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幸運の鍵 第516話

《令和4年9月2日(金)》

1899年に、新渡戸稲造が英語で書き上げた当時の世界的ベストセラー「武士道」。第26代米国大統領、セオドア•ルーズベルトをはじめ、世界の数々の著名人に愛された作品です。新渡戸は「日本人の倫理観はどのように養われているのか」を外国人に説明するために、この本を書きました。本の中で、新渡戸は武士道について「武士階級のノブレス•オブリージュである」と説いています。ノブレス•オブリージュとは、貴族などの高い身分にある人々が負う義務のことです。

上に立つ者が粗暴では、庶民の生活は脅かされてしまいます。新渡戸は「庶民よりも高い身分にある武士は、暴力的な支配ではなく、武士道という崇高な道徳によって人の上に立っている」と考えていました。この武士道の精神、つまり「義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義」という「7つの徳」を理解することは、私達一般の人間においても、社会生活を営む上で大いに役立つものと思います。江戸時代末期の長州藩士であり、「松下村塾」で有名な教育者、吉田松陰は後に明治維新で活躍する多くの若者達を前に、次のように教え諭しています。

「士たるものの貴ぶところは、徳であって才ではなく、行動であって学識ではない」

武士たるもの、大切にすべきは才能ではなく徳であり、学識ではなく行動である…という言葉です。私達の日常生活においても、思い当たることは多いはずです。小さなわが子が感染症で高熱を出してぐったりしていたら、自分に移る危険性など顧みずに抱き抱えて救急病院に駆け込むはずです。親が危篤状態になったら、何はさておき真っ先に駆けつけるはずです。まさに大切にすべきは、優しさや慈しみという真心であり、頭で考えて迷っていることではなく、実践に移す行動力なのです。

才能があるのに世のために活用せず、学識があるのに人のために使わないことは、まさに宝の持ち腐れで、事実上持っていないことと同じですね。日本人が培った武士道精神は、軍人精神に引き継がれ、戦後は企業風土として引き継がれました。高度経済成長からバブル期に至る経済発展の根底に武士道精神があったことは間違いのない事実です。それは礼儀を重んじ、人を思いやる誠実な日本人の姿の結実です。価値基準が変化していく時代の流れの中においても、大切な精神性は守り抜いていきたいものですね。

今日も読んでくれてありがとう!今日も皆さんに、たくさんの幸運が訪れますように!

数多の若き英霊が海の藻屑となりました。感謝と鎮魂の誠を捧げます!合掌!