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カワイイ・モンスター 中村七之助

中村七之助がどえりゃーカワイイ。

つい最近その、カワイイ・マジカル・パワーを間近でシャワーのように浴び胸がバチバチしてときめきがとまらなくなった。
これが恋ってやつだろうか?

幼い頃憧れたお姫様が目の前に突然完璧以上の姿で現れたという衝撃と、こみ上げる邪な激情でわけがわからなくなり、ハァハァと呼吸荒く胸は物理的に高鳴り、私が老人だったならそのまま棺桶直行便に乗るところだった。
危なかった。

そもそも彼が説明の難しい感情を掻き立てる魔性の人物だということは真夜中の弥次さん喜多さんあたりから薄々気付いてはいたのだけど、いかんせんあれは しりあがり寿とクドカンというクセしかない組み合わせが生み出した特殊なワールドだったし、彼その人が可愛いというよりは、喜多さんという生き物が可愛いんじゃないかという疑いもあったのだ。(実際喜多さんは魔性のメンヘラヤク中だし放っておけない可愛さがある)

今私はその疑いを持った過去の自分を殴り倒したい。

あの頃素直にシチノスケ・カワイイ教に入信していれば今より14年も早くこのときめきを知ることができたのに!!!!!!!!!!!!!!!!!

まだおぼこい顔をした七之助ちゃんからの成長を自ら記録する機会をみすみす14年分も逃すなんて何たる失態か………辛い………失った時間は戻ってこないのだ………。

なにより14年前なんて、勘三郎さんが思いっきり生きていたじゃないか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

これを語り出すとまた脱線するし長くなるから別で書くとして…

それにしても魔性・カワイイ・モンスター 中村七之助を生み出した中村勘三郎という人はやはり魔性・カワイイ・カッコイイ・モンスターだったし、どうして折角同じ時代に生まれたのに生で見る機会を作らなかったのだろうと未だ後悔していますよ………はぁ…………


しかし、しかし!!!!!!


私は今こうして満を持してシチノスケ・カワイイ教に入信したのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!お伊勢さんは此処にアリ……………!!!!!これぞ夢の桃源郷、ユートピア……!!!!!!!!!!!!とにかくカワイイの神はここにいるぜジーザス!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

どの神様だかわからないけれどこの出会いをくれた神様に感謝します。
というより、あのときめきへの直行チケットをプレゼントして下さった仕事でお世話になっているご夫人にまず心からの感謝を述べねばなるまい。
ありがとうございます。本当にありがとうございます。忘年会の席でまじで唐突に「歌舞伎にご一緒できませんか?」とお誘い頂いたときは、「なんでぇ( ᐛ)?」と内心頭が( ᐛ)でいっぱいになったけど、ご一緒させて頂いて本当に良かった。運命の出会いをありがとう。あなたが私の神です。

そんなわけで取引先の歌舞伎鑑賞が趣味であるという社長夫人からときめき直行便をプレゼントして頂き、ついに私は生・七之助との邂逅を迎えたのである。本題に入るまでめちゃめちゃに時間が掛かってしまった。

私のプリンセス・カワイイ・モンスター七之助との出会いは今年の初春大歌舞伎でのことであった。

夜の部にお邪魔し、初心者のくせに社長夫人の威光を借りて桟敷席なんていう超上等な席(オペラのボックスシート的な)に陣取り、贅沢に一幕、二幕と堪能させてもらった。

一幕目は「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場(えほんたいこうき あまがさき かんきょのば」という明智光秀をモデルにした時代劇ものっぽいやつで、割と真面目寄りな演目。お正月だからなのかいつもこうなのかわからないけれど、私でも知っているようなビッグネームがちらほら…吉右衛門さんとかね。

後から知ったけど、初菊という役をやっていた米吉さん、人気の若手女形だったのね…もっとちゃんと記憶に焼き付けておけばよかった……正直後で出てきた七之助ちゃんのあまりの美しさの衝撃に記憶のほとんどが飛んでいってしまった………罪な男…………

