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クラウスシュワブ会長が「グレート・リセット」で語ったこと

世界の頭脳が一堂に会するダボス会議の2021年のテーマが『  #グレート・リセットです。

#ダボス会議 」とは「 #世界経済フォーラム 」の総会のことです。
世界を代表する有識者、政治家や実業家や専門職の方々が一堂に会して今後こんな世界になっていくだろうという仮説を立てて、そのなかで問題があればどうやったら解決できるだろうという解決方法について討議したりする会議です。

世界経済フォーラム は世界情勢の改善に取り組む国際機関です。
1971年に誕生しました。政治・ビジネス・社会といった各分野のリーダーたちと連携し、官民両セクターの協力のもと、目標達成のために取り組むという特徴を持っています。特定の利害と結び付くことなく、グローバルな公益の実現を目的とした非営利団体です。

第51回となる2021年の年次総会では、政府、企業、市民社会のグローバル・リーダーと世界中のステークホルダーが、対面とバーチャルの両方で対話を行う予定でした。

資本主義のグレートリセットであるとの表明

「グレート・リセット」とは、協力を通じより公正で持続可能かつレジリエンス (適応、回復する力)のある未来のために、経済・社会システムの基盤を緊急に構築するというコミットメントです。

この「グレート・リセット」の実現に向け重要な姿勢は3つだと表明されています。

ひとつ目は、より公平性のある市場を目指し、かじ取りをしていくこと。

二つ目は、社会や経済が停滞する中で、システムを変革するために新しく拡張された投資プログラムを活用すること。

そして三つ目は、第四次産業革命のイノベーションを活用した上で、公共の利益、特に健康と社会的課題に取り組むことです。

より良い成果をもたらすには、教育から社会契約や仕事に至るまで、私たちの社会と経済のあらゆる側面を刷新するために、世界は共同で迅速に行動しなければなりません。米国から中国までのすべての国が参加し、石油やガス、ハイテク産業まで、すべての産業を変革する必要があります。私たちに今必要なのは、資本主義の「グレート・リセット」なのです。

クラウス・シュワブ教授は、私たちが迅速かつ協力して行動すれば、この危機からより良い世界を取り戻すことができると述べています。新型コロナウイルス感染拡大の対応に見た変化は、私たちの経済的・社会的基盤のリセットが可能であることを証明しています。これは、ステークホルダー資本主義を推し進める機会でもある事を示唆します。

うわさは多いものの「グレート・リセット」の具体的な内容はかなり漠然としています。

パンデミック以降の 6 つの変化

「ダボス会議」の創設者でもあるクラウス・シュワブ会長らは2020年7月に著した著書「COVID-19:ザ・グレート・リセット(COVID-19: The Great Reset)」において、新型コロナウイルスのパンデミック以降の変化を次のようにまとめました。

<その 1:崩れた経済>
新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済の80%に大きな打撃を与えました。企業倒産が相次ぎ、賃金は下がり失業率は急上昇しており、その結果、もともと存在していた社会的格差はさらに拡大したといいます。

<その 2:格差の拡大と社会的信用の低下>
パンデミックのなか、社会のデジタル化が急速に進んでいます。オンライン診療など、ITやAIを活用した社会サービスが爆発的に拡大しています。この結果、あらゆる分野で仕事を失う人が増え、これが格差をさらに拡大させています。これが背景となり、世界的な抗議運動が起きています。

<その 3:巨大だが非効率な政府>
経済の落ち込みと社会的格差拡大の歯止めとして、各国政府は巨額の財政支出を行っています。それは巨額な赤字の原因となってますが、政府の財政支出では思ったような効果が出てません。非効率です。

<その 4:巨大化するIT産業>
テレワークやオンラインショッピングなど、コロナ禍のなかでIT 産業はさらに巨大化しました。少数の巨大IT企業が社会サービスのあらゆる分野を担うことになりえます。しかし、こうした企業によって個人情報が握られることになっています。これが新たな問題を引き起こしています。巨大IT企業の全面的な支配を許してしまうことになります。

<その 5:地政学的な緊張>
コロナ禍のなかで、かねてから激しさを増していた米中対立は一層激化しています。このまま行くと、新冷戦から世界の多極化が進み、世界は混沌とした状態に向かいます。

<その 6:関係者すべてが関与する企業>
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたプラスの効果があるとすれば、企業の形態に変化が見られることです。企業のなかにはこれまでの利益中心の経営方針を見直し、従業員を含めたすべての関係者に積極的に関与してもらう新しい経営スタイルを模索る企業も多くなっています。しかし、これが大きなトレンドとして定着するためには、従来の企業の概念を変更せねばならず、そのためには政府の積極的な関与と支援が必要になります。

この本では、以上のような 6 つを新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした深刻な問題として提起し、これを解決するためには現在のグローバル資本主義のリセットが必要なのだと力説しています。

