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書籍【NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B07GWJCBVP

◎タイトル:NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く
◎著者:パティ・マッコード、櫻井祐子(訳)
◎出版社:光文社


すべてを参考にできる訳ではないかもしれないが、会社の規模や文化に合わせて取り入れてみてもいいと思う。
しかし、どんな会社にも共通できそうな、参考にできる部分があったのも事実。

・会社の事業状況を、人事担当こそ最も把握すること
・あくまでも経営を担う責任を負っている意識でいること

これらは実際ものすごく重要なことではないだろうか。
企業の人事担当責任者でこの自覚を持っていて、さらに実践まで出来ているとすればよいが、現実はなかなか難しいと思う。
当社も同様だが、日本企業は今まで「就社」であって、「就職」ではなかった。
人事人材も含めて、経営人材すら正しく計画立てて育てられていたかと言えば、甚だ疑問が残ってしまう。
現場の仕事をしていて、ある年齢になったら現場から離れて管理部門に行く。
人事担当として専門で勉強しキャリアを積んできた訳ではなく、現場に未練がある人も、管理部門に向かない人も、一律で現場から離れて管理部門に異動していた。
そのような流れが出来てしまっているのが、ほとんどだと思う。
最近は状況も変わりつつあると思うが、それでも人事のプロ、経営のプロを計画的に育てているとは到底思えない。
この辺については、本書のような書籍も参考にしつつ、今後どうすべきかを今の経営陣と人事責任者と膝詰めで議論を重ねていく必要があるだろう。
大企業よりも当社のような中小企業の方が課題は深刻で、人事が担わなければいけない重要案件が多過ぎる。
人事自体のレベルも上げて、競争で勝てる組織作りをしなければいけない。
そういう点でも、人事こそ会社の業務の中身を理解していなければいけない。
採用についても、どういう人材が必要なのかを分かっていなければいけない訳だし、既存社員についても、こういうキャリアを歩ませたいという成長の道筋も作る必要があるからだ。
急に人事に求められることが多くなっている印象があるが、企業側もそれだけ「今のままでは変化に対応できない」という危機意識を持っているからだ。
未来にどういう会社になっていたいか。
そういうビジョンというか将来の形を共通で思い浮かべられれば、後は具体的にどういう陣容で行くかという話になる。
ここまで出来れば人事としては動きやすいのだが、実際これもなかなか難しい。
現経営陣には年配者の人も多く、先の未来まで考えても自分事としてピンとこないというのが大きいと思う。
もちろん経営陣は短期の成績で進退が決まる訳なので「一時的に業績を下げても、将来のために人材に大きな投資を行う」という気持ちが働きにくい。
人事として「増員が必要ではないか?」と進言しても、「人が増えると部門利益が減る」とコストの話になってしまって、なかなか進まない。
人材への投資については、総論賛成が多い。
しかし具体的に「あなたの部下を異動させて、将来こう成長させたい」と人事が伝えても、その役員の腹心であればOKが出ることはほとんどない。
これらの事も日常茶飯事だが、それでも覚悟を持って人事は動かなければいけないのだ。
Netflixと当社を比較するのは難しいが、Netflixがここまで成長できたのは、人事に巨大な権限を担わせたことが大きな要因だろうと思う。
もちろん人事はそれだけの責任がある訳だから、覚悟を持って臨まざるを得ない。
ここも大事な点だと思う。どういう会社にしたいのか。
これを経営者と同じ目線で作り上げることが重要なのだ。
Netflixは「プロスポーツチームのようだ」というのは、組織として分かりやすい。
ハイパフォーマーをいかに揃えるか。
彼らが本当に高いレベルの結果を出せるように待遇面も環境も整える。
しかしそれは、福利厚生の充実や、ビールサーバーを入れたり、イベントやったりなどではない。
一時金やボーナスも評価制度も必要ないという。
マネージャーが評価のために時間を割くことを、「勿体ない」とすら言っている。
その辺の仕組みの詳細については本書内で書かれているが、ここまで徹底するのは、当社含めて今の日本企業では難しいだろう。
それは「真似できない」と諦めている訳ではなく、やはり文化の違いとも言えるかもしれない。
だからこそ、「私たちの会社に合致した人事の在り方と何か?」という文化を突き詰めなくてはいけない。
Netflixを真似できないのであれば、我々はどういう戦略で戦うのか。
世界一を目指すだけがゴールでないとしたら、我々はどこを目標とするのか。
Netflixの「カルチャーデック」は超有名であるが、本当によく出来ていると思う。
【参考】https://www.slideshare.net/reed2001/culture-1798664
企業そして人事の仕事とは、結局「文化作り」なのではないだろうか。
収益化は当然主目的かもしれないが、金稼ぎだけ 出来ればいいという訳ではない。
世界中のほとんどの企業が経済活動をしているのは間違いないが、やはりプラスアルファとして「意味」が大事なのではないかと感じてしまう。
その意味の追求が、日本企業は弱いのだろう。
もっともっと我々の存在意味について、発信し、社員に腹落ちさせる必要があるのだ。
それがやがて会社の文化となって、根付いていくのだ。
今後、人間が行っていた仕事は、益々AIに代替されていく。これは間違いない。
だからこそ、人と文化を作り上げる人事部門の役割が重要になってくる。
私が働いている会社も、従業員にとって本当に良い会社にしたいと思っている。
まだまだ試行錯誤中だが、諦める訳にはいかない。
本気で変革を目指すのだ。
(2023/12/7木)

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