二幕目の「勢獅子(きおいじし)」はその名の通り獅子舞だったのだけど、これがめちゃくちゃに可愛かった!!獅子舞をかわいいと思う日が来るとは思わなかった!!笑

お顔自体も可愛いし、動きは犬と猫の中間?とにかくでっかくて無邪気なモフモフ(実際にはモフモフはしてないんだけど)って感じで完全なる癒しタイムだった……ウトウトしてお耳がぴょこぴょこする獅子舞ちゃんめちゃめちゃにキュートだった……あの可愛さには幼稚園児ですらテンションが上がると思うわ………。

技術的にも、二人で一頭の獅子舞を演じてるのに、全くもって「一頭の獅子」にしか見えなくて本当にすごかったよ!!人生で一番かわいくて楽しい獅子舞だった~~!!!!グッズほしい!!!!

そしてついに三幕目、「松竹梅湯島掛額 吉祥院お土砂の場 四ツ木火の見櫓の場」通称八百屋お七!!!!ドンドンパフパフ~~~~~!!!!!!読めない!!!!!!!!!!!

「しょうちくばいゆしまのかけがく きっしょういんおどしゃのば よつぎひのみやぐらのば」と読むみたいですよ。勉強になったね。歌舞伎は役者さんの名前からふりがながないと読めないあたりが初心者には辛いところである。それは置いておいて………


やばかった


花道に七之助ちゃんが現れた瞬間なんて……ああもうそりゃあ大変なことですよ。ぶったまげたね。初めて生で見るし、女形なんてめっちゃ白塗りだし、パッと見てその人とわかるかな~?なんて心配してたのが馬鹿みたいよ。一発よ。あまりにも輝きが違いすぎる!!!!!!!!!!!!

まじで後光が射してるのかと思うほど光り輝いてたし、あんまりにも、あんまりにも美しすぎてもうほんと天女様かなって感じで神々しすぎて動悸はしてくるし目頭は熱くなるし私はしんでしまった。私の約ウン十年の人生の中で間違いなく最も美しいものを見た瞬間でした。良い人生だった。昇天。

すごい。世の中にはこんな美しいものがあるんだ……私は今まで美しいってもんが何か知らなかった………。人っていうか…なんかもうそういうの超えてた……この世のものではないっていうか………そこにいるのに存在してないみたいな………幽玄の美っていうか………IQ3だからこの胸の高鳴りに全然語彙力が追いつかない辛い………

私の座っていた桟敷席は花道の舞台側に近い下手一階という名の中二階席で、ちょうど役者さんが花道上で止まって演技したり見栄を切ったりするのをちょっと上から目の前でガン見できる位置。

こんなに見ちゃ下品かなとか、嫌な気持ちがしないかなとか心配になりつつも目が離せなくて中々の距離感でずーっと前のめりでガン見してたんだけど、もうびっくりするほど目が合わない!!!!ファンサなんてものはない!!!!目の前にいるのにフィルターの一枚向こう側にいるような、ここだけ時空が歪んでて、違う時代の違う世界にいる人たちを幻視しているだけで絶対に手を触れられはしないというような、そんな非現実感があって、なんかもう逆にありがとうございますというか、あまりにも最高の夢を見たって感じだった。ええーん尊い………好き……………

ここまで書いたけどこれまだ登場の瞬間だけの話である。
恐ろしいでしょう……まだ続くんです………。

演目の内容は恋愛もので、お七(七之助)という天人のように美しいと評判の八百屋の娘(町人だけどちょっとした箱入りのお嬢様って感じ)がお寺の小姓の吉三郎(幸四郎)というイケメンに恋をするんだけど、実は吉三郎は武家の子息で俗にいう身分違いの恋だった。吉三郎には許嫁がいるし、わりとお堅い人物。更にお七の家の八百屋は釜屋武兵衛(吉之丞)という人に借金をしており、お七がその人に嫁がないと家が立ちいかなくなるという八方ふさがりの恋。

そこでお七の幼馴染のお調子者、紅屋長兵衛、通称 紅長(べんちょう)さん(猿之助)が一肌脱いで何とか二人をくっつけようと面白ドタバタ劇を繰り広げるのが前半。(お土砂の場)

そして後半はガラリと雰囲気が変わってシリアスに、実は吉三郎はお家再興の為に失われた家宝の短刀を探していて、その短刀の在処を知ったお七はそれを盗み出し、吉三郎会いたさに命懸けで短刀を届けに行く…(火の見櫓の場)という、同じ演目の続き物なのに前半と後半で全く雰囲気の違う面白い作品でした!