以降の通りに変化を予測しているものの、この本にはどのような体制になるのかの具体的なプランは提示されていません。

この本について語られている動画もあるので、その動画を通じて内容を見ていきましょう。

2020/10/16公開の発売前にレビュー

kindle版をみてのことです。

パンデミックによって社会の変化が加速してますよね。これは世界を方向に変えるチャンスだとしています。今後 の 世界 を 俯瞰的に展望するために、 大きく分け て、 マクロリセット( 経済、 社会、 地政学、 環境、 テクノロジー)、ミクロリセット、個人でのリセット(個々のライフスタイルを目に向けるようになる)の3つにまとめて推論しているとしています。

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経済のリセットに何が書かれていたかというとパンデミックが起きると経済活動が停滞するとします。

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実質金利は下がり賃金がが上がる傾向があります。黒死病の時は、労働者側も働くから給料をほしいと社会の構造が大きく変わるといわれてきています。いっぱい物を作れば作るほどGDPはあがります。

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GDPをあげることに固執して鉱物、石油といった天然資源を枯渇させていくことになりました。

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GDPの考え方を一新する必要がありますよねと書いてあります。デジタル経済(無形固定資産)と無償労働(家庭内の育児)から生まれる経済もあるが一切カウントされないGDPを追い求めても社会的枯渇性資源をつかうだけだ。右肩上がりの経済成長は意味がないと説きます。またインフレは起きないだろうと書かかれていると紹介しています。パンデミック化では
基軸通貨としての信用はどうなのか。それにとって代わるのは今のところはない。買われるとしたらビットコインは論外。

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社会基盤のリセットについては、富裕層から貧困層への富の再分配が生じる。新自由主義の終焉。政府介入するよりも創造的破壊をする。社会福祉よりも競争を重んじる、格差容認の主義。これを見直さざるをえないでしょうねといわれています。そてパンデミックでみんなで連帯しようというより経済成長を重んじてきました。ロックダウン中の不平等がひどいものでした。

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高所得者層はホワイトカラー勤務で金融資産を増やしながらテレワーク。低所得者は解雇、はたらけても工場勤務や配達員で外で感染リスクを背負いながら働くことになり、生活に不可欠な仕事に見合う報酬が支払われていない。生活に不可欠な本質的な価値のある仕事に対して見合う所得が支払われてない。食品工場や配達員、医療従事者のようなリスクを背負いながら見合う報酬が支払われてい。正当な評価を受けいていないといいます。

パンデミックがおさまったら不平等な格差はどうなるのか?
広がりつつあり、この状況はいけないといっています。

グレートリセットを怖いイメージがあり、どう回避すべきかを考えようという話もありますが、金融資産没収すると本来的にはみんな公平であるべきです。

2021/01/02公開の #書評王さん の動画

この本は「アフターコロナの世界を先取りした本」として紹介しています。世界のリーダーが集うダボス会議で議題にあげられた「グレートリセット」についてまとめた本で、落ち着いたアフターコロナの世界はどうなるのかかなり広い範囲で解説されていると紹介しています。

この動画では、個人のリセットでで何か変わるのか

我々は3つの大きな力を受けています。
この3つの力の影響を受けざるをえないとしています。

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まずは「相互依存」である。
異常気象が起きると、気候変動対策の失敗に関係して、食糧危機に関係して、水の危機にも関係して、感染症の広がりにも影響していくということになっています。今日は暑いなぁということだけで終わらないということになっています。

#感染症 の広がりが起きてきて #異常気象 が起きると #非自発的居住 にも影響が出てきます。ほんのちょっとしたことがいろいろなことに紐づいて起きてしまう世の中になってしまう。影響がお互いが入り組んだような状況になっています。おれはおれだけで生きていくのだという極端な個人主義というのは存在しないとしています。


「スピード」が求められる。
いまはツイッター100人のフォロワーになってきたら追えないくらいスピードが求められています。回線ダイヤルアップ、ISDN、ADSL、光通信になって、定額つなぎ放題もだいぶ昔の話になってきました。一瞬にドカンと広がるこの感じ、スピードで広がるイメージがこのようなスピードで回りは変化している時代だといわれています。急ぐ文化。

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「複雑性」がある。
人々の知識や物事の理解を超えたことを引きおこすことです。
想像もしなかったことが起きてします。「風が吹けば桶屋が儲かる」というは理解を超えた結果です。一見関係ないと思われる場所や物事に影響が及ぶことで #ロジカルシンキング を超えたものです。今日は風が強いから桶屋で起業するぞというのは、やめとけという話です。コロナウィルスがどんな影響を起こして未来に何が起こるかわかりません。未来が見えないから対策が立てにくいということです。これが複雑性の問題です。

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個人にこれらの圧力は何に影響力がありますか。
何が大事なのか?の優先順位が変わります。

新型コロナで在宅ワークが意外と機能することに多くの企業がわかりました。そうなると出社して仕事しますか、在宅で仕事しますかといわれるようになります。在宅ワークが起きた場合は、いつも家にいるようになります。家にいるということは住所がどこでもよくなります。そうなった場合、何の基準ですることを選ぶのかということになります。在宅ワークで働くことで何が大切なのかを考えなくてはなりません。

