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採用面接では「面接官の認知バイアス」をどれだけなくせるかが重要

面接は、古くから日本でおこなわれてきた採用方法の王道中の王道です。

日本のみならず、世界的に見ても「インタビュー」という名で、応募者が募集企業の採用担当者と直接話すことで採用の可否を検討するという方法はポピュラーです。

直接顔を合わせて話をすることで、相手の「人となり」を知ることができると言われる面接ですが、いざ採用してみると「えっ!? こんな人だったの!?」とか「もっとできると思ったのに」とか、そんなギャップを感じることが多々あります。

その原因のひとつに、面接官の「認知バイアス」というものがあります。

しっかり面接したつもりでも起こりうるミスマッチ

面接は、応募者と実際に会って(今はオンライン面接のが多いとは思いますが)直接話すことで、相手の「人となり」や「考え」、そして「質問への反応や対処能力・問題解決能力」などをはかる採用方法です。

何日も、あるいは何時間もかけて面接するわけではなく、ほとんどの面接が数十分で実施されます。

その「たった数十分」の中で相手の本質を見抜き、能力を掌握するのは至難の業です。

実際、しっかり面接して、考え抜いた質問を投げかけ、その答えや反応、態度などから見極めて「この人なら……!」と採用したのに、入社したら「期待したような人材ではなかった」とか「思っていた人とは違った」といった「期待外れ」が起こるケースは少なくありません。

採用された側も、折角入社が決まったのに「思っていた職場とは違った」や「こういう仕事とは思っていなかった」という「ミスマッチ」が起こり、辞めていってしまうということがあります。

ミスマッチで辞めてしまう社員たち


ディップ株式会社がおこなった調査によると、離職を考えたことがある人の「理由」として、

1位:上司・同僚などの職場の人間関係が良好ではなかった
2位:仕事内容・業務内容のわりには不十分な給与だった
3位:評価・昇給が妥当ではなかった

引用:https://www.baitoru.com/dipsouken/all/detail/id=459

となっています。

2位の「仕事内容・業務内容のわりに不十分な給与だった」という理由は、おそらく応募要件に記載されていた給与や仕事内容と、実際の給与と仕事内容のバランスにギャップがあり「思っていたよりも給与に見合わない仕事だった」と感じて離職を考えたということが予想されます。仕事内容や就労条件のミスマッチがおこっているわけです。

これは、応募要件を見直したり、仕事内容と給与そのものを見直したりすることである程度は解決できます。

1位の「上司・同僚などの職場の人間関係が良好ではなかった」という理由は、職場の雰囲気や「人」とのミスマッチになります。

これは応募要件に書けないことであり、実際に入社してみないと分からない部分だと思います。

会社との相性、会社で働く人たちとの相性、という点にフォーカスすると、本来であれば面接で「この人はうちの会社と合っているだろうか」という点において熟考されなければならないのですが、それが十分に実現できていないということになります。

仮面をかぶり演じる応募者とフィルターをかける面接官

では、会社の雰囲気や働く従業員とのミスマッチがなぜ起きるのか?なぜ面接でミスマッチを事前に防ぐことができないのか?

実は、その理由は応募者にも面接官にもあります。

応募者は仮面をかぶって演じている

応募者は、採用してほしいわけですから、少しでも自分をよく見せようとします。

「私を採用すれば御社にとって良いことがありますよ・御社に利益がありますよ」

と、存分にアピールしなければなりません。

そうなると、

・しっかりしている
・性格が良い
・臨機応変に対応できる
・人の意見がちゃんと聞ける
・自分の意見もちゃんと持っている

といった「理想の人材」を演じるようになります。
本当の自分とはかけ離れていても、受かるために採用してもらうために、必死になって仮面をかぶり全力で演技します。

そのため、いざ採用が決まり入社して、本当の自分が出てきた時に「ミスマッチ」や「ギャップ」が生じるのです。

応募者を色眼鏡で見る面接官の認知バイアス

応募者が演じるのは多くの人が納得すると思いますが、実は面接官にも「ミスマッチ」を引き起こす原因があると言われています。

それが「認知バイアス」です。

「バイアス」とは先入観、偏見という意味です。
認知バイアスとは、先入観や偏見による「認知のゆがみ」のことを指す言葉です。

極端な例を上げると

・日本人はまじめ
・イタリア人は陽気
・ドイツ人は気難しい

といったように、本当は個々で性格は異なるのに「○人」というくくりでイメージを決めつけてしまうことです。

日本人の中にも、まじめな人もいれば、明るくおおらかな人もいます。気難しい人もいれば、偏屈な人もいるでしょう。

イタリア人でも生真面目で冗談など言わないという人がいるはずです。

これは民族だけでなく、経歴や学歴、容姿、家族などにも言えることです。
こういった色眼鏡で応募者を見てしまうと、同じことを言っていても印象がまるで変ってきます。

面接官の認知バイアスの具体例


面接官の認知バイアスの具体例としては、主に「学歴や経歴によるもの」「外見によるもの」そして「類似性バイアス」というものが上げられます。
ひとつずつ具体例を挙げて見ていきましょう。

