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良運の方程式 第66話

 日本は立憲君主制を採っている国です。そして現行の皇室典範では男系男子の皇位継承しか認められていませんね。皇位継承第1位は秋篠宮皇嗣殿下、第2位が悠仁親王殿下です。後を継ぐ男系男子が少ないため、昨今皇位継承の議論がよくなされるようになりました。皆さんは、男系男子、女性天皇、女系天皇について理解されているでしょうか。今日は、皇位継承に焦点を当てて天皇陛下、天皇制について考えてみたいと思います。

①世界における天皇陛下の地位

皆さんは、天皇陛下の国際的な地位についてご存じでしょうか。アメリカ合衆国大統領がゲストを迎える際の最高の礼遇は、空港においてホワイトタイ姿で出迎えることなのですが、その礼遇が適用されるのは「ローマ教皇」「イギリス国王」、そして「天皇陛下」の3人だけです。オバマ前大統領は初めての訪日の際、天皇陛下に謁見し、90度に背中を丸めて最敬礼されました。また、ローマ教皇が外国を訪問される時は、訪問先の国家元首が教皇を訪ねるのが慣例です。しかし、唯一の例外が天皇陛下です。ヨハネ•パウロ二世の日本訪問の際は、教皇の側から皇居に出向いて昭和天皇を訪問されています。そして、世界でエンペラー(皇帝)として認められているのは、現在では天皇陛下しかいません。国際儀礼上、天皇陛下は地球で最上位の存在なのです。

②男系の伝統

世界が天皇陛下に敬意を払う理由は、世界で唯一のエンペラー(皇帝)であること、初代神武天皇以来2681年(125代)続く世界最古の歴史を誇ること、そして例外なく「男系」で皇位が継承されてきたことがあげられます。「男系天皇」とは、「父親の父親の父親•••」というように、父親だけを遡っていくと初代神武天皇に辿り着くということです。一方、母親が入らないと天皇に繋がらない場合を「女系天皇」といいます。日本の皇統2681年の歴史に女系天皇は皆無です。女系の皇子•皇女もゼロです。外国人が聞けば驚愕するような話です。ヨーロッパの王室の継承ルールでは女系継承を容認したサリカ法によるものが多く、その見地から見ても現在の日本の皇統はサリカ法に依らない、世界最古の伝統をそのまま残す継承体系であり、それが世界から認められている要因でもあります。 

③女性天皇と女系天皇

昨今、皇室典範を改定して、愛子内親王が天皇になれるようにしようという意見があります。愛子内親王が即位されると、男系の「女性天皇」となります。これは過去に先例があります。しかし、ここで知らねばならないことは、過去8名の女性天皇全員が「未亡人」か「生涯独身」を通されたということです。それは、「ご懐妊の禁止の法」を完全に遵守されたからです。それは、女系の皇子•皇女をお産みにならないためです。明治以降は、皇位を継ぐのは男系男子に限定し、内親王は婚姻と同時に皇籍離脱されます。その理由の一つが、生涯独身を内親王に強要するのが忍びないということによるものです。女性天皇はあくまでも一代限りのものであり、過去8名の女性天皇も同様でした。

仮に皇室典範が改定され、愛子内親王が女性天皇となり、伝統に反して天皇のまま民間人と結婚されたとします。そして、お二人の間に無事お子様が生まれて、この方が即位されたとしたら、その次期天皇が「女系天皇」となるわけです。仮に愛子天皇が民間人の鈴木さんと結婚したとします。そして生まれたお子様が男子で次期天皇に即位されると、その新しい天皇は神武天皇から続く天皇家の男系天皇ではなく、新しい鈴木家の男系天皇になるわけです。それは全く血筋の異なる新たな皇統となり、これまでの天皇の国際的地位は失われることでしょう。もはや新たな鈴木天皇にアメリカ大統領はホワイトタイで空港まで出迎えにも出ないし、ローマ教皇は皇居を訪問しなくなるのです。

④遺伝学からみた「男系」

DNA解析の進歩によって、「男系」を医学的に説明できるようになりました。遺伝子というのは、いわば体の設計図です。子供は、父母の遺伝子が組み替えられた新しい個性ある命です。ところが、親の持つDNAの組み換えがなされず、そのまま子孫に伝わるものがあります。父から男の子に継承されるY染色体を構成するDNAと、母から子に伝わるミトコンドリアDNAです。性を決定する性染色体はX染色体とY染色体の2種類あります。男性はXY、女性はXXからなります。男の子は父親のYと母親のどちらかのXを持ちます。したがって、Y染色体は代々父親から男の子へと必ず受け継がれるのです。女の子はX染色体しか持っていませんから、将来他の男性と結婚して、男の子を産んでも、その子のY染色体は自分の父親のものではありません。ですから女系ではY染色体は伝わらないのです。「万世一系」というのは、今上陛下のY染色体が、遠く日本武尊や神武天皇まで遡ることができるということです。

⑤旧宮家の復帰論

現代のように医学的な知見が無くても、日本人は種の保存には「男性の血筋」が大切なことを直感でわかっていました。皇室は民間女性を受け入れてきましたが、民間男性は忌避してきました。他の種を持ち込ませなかったのです。たった一種類の種を維持する、これが先人の努力によって何代も何代も繰り返され、世界に類を見ない「万世一系」の天皇が今日まで続いてきたわけです。皇位継承の危機は過去に幾度かありました。そういう天皇の直系に皇位を継ぐ男性がいらっしゃらない時のために、皇統に属する男子を当主とする宮家が創設されてきました。宮家とは天皇を出す家のことです。

ところが、戦後GHQの圧力によって、11宮家51人は皇籍離脱を余儀なくされました。皇位継承問題が起きるのはそれからです。男系による皇統危機を回避するのであれば、旧皇族の方々の皇籍復帰が一番確実なのだと思います。ただ宮家の復活には国費の問題もあり難しいという意見もあります。それならと、次善の策として検討されているのが、旧宮家の男子の養子縁組による天皇家への転籍です。「万世一系」を守るための議論はこれからも続いていくことでしょう。

⑥まとめ

「男系天皇」「女性天皇」「女系天皇」の違いがご理解できたでしょうか。現憲法においては、天皇の地位は「国民統合の象徴」と規程されており、その存在の在り方を決めるのは主権者たる国民です。今後、有識者による議論が活発になることでしょうが、私達国民も、少なくとも男系、女性天皇、女系の違い等を理解した上で議論の推移を見守りたいものです。

⑦最後に

天皇制維持派は、女性天皇も容認した男系維持を支持する人が多いと思います。逆に天皇制廃止派は、直接的な廃止論は世論の支持を得られないため、まず女性天皇を推奨して、そこから女系天皇の誕生を狙うはずです。新たな鈴木家天皇が「天皇制」そのものの権威を削ぐことを知っているからです。いずれにしても天皇制は、日本という国家の国体そのものを形成する制度であり、伝統は大切にしていきたいものです。

今日も読んで下さり、ありがとうございます。皆さんがたくさんの「良運」に囲まれて幸せな毎日を送れますよう、心より祈念致します!

数多の若き英霊が海の藻屑となりました。感謝と鎮魂の誠を捧げます!合掌!