お七という娘はたぶん十代の箱入り娘で、めちゃめちゃに可愛くて甘やかされて大事に大事に育てられてきた感じで、純粋で無邪気でどこかぽわ~んとした…言葉を選ばず表現するならちょ~っとおバカっぽい…おつむがお花畑な感じの放っておけない天然お嬢さんなんだけど、この…このお七を演じる七之助ちゃんがあまりにも可愛くて……(号泣)

出てきた瞬間はもう天女様や…!!ってほど神々しくて近寄りがたいレベルだったんだけど、ひとたび喋りだしたらまぁまぁのアホの子でそれがもうめっっっっちゃめちゃに可愛くて、なんだろうあれは……めちゃめちゃに顔の良いアイドル……?なんていうかある意味ロリだった……合法ロリ……。やばいかわいい。幼女だった。擬音を付けるなら「うふふ♡」って感じだった。常にお七の周囲にぽわぽわのお花が飛んで見える。お前は霞を食って生きているのか?お友達は蝶々さんか???かわいい。かわいすぎる。全世界が恋に落ちる華憐さ………男ってこういう女好きだよねわかる………非実在オンナノコ……いやオンナガタだけど…………。

見た目もキャラクターも性別さえも違うのに、お七の可愛さには不思議なことにあのラリってる喜多さんに感じた可愛さと通ずるものがあって、ああ同じ人が演じているんだなぁって、この可愛さって役柄以上に七之助ちゃんその人が持って生まれた天性の魔性だったんだって気付いて、ああ恐ろしやカワイイ・モンスター中村七之助!!!!!!!!!!!!!!!!と私は合点し、幸せな気持ちをいっぱい胸に吸い込んでシチノスケ・カワイイ教という沼にドブンとダイブしたのでした…………昇天(二回目)……………。

そして後半の火の見櫓の場、これがまたすごかった………!!!!!!!!

まず前半のお寺でのシーン終わって一度幕が下りて、ほんの数分後にまた幕が上がったと思ったら、舞台上にまさかの雪がガンガンに降ってて、一面真っ白!!室内なのにすごく寒く感じるし、あまりの舞台の変わりっぷりはもはやイリュージョンだったよ!!歌舞伎すげぇ…!!!!

真ん中に火の見櫓、上手奥にお七の実家の八百屋の入り口が見えて、下手には木戸。立ち食い蕎麦屋と町人が出てきて、その会話から、この町?村?は夜になると木戸が閉められて翌朝まで外に出られなくなるらしいことがわかる。火急の際には火の見櫓に登って鐘を打ち鳴らすことで木戸は開かれるけれど、火事でもないのに鐘を叩けば死罪になるとのこと。死罪て…!

そんな中、吉三郎に恋い焦がれるお七は、手に入れた短刀を夜のうちにいち早く吉三郎に届ける為、命懸けで火の見櫓に登って鐘を打ち鳴らすんですね………

お七おま……やめろよぉおお!!!!!若気の至りで命を無駄に散らすんじゃないよ(号泣)!!!!!!!!!!!!!!!!!

火の見櫓に上がるまでの下女(お家のお手伝いさんみたいなおばさん)とのやりとりまではまだぽわぽわのお七ちゃんで可愛くておかしみがあってニコニコ見ていられたんだけど、下女が家の中へ下がってお七一人になってからはもうやばかったですね……

ここから劇中劇みたいな感じで(ミュージカルでいうところの一旦お芝居止めて歌って踊るターンみたいな)人形振りという踊りが入るんですけど、これ人生で一度は絶対見た方がいいってレベルのとんでもねぇ芸術、匠の技って感じでしたね………やっっっっばい。人間の動きじゃない。

この演目自体が元々は人形浄瑠璃の演目だったそうで、この時だけお七が人形となって、後ろに黒子さんが二人ついて、その二人に操られているように「人形として」踊るんですね………。すっごいよ……本当に人形だった………。