学歴や経歴によるバイアス

まず、分かりやすいのが「学歴・経歴バイアス」です。

名門大学、難関大学を出ている人は「きっと頭が良くて仕事もできる人だろう」と思い込んでしまう、もうこの時点で「認知バイアス」がかかっています。

例えば面接官の質問に対して、少し予想外の返答があった時にも、面接官が「きっと頭が良い」「きっと優秀」と思いこんだ相手であれば「さすが、○○大を出ている人は考えていることが違うね」となるわけです。

反対に、面接官が「あまり優秀ではない」と思う経歴の人だと「ほら、これだから○○卒は微妙な答えだわ」と思ってしまいます。

同じ返答でも、無意識的にこれだけの大きな差が生じてしまうと考えると、結構恐ろしいものです。

外見によるバイアス

続いて外見による認知バイアスです。

分かりやすい例でいえば「茶髪やピアスはちゃらちゃらしていて不真面目」であったり「ピンク色や青色の髪は変わり者」であったり、「古いヨレヨレの服装の人は貧乏」であったり、という先入観になります。

就活生たちが皆量産型の「ザ・就活生」になってしまうのは、皆が同じリクルートスーツを身にまとい、髪を黒く(地毛色)にし、女性であれば似たような薄化粧をほどこし、同じようなビジネスバッグを持って歩いているわけで、これらは「面接官の外見認知バイアス」で不利にならないようにするためです。

個性が大事と言われる現代で、まるで個性のない就活生を見かける度にため息をつきたくなります。

類似性バイアス

面接官の認知バイアスを理解する上で、外せないのが「類似性バイアス」というものです。

このバイアスは簡単に言うと「自分と似た人に共感して親和性を感じる」というバイアスで、同郷だったり同じ大学を出ていたりすると急に親近感が増して「この人は良い人に違いない」と思い込んでしまう危険なバイアスです。

同じ趣味を持っていたり、同じような境遇だったり、という点でも起こる現象で、人はとにかく自分と共通するものごとを見つけると、それが「良い」と感じてしまうものです。

たまたま面接官と同郷だったから、たまたま面接官と同じ趣味だったから、という理由で採用が決まることも少なくないのです。

表面上はあくまでも公正に面接した結果、となるわけですが、その奥底にはこういった「バイアス」が影響していると考えられます。

本質が見えない面接ではミスマッチが起こる


自分を良く見せようと演じる応募者、そしてさまざまなバイアスがかかって無意識に色眼鏡で応募者を見てしまう面接官、この2つが揃ったら……
「面接」というものがいかに危ういもので、不安定で、本質が見えないものだと分かります。

本質が見えてこない面接で採用するか否か決めている限り、当然「ミスマッチ」は起こり続けます。「こんなはずじゃなかった」「思っていたのと違った」というネガティブな予想外が、応募者側にも採用側にも起こり、結果的に早期離職者が後を絶たなくなります。

それは、応募者にとっても会社にとっても良いとは言えない状況です。
1人の社員を採用するのにかかるコストは100万と言われている中で、なるべく「辞めない」社員を確保することが必要となっているのです。

面接が抱える問題を解決する相性採用

では「辞めない」社員を確保するにはどうしたらいいのでしょうか。

その答えは会社との相性をふまえて採用する事、つまり「相性採用」にあると僕は考えています。

これからの時代は、履歴書ではわからない性格や特性までふまえて候補者をしっかり分析し、より本質的な部分を見抜き、うちの会社の社風にあうか?本当に力を発揮できそうか?社員たちと上手くやっていけるのか?という点までしっかりふまえて採用する方法が必要になると思っています。

ますます採用が厳しくなる現代において、表面上の経歴や能力だけでなく、長く勤められる重要なファクターである「相性」にこれまで以上に重きを置いて、本当の意味で会社に貢献し続けてくれる人材を確保することが最重要になると確信しています。

そんな訳でこれからの時代に向けてこんな転職サービスを作りました。

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