(第2話)上海からの帰国。福岡へ移住。 博多駅裏の自宅兼事務所をAirbnbに登録
私は2014年頃から建築不動産絡みのベンチャーサービスとして設計事務所と相性の良い事業としてAirbnbに注目していた。Airbnbは、空き部屋を貸したい人(ホスト)と部屋を借りたい旅人(ゲスト)とをつなぐWebサービスで、日本を含む世界190ヶ国33,000以上の都市で利用されている。
私は上海も含めて、いい出店候補地がないかと東アジアの都市をいくつかリサーチもしていた。その中でもっとも具合が良さそうだったのが福岡だった。当時、福岡の宿泊施設は不足しておりインバウンドの盛り上がりが極端な需給ギャップを産み出していた。さらに福岡の都市部では賃貸用不動産の賃料が他の都市と比較して低かったため、高利益に繋がると予測した。上海との距離が近いのもよかった。
来たる2016年。福岡に移住することに決めた。人的なツテもないゼロからのスタートだ。
まず、私は仕事場兼自宅で借りた博多駅裏の2LDKのアパートの一室を当時流行の兆しを見せ始めていたAirbnb(エアービーエヌビー)に登録した。同時に近所にもう一部屋、Airbnb専用にワンルームのマンションも借りた。
登録するやいなや、すぐに予約が入り世界中のゲストが部屋に泊まりに来た。自分の部屋の空き部屋がインターネットを使って世界中の旅行者に提供できる仕組みに改めて関心したのをよく覚えている。
自分が想いを込めて作った空間が、世界中の旅行者に選ばれて利用される。
それは設計者として初めての感動だった。
泊まりに来た世界中のゲストは面白い人たちばかりだった。
彼らはとても個性的でユニークな人達だった。
例えば、本国から遊びにきた恋人と過ごすため福岡で一週間滞在すると言っていたイギリス人の女性。彼女は民俗学の研究のために九州の離島に滞在していたそうだ。わざわざ恋人と過ごす場所として私の部屋を選んでくれた。
韓国人の建築家とランドスケープデザイナーのカップルは旅行のついでに熱心に福岡の建築や緑化の事例を見学していて、にわか移住者である私なんかよりよっぽど福岡の街について詳しかった。
日本の酒を販売したいと福岡に移住してきたニューヨーカーは、1ヶ月以上も私の部屋に滞在してくれた。その後は本格的に福岡に移住し、私が設計したゲストハウスの竣工写真も撮ってくれた。彼は今、福岡でニューヨークのワインを販売し、アメリカに日本の酒や焼酎を紹介している。
パッと思い浮かべるだけでも本当にいろんな人が頭に浮かぶ。
それから数年が経ち、当時感じた興奮が薄れていく中、個人で異文化交流を楽しんでいたホスト達は本格的に宿泊業をはじめセミプロ化していった。その後もAirbnbの利用者は増え続け、様々なトラブルを抱えながらも徐々に市民権を得ていった。
△福岡で事務所兼自宅として借りた2LDKの部屋
△最初のゲストは台湾人の青年で香港でIT関係の仕事をしていた。上海時代の友人も福岡に遊びに来てくれた。
ホームページに掲載したABOUT STORY(駅前でもないリゾートでもない。
都市のエッジの空き家をホテルにリノベしているワケ。)の文章を分割して掲載しています。続きが気になる方はコチラから全文が読めます。
https://www.nagasaki-guest.com/story
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