被評価者との信頼関係にも影響が及ぼされる危険性があります。

例えば、「積極的に発言をしている」というコンピテンシー評価の項目があり、被評価者や周りの同僚など、評価者以外のメンバーの認識では「発言をしている」という認識を持っていたとします。
しかし、評価者である上司が「発言していない」と判断すれば、評価結果としては「発言していない」ことになってしまいます。

評価者と被評価者のあいだで認識のズレが生じると、被評価者は次第に評価に対して不信感を抱いてしまいかねません
評価を通じてチームや組織の人間関係が悪化してしまっては、本末転倒です。

このようなトラブルを引き起こさないためにも、OGSでは人事評価において、定性評価ではなく定量評価を取り入れ、評価のブレをなくすことを推奨しています。

昇格・降格の判断軸にコンピテンシー評価は効果的

3ヶ月ごとや半年ごとに等級を決定する人事評価においては、コンピテンシー評価は推奨できません。しかし昇格・降格時ではコンピテンシー評価を効果的に活用できると考えます。

実際に弊社でも、各メンバーの昇格時にはコンピテンシー要素を組み込んでいます。人材要件の項目については「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3種類に分け、それぞれで細分化した項目を設定しています。

note_任用基準について

人財要件を全メンバーに公開することで、昇格を目指すメンバーは自分が今後どういった人財像を目指すべきかを明確にすることができます。
さらに、定量評価で行われる人事評価にコンピテンシー要素を取り入れた人材要件をかけあわせることで、経営陣が各役職に求める人財像のメッセージも込めることができます。
これらが、昇格・降格時の判断軸にコンピテンシー評価を導入するメリットです。

評価基準の設定については、あくまで定量評価ありきの定性評価だと考えますが、定量評価と定性評価のそれぞれの長所を上手に活用していくことで、より強い組織づくりが可能になります。

定量評価と定性評価を上手く組み合わせることが大切

今回はコンピテンシー評価の特徴と、活用方法についてまとめてみました。

定性評価は、先述の通り、活用方法や運用方法を間違えると、マネジメントや信頼関係において逆効果に働いてしまいますが、留意すべき点をしっかりと押さえて運用できれば、評価の質を高めることに繋がるとOGSは考えます。

定量評価の基盤を整えるためにも、コンピテンシー評価導入の前にまずは定量化した人事評価制度の導入を実践してみてください。

OGSでは、どんな職種でも定量化が可能なオリジナルの人事評価設計シートのサンプルをご用意しています。
こちらから無料でダウンロードいただけますのでぜひご活用ください。

シートの詳細とダウンロードはこちらから
↓↓↓↓↓

画像2