NFT自動販売機と街づくりに繋がるリテールテック
打ち合わせまでの時間があったので、新宿にできたNFT自販機を体験してきました。歌舞伎町の入り口に設置されている自動販売機。真っ白な下地に大きな文字でNFTと書かれているため、NFTに興味のある人なら、すぐにわかります。
1000円札を入れると、機械音がして、ゴトンと硬い音がして、排出口に銀色の袋が出てきました。銀色の袋をやぶくと中からチケットのようなものがでてきます。6月に予定しているアートイベントのチケットであるとのことです。
OpenSeaをはじめ、nftは多くの場合、デジタルとして存在しています。しかしながら、このように、フィジカルと紐付けることによって、アセットは現実世界にも生かされることが可能となります。
ニューヨークにも出現したNFT自動販売機
NFTギャラリー&マーケットプレイスのNeonは、ソラナ(Solana)NFTを販売する自動販売機をニューヨークのウォールストリートの近く、ジョンストリートに設置しました。特徴となるのは、購入者はVisaまたはMastercardの使用やSamsungPayまたはApplePayモバイルアプリを使用してNFTを購入できるなど、暗号通貨意外でNFTを購入できる点です。
Neonの最高マーケティング責任者で共同創業者のジョーダン・バーンホルツ氏は、プレスリリースで、購入者にとってハードルが低く、NFTを購入できることのメリットについて話しています。
未成年の飲酒を防ぐための自動販売機の事例
NFTを自動販売機で販売することが注目されていますが、スマートコントラクトを用いた自動販売機のアイデア自体は新しいものではありません。
2012年から既にビットコインを通じた自動販売機の事例は存在していました。
そもそも自動販売機自体はオートマトンと言われる構造の説明として昔から使われてきた事例でもあり、ロジック制御されたスマートコントラクトの最もわかりやすい事例としても度々教科書などに説明されるほどです。ブロックチェーンを用いた自動販売機の説明ではおおよそ下記の2点で説明されていることが多いのではないかと思います。
IoTやID認証など、複数のオプショナルなロジックを組み合わせることができる
マイクロトランザクションの観点で、電気や水道のような取引量に応じた少額支払いが可能
まずIoTやID認証の観点では、未成年の飲酒を防ぐための自動販売機の事例があります。シビック・ペイ(Civic Pay)をダウンロードし、本人確認をしたユーザーだけが、ビールを購入することができるというアイデアのプロトタイプが2019年のSXSWで披露されました。スマートコントラクトによって分証明と決済を1つのトランザクションに統合することによって、改竄されることなく、購入が行われるため、未成年がお酒を手にすることを防ぐことができます。
他にも、ビットコインの支払いの事例ではありますが、マリファナなどのドラッグの自動販売機というものもあるようです。
日本においては、薬は薬局でしか購入できませんが、オンライン診療も進むなか、年齢や性別だけではなく、身長、体重、体温などの健康状態、過去の利用履歴など様々な情報における複数箇所のチェックポイントをつくることができるため、それらのデータが改竄されることなく、運用されることができるなら、将来的には、このような自動販売機のようなソリューションでアルコール、タバコ、成人向け娯楽用物質、処方薬など様々なものが購入できる時代が来るかもしれません。
偽のIDがでまわるのでは?という心配については、複数の認証手段による認証が研究されています。たとえば、ブロックチェーンによるIDに加えた指紋や網膜認証などです。ブロックチェーンを用いたデータ管理では、情報が高度に暗号化されるため、顧客の個人情報の盗難についての安全性もメリットとなります。
電気の支払いなど、マイクロトランザクションの利点を用いた事例
次に、マイクロトランザクションを通じた取引です。例えば、街中のカフェでは無料のコンセントによってバッテリーをチャージできるようになりましたが、緊急の際にはコーヒー1杯の金額を必要とします。
過去にビットコインを受け入れることのできる様々な自動販売機のプロトタイプが登場したことがあり、ガソリンの給油や、BitcoinKineticsBitWasherといわれる洗濯機、ゲームセンターの支払いにおけるなど、いずれも、少額課金を実現する方法であり、迅速なセルフサービスツールとして有効であると言えます。
自動販売機がレストランになる、そして相互運用性が切り開くフードロス革命
米シカゴを中心に展開されているファーマーズフリッジのスマート自販機こでは、毎朝調理されたサラダやサンドイッチを提供しており、自動販売機はもはやレストランとしての位置づけになっています。注文や決済もすべてアプリ上で行えるようなっているだけではなく、自販機はすべてIoTでつながっているので、何がどれだけ売れるのかがリアルタイムで状況を把握、フードロス削減にも役立っているそうです。
スウェーデンの新興企業は、レストランやスーパーマーケットが余った食べ物、つまり1日の終わりに捨ててしまうような食事をアプリを通じて販売するのことを支援するサービスを行っています。日本でも、フードバンクのカートを様々なところでみるようになりましたが、フードロスにたいする取り組みについても、スマートコントラクトやブロックチェーン技術とも非常に相性が良いのではないかと思います。
Conclusion
昔、何かの漫画で読んだ記憶があるのですが、古代エジプトで聖水を販売するために神殿の前に設置されたのが最古の水の自動販売機であることを知って、非常に驚いた記憶があります。コインをいれることで、その重みで皿が傾き、戻るまでの時間に水が排出される仕組みだそうで、インディージョーンズや、アンチャーテッドの映画に出てくるようなアナログな仕掛けを想像させ、非常にワクワクします。
それが、コンピューター制御によって広がり、今ではスマート自販機といわれるように、様々なものと接続することによって販売できる種類も増え、小売店となりつつあります。AmazonGoのような無人型の店舗なども今後増えてくることが期待されていることから、商品の管理、決済、出品者、購入者のチェックなど様々な機能を、ブロックチェーン技術が担っていくことになるのではないかと思います。フードテックについては、かなり前に別記事でご紹介した事例もありますので、ご参考にしていただければと思います。
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