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変動金利はいつ上昇するの?

変動金利は必ず上昇する

住宅ローンの変動金利は、おおむね短期金利に連動しています。
つまり、短期金利が上昇すれば上昇するでしょう。
また、もし銀行の調達コストが上昇したらどうなるでしょう。
その場合も、変動金利は上昇するでしょう。

ということで、変動金利上昇のきっかけは以下の2つです。
 ①国内の短期金利が上昇する
 ②銀行の調達コストが上昇すること

国内の短期金利上昇はいつ?

現在、多くの人の関心が日本銀行の動向に関心をもっています。
それは、日本銀行が短期金利の水準を決めているからです。

2013年から導入された大規模金融緩和は、いつか正常化されます。
もちろん一気に解除されるのではなく、何度か修正されると思います。
しかし、それがいつになるのか、誰もが知りたいところです。

人によっては、年内もしくは来年に
マイナス金利の解除を見込んでいます。
また、中には10年は変わらないという人もいます。

ただ、以下の条件が満たされるとなれば、
解除をしない訳にはいかないでしょう。

 物価+2%が安定的だと判断された
 賃金上昇を伴う物価上昇となっている

その日がいつになるか。
実は、日本銀行が判断する基準を明示しなくなったため
いつになるか、本当にわからなくなりました。

日銀は金融システムの安定も目指している

ここで日本銀行の目的をおさらいしておきたい。
ありがたいことに、日本銀行のHPでまんま書いてあります。

物価の安定
日本銀行の金融政策の目的は、物価の安定を図ることにあります。物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤であり、日本銀行はこれを通じて国民経済の健全な発展に貢献するという役割を担っています(日本銀行法第1条第1項、第2条)。
金融システムの安定
決済システムの円滑かつ安定的な運行の確保を通じて、金融システムの安定(信用秩序の維持)に貢献することも、日本銀行の重要な目的です(日本銀行法第1条第2項)。日本銀行は、金融機関に対する決済サービスの提供や「最後の貸し手」機能の適切な発揮等を通じて、この目的の達成に努めています。

日本銀行のHPより

注目していただきたいのは、2番目です。
金融システムの安定も、日本銀行の重要な目的なのです。

低金利の長期化は、金融機関の収益力低下に直結するため
早急に解決すべき問題です。

金融機関が、すぐにはつぶれることはありませんが、
今後、金融機関の淘汰はどうしても進むでしょう。
その広がりを防ぐには、金利を上げざるを得ない
そう予想しています。

最後に、現在の円安の流れをとめるため
金融政策を修正する可能性もあります。

前述の通り、為替のコントロールは、日本銀行の仕事ではありません。
しかし、内外金利差を放置し過ぎた結果、
円安として跳ね返ってきたことを考えると、
何らかの措置を行うこともあるでしょう。

個人的には、早く金利を上げるべきという理由は
十分にあるのですが、日本銀行はまだ踏み切れないようです。

銀行の調達コストは上昇している?

住宅ローンにおいて、資金は預金で調達しています。
調達コストは預金金利となりますが、ほぼゼロに近い状態です。

しかし、これはとてもおかしな話なんです。
なぜなら、現在は物価が2%を超えていているのに
金利が上がっていないからです。

預金していると価値が目減りしてしまいます。
預金している人は、反乱を起こしても良いとも思いますが
おとなしい日本人は、ほぼ0%の預金金利を
黙って受け入れています。

また、営業経費は値上がり傾向にあります。
金融機関の規模にもよりますが、営業経費は約1%です。
物価が2%上昇すると、1年後は1.02%、2年後は1.04%です。
10年このまま物価が上がれば、1.2%以上になるでしょう。

経費が上がっても金利を上げずに
いつまで我慢させられるのでしょうか。

金利をすぐに上げない理由とは

日本銀行は、大規模金融緩和を10年以上続けています。
植田総裁は、つい先日、緩和維持の方針を打ち出しました。

黒田前総裁が、金融緩和導入時に物価2%を目標に掲げ、
2年以内に結果を出すと宣言し、ようやく物価は2%に達しました。

しかし、植田総裁は、以下のような理由から緩和維持をうたっています。
「インフレ目標が未達になるリスクがある」
「物価上昇が賃金上昇を伴っていない」

表向きにはそのように説明されているようです。
しかし、他にも理由があると考えます。

金融システムの安定のため、金利を上げる必要があると述べました。
しかし、金利を上げ過ぎても問題が起こります。
例えば、米国でも地方銀行の破綻が相次ぎましたが、
同じ様なことが、日本でも起こりうるからです。

金利を上げなければ金融機関の収益力は低下、
金利を上げると地方金融機関の破綻が加速、
日本銀行は、次の一手を悩んでいると思われます。

最後に、金利を上げると政府と日本銀行が
ピンチに陥ってしまうでしょう。

政府は利払負担が増えてしまいます。
日本銀行は債務超過に転じてしまいます。

考えたくもありませんが、政府や中央銀行の信用が失われれば、
更なる円安やハイパーインフレなども視野に入ってきます。

問題が起きないよう、日本銀行はゆっくり上げたいのでしょう。
そしてそれは、時期よりも上昇のペースを重視することでしょう。

気になるのは、ヘッジファンドがここぞとばかりに
狙い撃ちにしてくるかもしれません。
気が抜けない状況がこれからも続きそうです。

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