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私の好きな人

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「キミは嘘をつかない」スピンオフです。ホソク部長への片想いストーリー、全13話(2022.11〜連載)
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2022年12月の記事一覧

私の好きな人 9

私の好きな人 9

シャンパンゴールドに輝く並木道をホソクさんと歩いている。これは夢なんじゃないかと、私は何度か手の甲をつねってみたりした。見上げたり振り返ったりイルミネーションを色々な角度から眺めるホソクさんの隣で私も「わ〜綺麗ですね〜」などと感嘆の声をあげてみたりするのだが、実際、私はキラキラと輝く街路樹よりもホソクさんの美しい横顔や光が反射する瞳や堂々とした後ろ姿を横目でチラチラ見ては喜びと興奮で胸を膨らませて

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私の好きな人 10

私の好きな人 10

5年片思いした。4年一緒に働いた。仕事を頑張り女磨きもサボらず求められたことには全力で取り組んだ。先日、働く目的を聞かれて「あなたが好きだから」「あなたに褒めてもらいたいから」というような答えを勇気を振り絞りしてみたが、それに対する答えは「キャリアプランを考えてみては」というアドバイスだった。そして今、ホソクさんは営業推進部でのマネージャー募集のメールを「FYI」のアルファベット3文字だけつけて転

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私の好きな人 11

私の好きな人 11

コツコツコツと自分の立てるヒールの音がやけに耳に響く。アポが長引いた上に帰りの電車が人身事故で止まり、今やっと駅に着いて早足でいつもの居酒屋に向かっている。年末の恒例行事、営業メンバーだけで開く「お疲れ様会」に大幅に遅刻していた。ソクジンから先に始めるぞとメールを貰ったのがもう1時間以上前だから今頃はみんないい感じで酒に酔い始めた頃だろう。ふと、酒癖の悪い吉田さんがホソクさんに根掘り葉掘り質問する

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私の好きな人 最終回

私の好きな人 最終回

ホソクさんに「時間ある?」と呼び止められて、私の心には何かを期待する気持ちとどうせ何も起きないだろうという冷めた気持ちとが同居していた。ホソクさんの向かい側に座り、彼が「xx社なんだけど…」と話を始めた瞬間、私の心はサーッと一切靄のないクリアな世界になった。いつも余計なことにドキドキしたり、ないことを想像して笑みがこぼれたりする煩悩だらけの心が綺麗スッキリ掃除されてしまったような、そんな感覚。

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執筆感想文2022.12.9

執筆感想文2022.12.9

全12話の『私の好きな人』の連載が今日終わりました。皆様、いかがだったでしょうか…。11話もずっとトキメキとかキュンがほぼゼロなお話を読ませてしまいずーっと申し訳ない気持ちで書き続けておりました。最終回で今まで我慢させた分をお返ししたつもりですが甘さは足りたでしょうか?もっと欲しかった?感想、お待ちしております。

では、恒例の執筆感想文、書いていこうと思います。(長文注意)

そもそもこれを書く

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私の好きな人〜部長のサイドストーリー

私の好きな人〜部長のサイドストーリー

彼女の第一印象は「この子に営業は向くだろうか」だった。

華奢で、栗色の髪は柔らかそうで、子犬みたいな目をしていた。よろしくねとカジュアルに挨拶したら顔を真っ赤にして物凄い早口で自己紹介された。マーケティング部からこの部署を志願して来たと聞いてその理由を聞いたら「先輩に憧れて志望しました」と言われそれは嬉しかったのだが。OJTで同行させた時は移動中ろくに目も合わせずずっと固い笑顔で「そうですね」と

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