まず何分間も踊り続けるのに、その間一回も瞬きしない。
もうこの時点でやばい。人間じゃない。

さっきまで普通に動いて喋る血の通った人間のお七だったのに、もうほんと一瞬で全くの別物になっちゃう。人形だった。人形だったとしか言い表せない。人間はあんな動きできない。糸に吊られて動く、感情の無い操り人形……なのにすっごく切ないの……表情は1ミリも変わらないのに………。

ぽわぽわのお七ちゃんもすっごく華憐なんだけど、この人形のお七は物としての哀しみがあるというか、愛玩として、道具として操られるしかない、胸が詰まる華憐さがあって、抱きしめたいけど抱きしめたら壊してしまいそうだし、大事に大事にガラスケースに入れてしまっておきたいけどそうしたらこの愛玩人形はずっと孤独なままになってしまうし、どこに向けたらいいのかわからない愛しさで叫びだしたくなったよ…………

お七~~~~~~~ッ!!!!!!!

そうしてお七は鐘を打ち鳴らし、木戸が開けられ、人形から人に戻ったお七は短刀を抱えて花道から去るのだけど…

この時の七之助ちゃんのお顔、相変わらず優雅でまったく表情には出してなかったけど、汗でびっしょびしょだったんですよ……。

そりゃあそうだよね、あんな重そうな暑そうな衣装を着て、あんな人間には無理な動きで踊り続けて(華憐に軽やかに見えるけどめちゃくちゃ筋肉使わないとそのポーズでそんなピタっと止まれないだろうな、みたいな動きの連続だった)……そりゃあ汗もかくよね、人間だものね……

そっかこの人、このヒト………??人間だったんだ…………?????みたいな……なんかもう衝撃ですよ。

中村七之助、すごい。みたいな。

素人目にもわかるレベルで技術の高い役者さんだったんだ……ただ美しくて可愛いだけじゃないんだ……すごいひとなんだ…………すごい……中村七之助すごい……かっこいい………綺麗…………………


好き~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


という感じで、私は恋に落ちたのでした。

風が……風が吹いたんですぅ……………!!!!!(ストロベリー・ショートケイクスより)


はぁ~~ぁ…人形振り、もう一回見たいなぁ……。素人でも一目でわかるヤバさだったぁ……

もっと演目の内容に触れたかったんだけどまじでキリがなくなるから七之助ちゃんがいかにカワイイ・モンスターだったかに絞って書いてるつもりなんだけどそれでもまだ書き足りない……実はこの時点で2ページ分くらい削って別のメモに移したよ……(泣)

その後、二月も一等席で大歌舞伎観たんだけどその時は七之助ちゃん出てなくてそれはそれですごかったけど不完全燃焼になっちゃって、とにかく七之助ちゃんをもう一度見たくて色々調べてたいとう芸楽祭を観に行って、素踊りも素敵だったけどやっぱり女形が見たくて一昨日は妹二人も巻き込んで特別舞踊公演を観に行って(これも凄すぎたので別で書く)、こんぴら歌舞伎はチケット落選して泣いてる…。

テレビは「中村七之助」でキーワード登録したら勝手に出演番組全部撮り溜めてくれるようになったから日々増える財産にほくほくしつつ素顔の七之助ちゃんのお育ちの良い言葉選びの美しさ・優しさと、笑顔の柔らかさとピュアなリアクションに心洗われて泣いてる………かわいい……かわいい…………尊い…………これが推しがいるという感覚なのか………2.5にもときめかなかった私が、まさか歌舞伎役者にこんなにもときめくとは思わなかった…………ありがとう世界………………。


最後に、七之助さんの方が年も上だし手の届かないお人なのに、七之助ちゃん七之助ちゃんと馴れ馴れしく呼び、ファンの方、もしくは関係者様、ご本人様…気分を害された方がいたら申し訳ありません……
愛情表現と思って生暖かい目で見守っていただくか、見なかったことにして頂けると嬉しいです………。


はぁ……リビドーを出し切った………すっきりしたぁ…………。
ここまで読んでしまった方、本当にお疲れ様でした……。
気が向いたら中村七之助さんが出てる歌舞伎公演見に行ってみてね。ヘブンを味わえるよ………。

http://e-nakamuraya.jp/schedule.html#butai

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