これまで職住接近でした。しかし、出社する必要がないのだから、大阪に住み続けなければならないというわけではない。どんなライフスタイルを送りたいかを真剣に考える日が来るだろう、といっています。
自分の人生に理想的な生活を送りましょう。

他にも興味深い動画が、、、

10月末に緊急出版された本。グレートリセットということはどういうことなのか。ノーマルからニューノーマルといっていることで生活がかなり変わってしまいシステムも元には戻らないといっています。世界経済フォーラムのビジョンがわかる本だと思っていいと思います。

この世界は政治は政治の話、こうなるよという予測というよりはこうしたいという部分が書かれています。グローバルエリートの人たちが世の中をどういう風にしていきたいかについて書かれています。グローバル化しすぎて相互依存になっている。その社会というのは、たとえば社会の話をするときに政治は政治の話、環境は環境の話、経済は経済の話と、分けて考えることができない、すべてが密接に関係しあっていて枠を超えて影響しあってしまうのでドミノ倒しのように影響が広まってしまいます。

この動画ではグレートリセットで #自由競争の原理 がなくなり #超平等社会 が実現されると見ています。また #ベーシックインカム の導入と #スマートシティ が発展すると予測します。

自由競争の原理が奪われ平等となると、優れた功績も認められないとなると成長がとまる、そういう未来を想像するのは難しくないとみています。格差が広がるというより全体の底上げがされることに注目してほしいと説きます。自由競争は是正されるべきではないが既得権益はなくすべきと主張するのですが、その実現方法は示されてません。

スマートシティの巨大化は #超監視社会 となるといいます。

#オーストラリア#モリソン首相 はこのグレートリセットに対して明確に反対を表明しています。

ITデバイスによる人間の管理を提案

2016年にシュワブ会長は、「 #第四次産業革命 」という本を書いています。「COVID-19: ザ・グレート・リセット」の先駆けとなった著書です。

この本には、AI、IoT、5G などの先端的なテクノロジーの普及で、我々の生活で使われる家電などのディバイスが自動化されるようになると、政府の管理する中央コンピューターに個人のあらゆるデータが集積するとしています。シュワブ会長によると、政府はこうした個人情報を活用して個人の生活状況を把握できるようになるとしています。これは個人のプライバシーという、いままでは本人以外にだれも入ることのできなかった世界が、すべて政府による管理の対象になることを意味しています。

シュワブ会長は、スマホなどの個人が身につけるデバイスは極小化され、最終的には人間の身体に埋め込まれると予測しています。すると、そうした身体に内蔵したITデバイスを通して、個人の思考や想念さえも通信することができるとしています。

この本のなかでシュワブは次のようにいっています。

「身体に埋め込まれたスマホで音声による通信が一層容易になるだけではなく、スマホが脳波を解析することで、気分や表現されていない感情までも通信できるようになるはずだ」

これはまさに、個人の思考内容や感情すらも身体に埋め込まれたスマホのような通信機器を通して、政府のサーバーに送信されてしまうことを意味しています。

つまり、犯罪のことを思い浮かべただけで、厳しい監視の対象になることを示唆しています。

あわせて読みたい『14歳から考える資本主義』

2020/11/4に #大嶋賢洋 監修の『 #14歳から考える資本主義 』が #太田出版 さんより発売されました。「グレートリセット」の直後に発売されてます。
図解されていて分かりやすいです。

あわせて読みたい『 14歳から知る気候変動 』

2020/7/23に #大嶋賢洋 監修の『 #14歳から知る気候変動 』が発売されています。『14歳から考える資本主義』を発刊する前に気候変動について書かれています。

あわせて読みたい2011年「グレート・リセット」

グレート・リセットという言葉が初めて登場したのは、 #リーマンショック 後の不況の中でのこと。アメリカの社会学者である #リチャード・フロリダ 氏の、著書のタイトルとして注目されました。(2011/1/21発売)

地球史上【グレート・リセット】は過去2回訪れていて、3度目がリーマン・ショックをキッカケに始まったと訴えていました。その理論は、『新しい経済と社会は大不況からリセットされ生まれる』というものです。
1回目は『1873~1896年の大不況(Great depression)』、2回目は『1929年~1930年代後半の世界大恐慌(The Great Depression)』としています。

クラウスシュワブ会長は、この3回目を『新型コロナウイルス(COVID-19)』後に訪れるとしたのです。

2021年はグレートリセットの年と各誌で話題

2021年は「グレート・リセット」の年になると、雑誌『TIME』(国際版)は、2020年11月2日・11月9日号でそのままズバリ「グレート・リセット」を特集しました。

イギリスの雑誌『ザ・エコノミスト』は、毎年の新年の特別号の表紙画がその一年の予言となると話題です。「The World in 2021」号ではスロットマシーンが描かれ、バイデン次期大統領、引き裂かれたアメリカ国旗、コロナウイルス、風力発電、中国国旗などの目がくるくると回っていましたた。そこからは、どの目が揃おうと社会や経済の大変革(グレート・リセット)は避けられないことが連想されるものになっています。

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2021/6/2追記 




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